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City Popにどっぷりハマる週末。懐かしさと新しさの融合に心を奪われて

1980年代の日本を舞台にしたこの音楽スタイルは、懐かしいメロディと現代のトレンドをミックスしたような独特の魅力があります。シティポップを聴いていると、都会の夜のネオンが浮かび上がるような感覚になります。海沿いのドライブや、夜風を感じながらの散歩にぴったりなサウンドトラックです。

シティポップの曲には、どこか懐かしいけれども新しい、そして心地よい響きがあります。音楽を通して、時代を超えて共感できる感情や風景を感じ取ることができるのも、このジャンルの魅力の一つです。最近のリバイバルブームで再び注目を集めているのも納得です。


①I CAN'T STOP THE LONELINESS - ANRI

杏里の「I CAN'T STOP THE LONELINESS」を何度も聴いています。この曲は、まさにシティポップの真髄を感じさせる一曲。80年代の日本の音楽シーンを彩ったシティポップというジャンルを語る上で外せない名曲だと思います。杏里の透明感ある歌声と、康珍化の心に刺さる歌詞、そして林哲司のメロディが絶妙に絡み合っているのが特徴です。

曲を聴いていると、失恋や孤独を感じたときの感情が鮮明に蘇るような気がします。「I CAN'T STOP THE LONELINESS」は、そのタイトル通り、止められない悲しみや切なさを歌っていますが、どこか前向きでエネルギーを感じさせるのが不思議です。これは、シティポップならではのポップでありながらも深い感情を表現するスタイルの影響かもしれません。

特に印象的なのは、杏里の声が持つ独特の温かさと冷たさが交錯するところ。まるで誰もいない都会の夜を一人で歩いているような気分になる瞬間もあれば、遠い記憶の中の風景がぼんやりと浮かび上がるような感覚もあります。そんなノスタルジックな雰囲気を纏いながらも、普遍的なテーマである「愛の喪失」を現代のリスナーにまで共感させる力が、この曲にはあるのではないでしょうか。

久しぶりに聴き返してみると、改めてその美しさと時代を超えても変わらない魅力を感じます。杏里の楽曲は、80年代を象徴するだけでなく、今なお新鮮で、私たちの心に深く響くものがあると思います。シティポップを聴いたことがない人でも、この曲はぜひ一度聴いてみてほしい一曲です。

②スローなブギにしてくれ - 南佳孝

最近、ふとしたきっかけで南佳孝の「スローなブギにしてくれ (I want you)」を聴き返してみたんですが、改めてその魅力に引き込まれてしまいました。この曲は1981年にリリースされた名曲で、片岡義男の短編小説を原作とする映画の主題歌でもあります。シティポップや80年代のJ-POPが好きな人にはたまらない、レトロでどこか儚い雰囲気が漂っています。

歌詞は松本隆が手掛けていて、彼らしい言葉選びが光っています。「Want you 俺の肩を抱きしめてくれ」「おまえが欲しい」という繰り返しのフレーズには、深い孤独感や人間の欲望が込められていて、聴くたびに胸に刺さるものがあります。南佳孝の柔らかいボーカルと、後藤次利の洗練されたアレンジが絶妙にマッチしていて、ただの恋愛ソング以上の奥行きを感じます。

オリコンチャートで6位を記録したことからも、その当時の人気ぶりがうかがえますし、今でも多くのアーティストにカバーされていることからも、この曲の魅力が色褪せていないことがわかります。オリジナルとは違った味わいがあります。カバーされることで、この曲の持つメロディの美しさや詞の奥深さがより引き立っているように感じます。

特に、シティポップが再び注目されている今だからこそ、この「スローなブギにしてくれ (I want you)」を聴いてほしいと思います。80年代の日本の音楽シーンを象徴するような名曲でありながら、どこか現代の感覚にも響くところがあるのが不思議です。まだ聴いたことがない方には、ぜひ一度聴いて、その時代の空気感とともに楽しんでほしい一曲です。

③真夜中のドア/Stay With Me - 松原みき

松原みきのデビューシングルとして1979年にリリースされたこの曲は、ニューミュージックのカテゴリーに入るものの、今ではシティ・ポップとしても広く知られています。聴くたびに、あの懐かしい時代の空気が蘇ってくるようで、その独特の世界観に心を奪われてしまいます。

