七十二候に並走して。【霜降】霜初めて降る
うっかり薄着で寝ると、明け方ぶるりと目を覚ますことが多くなりました。朝肌寒くて羽織りものをして出かけても、日中は暑くて荷物になる……。温度調節を慎重に行って、体調管理に気を引き締めなければならない時期だなあと感じています。
日本の四季をこまやかに感じるために、七十二の候に合わせて暦を学び俳句を詠む企画です。本日は霜降の初候“霜初めて降る“。
霜を踏むということが、イベントになりつつあります。私が幼い頃は道端によく霜が降りていましたが、今私が暮らす地域では冬でもほとんど霜を踏む機会はありません。住む場所はさほど変わってはいないので、冬が少しずつ暖かくなってきているのかなと感じています。
私がこの七十二候の企画を進めるにあたり参考にしている本が、白井明大著『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)です。
「霜初めて降る」の旬の魚として紹介されているのがほっけでした。ほっけは先日の北海道旅行で食べたばかりで、私が知らずとも季節はそばにあるのだなあと感じます。
ほっけを食べたのは、旅先のまちの居酒屋さん。時価だったほっけは身がふっくらたっぷりで、口も心もほくほくの幸せで包まれます。
私の手にしたガイドブックには載っていないお店でしたが、店内は観光客と地元の方でにぎわっていました。
地元の常連さんらしき方は、観光客が色めき立つ中、メニューにはない料理(どっさりと大きななめこが入ったお鍋でした)を大切そうにゆったりと食べていて。でもそんな様子は、決して“ホームアウェイ”の雰囲気を醸すわけではなくて。
お店は一間にテーブルがいくつかと小上がりの畳。キッチンは扉がなく、カウンター越しによく中が見通せました。そのこじんまりとした空間に、人種も属性も実に多様な人が集まっていて。
そんな空間が不思議な一体感を醸していたのは、その土地のその季節の恵みのおかげだったに違いないと振り返ります。旅行のハレの時間でも、日常のケの時間でも、どこから来た人でも、今この場所、この季節は同じように素晴らしい……。
ほっけの身から立つ湯気や秋の星
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