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5人に1人の医師が半年以内に離職?

 医師紹介会社経由で入職した医師のうち、半年以内の早期離職は19%という報告があります。<厚生労働省(令和元年.12.27)「医療・介護分野における職業紹介に関するアンケート調査」, 10p.> 同報告で、医師紹介会社を経由していない医師の離職率は半年で 3.6%ですから、19%は非常に高い比率です。実に5人に1人の医師が半年以内に早期離職していたわけです。

なぜ紹介会社経由の医師は「早期離職率が高い」のか

 医師の離職理由に多く挙がるのは「思っていたのと違った」「職場の雰囲気になじめない」という理由です。ここから推測されるのは、医師の価値観とその組織風土とのマッチングが不適切だったということです。

 人を雇用する際は、年俸や勤務条件などを文書により明示せねばなりません(労働基準法第15条)。求人票をもとに作成した「労働条件通知書」は紹介会社も確認します。つまり紹介会社経由のほうが、書面上の条件調整は整います。問題は求人票に表現されない部分、その前工程にあります。

 医師の依頼を受けると、紹介会社は希望条件をもとに求人データベースからエリア、科目、年俸、週勤務日数などをマッチさせて複数提案をします。ただし組織風土や人間関係といったソフト面はデータ化されていません。
そのためにエージェントがいるのですが、求人施設に事前取材もせず、カード合わせのように、条件一致で就任を勧めています。こんなオートマチックな仕事で「医師の価値観や組織風土を考慮した」紹介はできません。

 求職医師側にも,脇の甘いところがあります。その希少性から自らを振り返る努力はせずとも、いくつかの「好条件求人」が提案されます。
転職に不慣れな医師だと、薦められるまま「好条件・高年俸」に幻惑されて、入職を決める傾向があります。
 面談一回でお互いの「適性」を判断できるわけがありません。入職して暫く経つと、考え方やローカルルールに「カルチャーショック」を受け、お互いに耐え難くなってきます。居心地が悪くなって「早期離職」に至る疑いが濃厚です。

 エージェントは「スポット・非常勤求人」ならまだしも、常勤転職で医師の「価値観」を顧みないマッチングをすべきではありません。エージェントは「医師の価値観」や「入職先の組織風土」に踏み込んで、真摯にマッチングを心掛けるべきです。転職の準備段階から、医師が自分の価値観を把握できるようサポートし、求人施設の組織風土を検討・比較できるようにする必要があります。しかし、それができる技量をもつエージェントは多くないのが現状です。

 一方で、求人側に問題はないのでしょうか。
次回の<「求める医師像」を共有してますか?>に続きます。


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