見出し画像

ドレッシングを作る人になった日

先日友人と谷中、根津、千駄木辺り、いわゆる谷根千散策へ出かけました。新緑の季節に谷中霊園や根津神社の清々しさを味わいつつ、てくてくてくてくたくさん歩く。

谷中銀座商店街では、フロランタン専門店やどらやきやさん、おいしそうなアップルパイやパン屋さん、突き立てところてんが食べられる昔ながらのお豆腐屋さん。行きたかった古本屋さんはことごとくお休みで、リベンジを誓ったりして。味のあるお店ばかりで本当に楽しい界隈でした。 

メルボルンに本店があるというCIBI Tokyo Storeでは、野菜たっぷりのおいしいランチをいただく。かわいい手ぬぐいやうつわにも目が喜ぶ。

谷根千を存分に楽しみ、最後に寄ったのは「上野桜木町あたり」という、複合施設。そこの「おしおりーぶ」さんというお店にふらっと入りました。はじめ、オリーブオイルや何かをここで買う予定は、全くなかったんです…。

入ると、目に飛び込んできたのはオリーブオイルの瓶が沢山置かれた3段の棚。よく見ると、上の棚はオリーブオイル、真ん中は酢、下の棚にはお塩がそれぞれ沢山置いてありました。
お店のおじさんが試飲のお声がけをしてくださったのですが、すぐ出ようと思っていたので、躊躇していた私。でもそこで、おじさんのこの言葉に足が止まりました。「上のオイルの棚、真ん中の酢の棚、下の塩の棚の瓶をそれぞれ組み合わせると自分だけのドレッシングが作れますよ」。ドレッシングとは普通そういうものだろうけど、その言葉は私のアンテナに不思議とひっかかりました。なんだかワクワクしたのです。せっかくなので、渡されたスプーンを受け取り試飲してみることに。まずおじさんにすすめられるがまま、オレンジ風味のオリーブオイルというものをスプーンに数滴、そこにシャンパン風味のバルサミコ酢を数滴垂らし、スプーンの中でドレッシングとなった液体を口に運ぶと、シュワッ!と弾けました。シャンパン!結構な衝撃を受け、その後も色々な組み合わせを作ってくださるおじさん。スプーンの中で次々と作られるドレッシングの世界に、あっという間に夢中になりました。

バルサミコ酢に醤油を垂らせば三杯酢となり、酢の物もおいしくなるとか、オリーブオイルや塩は家にあるものでいいし、わさびや醤油や柚子胡椒を合わせても面白いよ、とハードルを低くしてくださるお店の姿勢も好ましかった。

とりあえずオリーブオイルは家にあるもので、バルサミコ酢を買って帰ろうと決め、シャンパンもピーチ風味も気になる、、と迷った挙句、選んだのは、スタンダードとされるホワイトバルサミコ酢。満たされた気持ちで琥珀色の小瓶をそっと抱えて帰ることにしました。

買うつもりありませんでしたけど、何か?笑

買うつもりのなかった客にこんなに感動とワクワクを与えて最後は買わせるだなんて、あのおじさんはドレッシング魔術師か、はてまたオリーブオイル愛伝道師か。

帰りに駅で豆苗とブロッコリースプラウトをたっぷり買って帰る。これまで私は、オリーブオイルに塩を振って食べていたのだが、今夜からは、おいしいドレッシングを作る人になれる。

あぁサラダが楽しみ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?