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昭和の大勝負 vs猿

テレビで「昭和の常識」を若い人に見せて驚かせる番組をやっていました。
ふむ。
実際の昭和って、もっとダイナミックだったけどな。この番組作ったの昭和世代の人じゃないのかしら。

昭和のある日、多分小学校低学年の私は海老満月を食べながら歩いていました。
いくら「昭和」でも珍しい光景に足が止まる。
ペットショップの店先に日本猿。この頃は、一般の商店やデパートで飼育していることがありました。
それにしてもペットショップで売られているのは珍しい。
「子猿だ…」
しゃがんで海老満月を頬張りながら観察。
猿も両手両足でケージを掴んで人間の子供を観察。
見つめ合うヒトとサル。
「よこせ」という感じで手を伸ばしてきました。猿が気になっていたのは私じゃなくて海老満月だったみたいです。
「やるよ」
猿がお煎餅を食べる姿を見たかったので1枚渡しました。
「もっとよこせ」
「やるよ、食べな」
食べない。
「よこせ」「よこせ」をくり返し、猿はストックしていきます。
網を掴んだ手足の指の間に、手足の甲の曲がりに、海老満月を挟み、乗せていきます。

ひゃーっ!
猿が食べる姿を見たいのも、大切な海老満月が減って行くのもどこかに吹っ飛び、子猿がどうやってストックするのかに熱狂。

手足全てのパーツに海老満月をキープした猿にもう1枚を与えて、
どーするのー?もう、置くとこないでしょー。ついに食べるのー?と凝視。

受け取った奴は、顎の下に挟みました。
そうきたかー、やるなー!
身震いするほど面白い。
そこからさらに数枚。
最後の1枚を渡した時、パラパラと勢い良く床に散る海老満月。
子猿はそれまでの全てを放り出し、最後の1枚に手を伸ばしました。
(勝ったぜ)
この後の記憶はありません。
勝ったの?
今思うとカゴの床に落ちた海老満月の枚数分、猿の勝ちだったような。拾って食べられるし。
それでも勝ったつもりの私は満足して子猿がお煎餅を食べる姿も見ずにその場を後にしたのでしょう。アホやん。

それにしても昭和らしいと思うのはかなりの時間、猿の子vs人間の子の海老満月対決をペットショップの人も見ていたはず。
令和の今では油も塩分も動物にはキツイと思うけど。
家で飼っている犬や猫にもヒトと同じ食べ物を与えていた時代、それが昭和。
ちゅ~るなんてなかったの。

と、先日この話になった時、またしても私より記憶がちゃんとしている姉が登場。
「あの猿は売ってたんじゃないよ」
「へ?じゃあ何?」
「ペットショップのペット」
なんですとー!
半世紀を経てあかされる新事実。つまり(おさるの居るはんや、ぎんしょーどー)のようなものか!
ごめんなさい。衝撃のあまり一部の人しか知らないローカルCMで例えてしまいました…。

蛇足ですが、久しぶりに海老満月を食べました。
なんか、違う。
塩も油も令和仕様でマイルド。今どきはこんな風になっているのか。
私はしょっぱくて、ギトギトの海老満月を食べたかったのに、袋の半分も食べたら胃もたれするようなのが良かったのに。
仕方ない、私のように何年かに一度しか食べないんじゃなく、ずっと食べている顧客の声が反映されされて進化したのでしょう。
塩を振ろうかと思ったけど、年齢を考えて思い留まりました。
猿にもやらず一袋自分だけで食べても、スッキリ胃もたれ無しでした。
それはそれで美味しかったし、良かったけど寂しい。







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