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視点が個性

俳句のことを知りたくて、俳句にまつわるエッセイを読んでいます。
3冊目に読んだのは、『芸人と俳人』(又吉直樹×堀本裕樹、集英社)。図書館の棚で見つけ、あっという間に読了しました。

芸人の又吉さんが俳句について、俳人の堀本さんに対談&講義形式で教わる文芸誌『すばる』での連載で、2年間の内容を本にまとめたエッセイでした。
鋭い視点と独特の感性で俳句に切り込んでいく又吉さんと、初心者を自然な形で楽しませる堀本さんの掛け合いを通して、俳句の奥深さや魅力を感じられました。

そしてさすが芸人さん、対談自体とても面白くて、ぐいぐい読めます。対談を文章にまとめたライターさんも、勘所を押さえられていてすごいなあと思いを馳せたり……。

心に残る言葉が多く、読了後はたっぷり付箋が。約350ページの単行本のほんの一部ですが、振り返りたいと思います。

俳句は十七音でしか言えないことを言うのではなく、ある世界のどこかを切り取って表現している。(中略)俳句の言葉数は制限されているけど、小説よりもっと大きいものを想像させることができるのかもしれない。(又吉さん)

『芸人と俳人』(又吉直樹×堀本裕樹、集英社)

近景から遠景へ視点を誘導しています。(中略)同じことを映像でやろうとすると、ものすごく大がかりになりますよね。(堀本さん)

『芸人と俳人』(又吉直樹×堀本裕樹、集英社)

俳句はつくづく、想像させる文章表現なのだなあと考えさせられます。二つ目の引用は、雨降る二つの土地を鳥目で表現した俳句の話題。動画に必要な移動&空撮&天候条件などさまざまな工程を引き合いに出されると、17音の奥深さには余計なるほど〜と実感できます。

世界をどこで、どう切り取るか。個性は“視点”に表れるのかなと思いました。友人や家族と旅をしてアルバムをシェアすると、え?なんでここ撮ったの?、みたいなことあると思うのですが、そういうおかしみとか感動ポイントを俳句にも楽しめればよいのかな。
詠むのも読むのも、上手い下手はあるかも知れないけど、心動いた瞬間に思いを馳せることを楽しむ、まずはそこからスタートしていきたいと思いました。

当初は自分自身で作れるようになりたいというよりは、俳句の楽しみ方がわかればいいと思ってたんです。でも、自分でも作り始めたら、楽しいだけじゃなく、不思議なもので、他の人の句を鑑賞するのがさらに面白くなってきました。(又吉さん)

『芸人と俳人』(又吉直樹×堀本裕樹、集英社)

又吉さんのこの言葉は、まさに私と同じだと思いました。

そして一つ実践してみたいことは、本でお二人が紹介していた「言葉の断片」をメモすること。日常の詠みたいと思ったことや気づきを、五七五の形でなくても書き留めておくそうです。

▼私の現在のメモ

・冷房で冷えたところにお日様がポカポカ
・見知った景色に、いつのまにかミスド
・大理石?の机に、空を飛ぶ鳥の姿が反射で映っている

これは……どんな俳句になるのかな?(笑)。
不恰好でも、言葉と関心を少しずつ集めていこうと思います。

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