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「もう一度」ポートフォリオを作ってみよう③

東松照明が初めて作った作品は友達の妹をモデルとした「ラブレターのような写真」だった、とインタビューの中で回想していたのを読んだ事があります。

分かる。分かるぞ東松照明。写真でラブレター。今やポトレと呼ばれる写真の原型て、写真によるラブレターじゃないか?とも思います。

しかしながら、そうじゃない写真もあります。
記録でもラブレターでもなく、ただ、写真としてありたいと願う写真。
でも、邪な気持ちからエモや情緒を狙い、見てる人に興味を持ってもらおうとする写真。
それが私の最初のポートフォリオです。

10年前に作ったポートフォリオを編集し直すとどうなるか?を知る為に編集し直しました。
まず、元のポートフォリオを見てみます。
120枚くらいあります。

印象としては、テクニックを見せたがる、情緒的にしようとしているのか何なのか分からない、被写体となった人の良さのみをアピールしようとしている、と言ったところでした。
結論としては、無駄なテクニックがほんとに邪魔。
これを編集し直すのかーーーーー、となりました。いや、無理じゃね?と。

一方で、写真一枚一枚だと割と良かったです。

お、なかなか良いじゃん。て、なりません?私だけですかね?
こういうテクニックは単写真だと良い感じに見えますね。
ですが、ポートフォリオです。写真群を持って一つの作品にします。良さげな写真だけを並べたとて、クソみたいなテクニックを並べて見せているに過ぎないのです。

これを編集して、写真群にしました。
写真そのものは割と良かったので、情緒的にならない様に連続性を無くしました。
そして似た様な写真が並んでいたので、それも省きます。

例えば、こんな感じで並べたりします。

なんとなく分かります?この並び。ポートレート作品なので、とにかく人物の写真を並べたかったと思うんですが、そうではなく、写真群として人物を浮かび上がらせる為の並びにしていきます。

そうやって並べて1冊のポートフォリオが出来ました。で、これをどうするのか?
もちろん見せます。どこかで。誰かに。
出来れば川島小鳥さんあたりに見せたいです。
なんせ『BABY BABY』をそばに置いてセレクトしてレタッチしてましたから。

実はこのポートフォリオ、10年前に最初に編集した時に川島小鳥さんがたまたま沖縄でトークイベントに出ていて、イベント終わりで外でタバコ吸ってた川島小鳥さんに声をかけて見てもらった事があります。
川島小鳥さんに「ポートフォリオ見てください!」て、ダメ元で話しかけたら「良いですよ」て言ってくれました。優しい。

ただその時、川島小鳥さんに見せたポートフォリオは120枚から抽出して20枚程度にまとめたものでした。
写真を繰り返し見てくれる川島小鳥さんは「写っている人の関係は?」とか「写っている人は女優さん?」とか聞いてくれてました。
ちなみにモデルをやってくれた人は女優でもお芝居をやる人でもなかったので、それを話すと「女優さんみたい」と言っていました。
本物の女優さんを撮っている人にそんな事を言ってもらえたわけです。
私のモデルを選ぶ目は確かですね!(アホですね!)

そして川島小鳥さんは、20枚にまとめたポートフォリオ見ながら「これ、続きはどこですかね?」と聞いてきました。驚きました。なんせ120枚から抽出した、なんて話はしていないのですから。
これが本物の写真家か、と思いました。

「実は見てもらえると思ってなくて、もし見てもらえたとしても、あまり多いと最後まで見てもらえないかも知れないと思って、抽出した物を持ってきました」と伝えたところ「やっぱ続きありますよね。続きも見たいです」と言ってくれました。

そして「『BABY BABY』をそばに置いて、見ながらセレクトしてました!」とも伝えました。
そこは「へー、そうなんですか」だったと思います。うろ覚えです。

「真面目」にポートフォリオを作って良かったと思いましたよ。なんせ憧れの人に見てもらえたのですから。
そして写真家と呼ばれる人達による、写真を読み解く目線を感じました。
何で20枚見ただけで続きがあるとか分かるの?川島小鳥さん凄くない?みたいな。

写真ガチ勢の人達はポートフォリオを作ります。写真で何かを表す為です。
ポトレ撮ってよく出来た物を並べているだけでは見向きもされないわけです。
何ならそれ、素人でも出来るわけですから。
見向きするとしたら素人だけです。
そして雰囲気ー、て言う感想を言うだけです。
そんな風に自分を満足させるより、真面目にポートフォリオを作って、憧れの人達に見せに行くのも写真の楽しみの一つ、かも知れませんね「SAMURAI」!(ナンバガのライブアルバムからの引用)

私が今回編集し直したポートフォリオは、どんな感想になるのか楽しみです。

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