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ペットボトルのラベルを40%減らすことは消費者メリットになるのか? ~SDGsブランディングのヒントを事例から探る~

▼Bravis Trend Report
ブラビス・インターナショナルは、戦略立案、コンセプト策定、クリエイティブ開発等、国内外の様々なクライアントのブランディング業務を多岐にわたってサポートしています。

リブランディングを行ったり、新規ブランドを立ち上げ、市場を創造して行く際、今の消費者が「どんな生活をしているのか」「何を求めているか」に対して常にアンテナを立てておくことが大切です。

『Bravis Trend Report(ブラビス・トレンド・レポート)』は、統計データやトレンド事象などを様々なメディアから収集し、その裏にある生活者意識を、弊社独自の視点で読み解くレポートです。時代の空気感や生活者の深層心理を分析することで、皆様のブランディング活動のお役に立つ情報発信ができればと考えております。

不定期更新ではありますが、よろしくお願いいたします!

「ペットボトルのラベル40%削減」は消費者満足につながる?

様々なメディアで”SDGs”というワードが頻繁に登場するなど、環境に対する意識は以前よりも高まったと感じます。

エコバックを持ち歩いてレジ袋を減らしたり、リサイクル素材を使用した洋服を選択したりと、環境保護につながる行動の選択肢が増えています。

一方で、どれくらいの人がそうした選択をした時にメリット感を感じられているのでしょうか。

「その商品がどれくらい環境保護に貢献できるのか」
「自分が購入することでどれだけ未来にポジティブになるのか」

を具体的に実感するのは、実は難しいことなのではないでしょうか。

例えば、

“ペットボトルのラベルを40%削減しました”

というコミュニケーションから、いったいどれくらい満足感を得たり環境への貢献を実感したりすることができるのでしょうか。

3つの事例からSDGsブランディングのヒントを探ってみました。

【CASE1】欧州では数字やランクで貢献度を表示

環境問題の取り組みに対して先進的な欧米では、食品の環境負荷の度合いをスコアリングで表す動きが加速しています。政府や企業が専門家と提携し、製品の環境への影響を科学的にランク付けし、パッケージ上やECで表示されています。

フランスでは2021年1月に「Eco-Score(エコスコア)」と呼ばれる食品の環境負荷を評価するツールが発表されました。

それぞれの食品が農業・加工・包装・製品の輸送などの段階で環境に与える影響を考慮し、CO2排出量や生態系への影響など16の環境基準に基づいてA(緑)、B(黄緑)、C(黄)、D(オレンジ)、E(赤)の5段階でランク付けする。

2021年10月14日付 日本食料新聞

アプリで製品パッケージ上のバーコードをスキャンすると栄養指標の情報とともに「Eco-Score」をチェック出来ます。こうしたシステムがフランスやベルギーの大手スーパーマーケットやディスカウントストアで採用されています。

欧米では数字というひとつの目安で、消費者が環境への貢献を実感しながらショッピングが出来るシステムが取り入れられつつあります。

【CASE2】いつかまた会うために、買いたくなるペットボトル

一方、日本国内の事例に目を向けると、ほっこりするストーリーや情緒性をSDGs施策に付与するブランディングがありました。

サントリー食品インターナショナルによる「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のリニューアル。

650mlと600mlの製品をすべてリサイクル素材100%のペットボトルに変更したのですが、その際に「またあえるボトル」とネーミングしました。

”リサイクル”を”またあえる”に変換することについて、この企画の担当者は「捨てておしまい、ではなくその先のストーリーが想像できる」と述べています。

“またあえる”という言葉に言い換えると、単にペットボトルを捨てて、それがリサイクルされる……というのではなく、もしかしたら巡り巡ってまた自分のもとに帰ってくるかもしれないという温かみのある未来への期待に変わる。だから捨てるという行為が送り出す行為になります。捨てておしまい、ではなくその先のストーリーが想像できるという点がポイントでした。

2021年10月1日付 ブレーン11月号

【CASE3】思わず気になるミステリアスなパン屋さん

心温まる世界観だけでなく、興味を掻き立てるミステリアスなストーリー性をつくっていくことも、サスティナブルな取り組みに人々の興味を惹きつける方法です。

そんな事例のひとつとして、最後に、一風変わった「夜のパン屋さん」をご紹介します。

東京・神楽坂にある「かもめブックス」では週に3日、本屋としての営業後に都内をはじめとした人気ベーカリーから売れ残ったパンを集め販売しています。

また、様々な事情で職を失った方を販売員として雇用するなど、フードロスだけでなく多くの社会的な活動に向き合っています。こうした取り組みを持続的に行っていくためには、やはり人々に知ってもらい、消費を含め、活動に参加してもらうことです。

「本屋さんなのにパンが売られている」
「朝ではなく夜にオープンするパン屋さん」

といった、どこか気になるミステリアスなストーリーが人々を惹きつけ、活動を広めるブランディングのポイントになっています。

夜のパン屋さん インスタグラム

yorupan2020

【まとめ】日本では数字よりもストーリーが効果的?

今回は「環境保護をはじめとする社会的問題に対する施策・活動をどのようにブランディングしていくか」のヒントを国内外の事例から探ってみました。

ひとつのポイントとして考えられるのは、

“ストーリー性や情緒性によって、より身近に感じてもらったり、ポジティブな期待を持たせることができる”

ということです。

例えば「ふぞろい」という言葉をネーミングやコピーに使用した商品が増えています。

大切に生産される中で規格からは外れてしまったというストーリー性であったり、言葉の響きから不器用なかわいらしさ、ひらがなで表記されることによってほっこり感が伝わってきます。

欧米では専門用語や数値でシリアスに語りかける動きが進んでいますが、それをそのまま真似るのではなく、日本なりの感性に働きかける訴求を考えていくことが重要ではないかと考えられます。