えんがわ日和〜おばあちゃんラジオ〜

祖母はテレビが好きだ。
家にいるときはずっとテレビを見ている。
テレビの前は祖母の特等席だ。
そして、祖母はその時聞いたテレビの内容を話すのが好きだ。
ここには一つ問題がある。
それは、一緒に同じ番組をリアルタイムで見ている家族に話すのが好きなことである。

ニュース「明日から雨が降るでしょう。」
おばあちゃん「明日から雨が降るって！」
家族「へー。(今聞いたよ。。。)」

このやりとりが重なるとなかなかしんどく
「そうなんだね」と素直に言ってあげられない黒い気持ちがむくむくと大きくなることに悩んでいた。
「今聞いたよ！」なんて声を荒げてしまうと
祖母はしょんぼりする。

もともとおしゃべりな人で
友達とおしゃべりしながらランチするのが生きがいな人である。
なかなか自分の周りのイベントが減ってくる中で、テレビは喋るネタを提供してくれるいいツールなのだ。

私は気がついた。
自分はそんなにテレビに興味がないので、
テレビに背を向けて祖母と向かい合って座れば良いのだ。
そして、テレビからではなく祖母から情報を受け取れば
一回で済むし、素直に「へーそうなんだね。」といくらでも言ってあげられる。

私はこれをおばあちゃんラジオと名づけることにしよう。
テレビの話をしている時の祖母はとても笑顔で楽しそうにしていることに、
ラジオを聴き始めて初めて気がついた。