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醜くて、嫌いな自分を家の中に招き入れた話

※ここから先はアダルトチルドレン特有の話があります。トラウマ持ちの方は回避してください。






私は、いわゆる暴言、暴力のある家庭で育ちました。幸いなことに母親は、いつでも子供の味方だったので、唯一の救いはいつも母親が父親からかばってくれることでした。

何かにつけて、否定と攻撃され続けた私は常に自信がない、自己愛がない性格になりました。中学も二年になる頃には、父親が怖すぎて、何も意見ができない、話せない、人が怖い、信用できない、何をするにも自信がない、大きな声が怖い、自分で考えて行動ができない立派なアダルトチルドレンが完成していました。

そしてなんやかんや、そんな自分がたまらなく嫌で、克服したくて、色々なことをしました。大きな声を出すために無理やり接客のバイトをしてみたり、頑張ってひとりで遠くの街に買い物に行ってみたり(ハードルが高い)心理学の本を読んだり、話し方の本を読んだり、自分で考えて死ぬほど頑張って就活した結果、ブラックに就職、半年で辞めたり。その後は復活するまで1年かかりました。苦しかったな。

一人で行動するために、運転免許も取りました。免許を取るために、自動車学校に行ってたくさんの人に囲まれるのが苦痛で、死にたいと思いながらなんとか通いました。ただ、ここで今の夫と運命的な出会いをしたので、無理やりでも行って良かったな〜と思います。

常に周りの目が気になる。自分の行動が、発言が、本当に正しいのか冷や汗がでる。動悸がする。世界がすべて自分を責めているように感じる。そんな私を救ってくれたのは、自信満々の今の夫でした。

まず、夫はオドオドしている私にケータイの番号を聞きました。グイグイくるので内心では『何だコイツ頭おかしい』と思っていました。そのころは、自分はゴミ以下の価値しかないと思っていたので、こんな価値もない自分に興味があるなんて、どんな狂人なのか、宗教の勧誘でもするのかと思っていました。

そんな私の内心をよそに、夫はメールを一日に何十通も送ってきます。まじで最初はダルくて、返信もゆっくりだったし、無視すればいいのになんだか出来なくて、段々とメールのやり取りが楽しくなってきました。楽しい、と思うことが、十年ぶりくらいだったので驚きました。わたしは『楽しい』という感情を失ってから、十年もずっと『辛い』という感情で生きてきたのです。それから、夫とたくさんのデートをしました。いろんな場所へドライブに行って美味しいものを食べて、綺麗なものを見て、たくさん話をしました。楽しくて、楽しくて、今まで地獄にいたのが、天国に来たかのようでした。

話してわかったことは、夫は家族から愛されて育ったということでした。おじいちゃんと山菜を取りに行った話、家族とご近所さんとバーベキューをした話、おばさんから美味しいお魚が送られてくる話、たくさんのキラキラ光る愛された物語が、夫の性格を形成していました。

私はそんな話をきくにつれ、自己嫌悪におちいりました。
私はあなたにふさわしくない、こういう家庭で育ったので、性格も悪いし醜い。家族で出かければ、父親の機嫌で車の中がお通夜のような雰囲気になる我が家とは大違いでした。出かけては、酔った兄や騒ぐ子供を山の中で捨てようと怒鳴り散らす父親です。私は毎回、お出かけ=捨てられたり、父親が不機嫌になるもの、と小さい頃は信じていたので、楽しく出かけるということが『普通』に出来る家庭があることに驚きました。

自己否定をするたびに、夫は根気強く私をなだめ、励まして、肯定し続けてくれました。

「そんなことはない、自分にとって〇〇はとても魅力的だし、可愛い。辛くても頑張っているところが健気だ」というようなことを言ってきました。

そんなことを生まれてはじめて言われたので、1ミリも信じられません。竜宮レナばりに『嘘だッ!!』を繰り返し、拗ねて、面倒くさい女なんだから早く飽きて捨てればいいのに、と思いました。しかし、他人は自分を否定するもの、というこびりついた価値観が、その言葉によってヒビがはいりはじめたのは事実でした。

徐々に、頑なだった私の心が、『この人なら信じても良いかもしれない』と変わり、『この人を信じよう、ここまで私を好きになってくれる人に、相応しくなりたい』と思うようになりました。

紆余曲折を経て、夫と私は夫婦になりました。
未だに人が多いところは、気持ちが悪くなります。しかし、人の目をしっかりと見て話が出来るようになりました。人の良いところを見つけて褒めることが出来るようになりました。嫌なことがあったら、きちんと「嫌だ」と言えるようになりました。悪いことをしたらキチンとごめんなさいが言えるようになりました。自分の機嫌を自分で取って、上機嫌でいられるようになりました。結婚したおかげで「穏やか」「幸せ」という感情を味わうことが出来るようになりました。きちんと働くことが出来るようになりました。感謝、の本当の意味を知りました。

出来ないことだらけで、傷ついて、人が信用出来なくて、苦しくて、自分を消してしまいたかった十代の私を、三十代になってやっと、私の心の家の中へ招き入れて、抱きしめてあげることが出来ました。

追い出してごめん。無いものとして扱ってごめん。嫌いな自分を見たくなかった。だけど、そんな自分をやっと許して受け入れて、ずっと一緒だよ、というと、十代の私は三十代の私のかけがえのない宝物になりました。あの頃があったから、私は幸せを感じることができます。あの頃があったから、夫と出会えました。あの頃があったから、辛い人の気持が少しだけわかります。

どうしようもない状況だったとしても、心の底から強く願って、信じてください。

私は14歳のとき、苦しくて死にたくて、でも死ぬことなんて出来なくて、悲しくて、心の底から湧き上がった思いがありました。

『このまま死にたくない!生きたい!どうか、神様、神様がいるなら、私は幸せに生きたい!助けてください!』

私は別にキリスト教でもなんでもないです。勝手にそう湧き上がった思いが、きっと私の人生を決めたのだと思います。

だから今、辛い思いをしているあなたも、今すぐ決めてください。意思決定をしてください。

『私は幸せに生きます!』って。


ここまで読んでくれてありがとうございます。

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