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有閑階級とサイコパス

 ブラック企業に関する記事で、私がブラック企業の元社員だったことは明かした。その企業は社員を過労死(自殺ではなかった)に追いやっているが、社長が遺族の怒りにガソリンをぶち撒けるような弔電を送り付けて、けっきょく裁判も多額の慰謝料を払ってしまうことになった。社員だったからよく分かるが、その社長とってはおかしな弔電も"善意"の行為なのだ。
 一見すると、極めて情に厚い人たちと思える社長や幹部たちもよく調べると、他人の気持ちを考慮しない、サイコパス染みた危険人物だったということもあったりする。残念ながら、企業経営者にはそんなサイコパス気質が強い輩は珍しくない。問題は、社会にとってもそれなりに必要な有閑階級が、実はサイコパスと馬が非常に合うと思われる点だ。

 サイコパスの傾向が強いという職業のベスト10は以下の通りである。

1.企業の最高責任者(CEO)、2.弁護士、3.報道関係、4.セールス、5.外科医、6.ジャーナリスト、7.警察官、8.聖職者、9.シェフ、10.公務員

 ヴェブレンは有閑階級の入口になる職業のことを、「略奪的気質を持つ金銭的な職業」と呼んでいる。具体的にいうと、産業の将師(株式会社の制度を巧みに活用して、企業の吸収合併などをすることで、莫大な財産を獲得した企業経営者)、政治、宗教、軍事に関わる職業、銀行業、弁護士を例に上げている。
 この通りで、サイコパスの傾向が強い職業と、有閑階級になるための職業はかなり重なっている。有閑階級が社会全体にとっても必要であることを考えれば、社会がサイコパスに対処するのは相当骨が折れることになる。一般的にサイコパスは嫌悪の対象になる。私は例の社長以外にもサイコパス的な知り合いがいる。そいつは本当にこちらを食い物にしようとするので、極力会うのを避けている。ただし、そいつが100%他人に共感できない人だとは思えない。

 ようするに、サイコパスというのは人類全体の割合の内では少ない方だし、サイコパスな人たちでも重症なのはさらに少ないと思われる。ただし、どこまでからが重症でどこからが軽症なのかは、判断が極めて難しい。サイコパスの兆候がある子供は、適切な教育を施すことで後者に収まる可能性は高いだろうけど。

 私のように農家は死ぬまでずっと非有閑階級だろう。土に向き合う仕事は、「略奪的気質を持つ金銭的な職業」とは直接的には無縁だ。しかし、有閑階級をある程度尊重するのは良いとして、それに対し無抵抗であるのは危険だろう。こういうと他の農家から怒られるかもしれないが、今の農家や農協は、有閑階級にいいように飼い慣らされて食い物になっている。   
 もっとも日本全体が、すでにそうなっていると明確にいえる現象が起きている。統一教会のトップは間違いなく有閑階級だ。もちろんあちらは、社会に絶対に存在してはいけないプロの犯罪組織だから、他の有閑階級に対して失礼ないい方のは承知している。しかし、日本人がもっと政治経済に関心を持って、公正公平さを求めていたら、統一教会は日本ばかりをカモにしなかったと思う。