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花束みたいな恋をした

観よう観ようなんて思いながら、
大学生の恋愛かぁ、なんて遠い目で
観ていなかった作品を観る機会が来た。

イメージとしては、
大学生の頃の淡い恋が、
就活や環境の変化などで
歪みが生まれ別れてしまう。

そんな印象で鑑賞した。

大枠としてはまぁ合っているのだが、
非常に見応えがあり、感慨深いものであった。

なるほど、脚本はあの坂元裕二さんだった。

セリフの言い回しにセンスを感じる。
出てくる作品がマニアックで、
ちょっとしたオタク心もくすぐってくる。

そりゃ、自分が好きなちょっとマニアックな作品をわかってくれる異性が現れたら、
恋に落ちるのはもう当然で。

必然のように恋に落ちる二人。

履いている靴が同じ。
好きなもののセンスが同じ。

今が良ければいいじゃん、なんて言いながら
なしくずしに同棲を始める。

二人のゆるくて幸せな日々が続く。

漫画好きな私としては、
二人で寝転びながら「宝石の国」を
読みながら泣く。
このシーンが好きだ。
こんな幸せな時間ないよな、なんて、
過去に思いを馳せた。

ただ、いつまでもこの日々は続かない。
趣味や好きなことばかりしている日々には終わりがくる。

「大人」
「就職」

二人で一緒にいる未来のために、
選んだ 

「正社員」

訪れた忙しすぎる日々のために
彼は大好きなゴールデンカムイも8巻以降読めてない。
彼女は新刊のゴールデンカムイの内容を彼と共有したい。

そんなシーンが数々出て来る。
映画、ゲーム、本など。
全てにおいて彼は
仕事でいっぱいになり、
2人の趣味はいつしか彼女だけの楽しみとなる。

そして、ついに彼は彼女に対し、
2人で楽しんでいた事も
「してあげる」
立場になる。

挙句は、半ばキレながら
「じゃあ結婚しよう」
などと喧嘩腰で言う。

その歪みはもう戻せるものではなく、
会話もなくなり、何も感じなくなっていた。 

気がつけばゴールデンカムイは13巻迄出ていた。

そして付き合って4年、
ついに互いに別れを決める。

ここまでは本当にリアルで、
とにかく気がつけば夢中になっていた。

最後にファミレスでの別れのシーン
何度も感情が行き来する、
だって互いに嫌いになった訳じゃないし、
2人には思い出や情がありすぎるから。

号泣しながら、
やっぱりやり直そう、
いや、無理だよなんて言いながら。

そこにかつての2人のような 
初々しいカップルが現れる。
その様子を見て、今の2人との違いに
もう観念したかのように2人は別れたのだった。

ただし別れてからも
すぐに物件が決まるわけでもなく、
2人は3ヶ月同居は続けた。
もう他人だから、
逆に仲が良かったりもした。

そして、
一年後、
互いに別の恋人といる所に
偶然再開する。

その夜は
互いに少しだけ
元恋人のことを思い出したのだった。  





この作品はあまりにも
全てがリアルで。
カップルで鑑賞したら別れるなんて
言われていたらしい。
うん、納得。

だって、
恋愛ってそんなものだから。

恋愛は生物だ。
賞味期限がある。
始まりは終わりの始まりだ。

そんな言葉がこの作品の端々に出て来る。
恋の始まりから終わりを見事に描き切っている。

そして、
日本の社会の仕組み。
またこれが悪い。
就職したらここまで社畜にならないといけないのか。人間を変えてしまうのか。

「負けんなよ、
社会性とか協調性って、
才能の敵だから。」

先輩クリエーターに彼が言われた台詞。
グサリときた。

ただラストだけ少し物足りなかったかな。
なんだか、2人は
結局は、やり直せそうな気がしたんだよ。
敢えてそこを残したんだろうか?

#映画 #邦画 #花束みたいな恋をした #漫画

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