この楽曲の魅力はやはり、その切なくも美しい歌詞にあると思います。特に「私は私 貴方は貴方と 昨夜言ってたそんな気もするわ」というフレーズは、何度聴いても胸がギュッと締め付けられます。サビ部分の「stay with me…真夜中のドアをたたき 帰らないでと泣いたあの季節が 今 目の前」も、過去の恋愛を振り返るセンチメンタルな感情が伝わってきて、心に響きます。

そして、エレクトリックピアノやサックスの使い方がまた秀逸で、ジャジーでセクシーな雰囲気を醸し出しているのもポイント。林哲司のアレンジが、この曲に一層の深みを与えているのが感じられます。聴くとまるで夜の街を歩いているような、少し大人びたムードに浸れるのがたまりません。

面白いのは、この曲がリリース当初はオリコンチャートで28位を記録したものの、40年後に再評価され、特に2020年代に入ってからは世界的に注目を浴びていることです。きっかけは、インドネシアのYouTuberであるRainychがこの曲をカバーしたことで、そのカバーがバズり、SpotifyやApple Musicでの再生回数が一気に伸びたんですよね。まさに、シティポップの再ブームを象徴する出来事です。

④Mellow Yellow - SPiCYSOL

2018年にリリースされた彼らの2ndアルバムですが、このアルバムはやっぱり夏の海岸線をドライブするような気分にぴったりだなと感じます。SPiCYSOLといえば、ロックやレゲエ、R&Bといった多様な音楽スタイルを融合させた独特のサウンドで知られていますが、このアルバムもその魅力をたっぷり感じさせてくれる一枚です。

「Mellow Yellow」全体を通して、リラックスした雰囲気と80年代のポップ・サウンドが心地よく融合しているのが印象的。特に、海岸線をゆったりとドライブしながら聴くイメージで作られた楽曲たちは、どこか懐かしい風景を思い起こさせます。まるで、夏の夕暮れに海沿いの道を流しながら聴いているような気分になるんです。

アルバムのテーマ自体が「海岸線のドライブ」ということで、聴いているだけで自然とリラックスした気分になれるのが魅力。日常の喧騒から離れて、ゆったりとした時間を楽しみたいときにぴったりです。特に表題曲の「Mellow Yellow」は、そんな穏やかなひと時を過ごすカップルの日常を描いていて、その歌詞に共感する人も多いのではないでしょうか。「君といるだけで、何もいらない」といった歌詞が、シンプルながらもとても心に響きます。

このアルバムを聴いていると、音楽的には80年代のポップ・サウンドをベースにしながらも、洋邦さまざまなエッセンスがちりばめられているのが感じられます。その結果、耳に馴染むけれどもどこか新しい、そんなSPiCYSOLならではの楽曲たちが生まれています。リードギターのAKUNのさわやかなリフや、PETEのキーボードが織りなす心地よいサウンドは、何度聴いても飽きることがありません。

個人的には、夏の終わりを感じるような9月の午後に、窓を開けて風を感じながら「Mellow Yellow」を流していると、自然と心が落ち着いてくる気がします。SPiCYSOLの音楽は、日常の中でちょっとした非日常を味わえる素敵なツールだと思います。忙しい日常から少し抜け出したい時、ぜひ彼らの音楽に耳を傾けてみてください。

⑤SUNRISE - YONA YONA WEEKENDERS

彼らは2016年に結成された、日本のシティポップバンド。心地よく耳に響くその歌声にはどこか引き込まれるものがある。

彼らの音楽スタイルは、メロコア・パンク出身のメンバーがシティポップを標榜しているということで、ちょっと異色な感じがして面白い。音楽のコンセプトは「つまみになるグッドミュージック」。聴きながらビールでも片手に、週末の夜をリラックスしながら楽しめるようなサウンドが詰まっている。

中でも、個人的に気になっているのが「SUNRISE」という楽曲。詳細な情報は見つからなかったけれど、YONA YONA WEEKENDERSの他の楽曲やアルバムから考えると、きっとこの曲も彼らのシグネチャースタイルであるリラックスした雰囲気が感じられるんだろうなと思う。

例えば、彼らの2nd EP『街を泳いで』は「ある日の休日」をテーマにしている。休日のまどろみや、夜の楽しさを表現した楽曲が詰まっていて、まるで友達とぶらぶらと街を歩くときのBGMとしてぴったり。ちょっとした日常の喜びやリラックスした時間を描いているのが彼らの魅力だと思う。そういう何気ない日々の小さな幸せを、彼らの音楽は丁寧に描き出している気がする。

さらに最新のEP『into the wind』では、「風」をテーマにしていて、どこか自由な感じが漂っている。風に乗ってどこか遠くへ行けそうな、そんな希望や期待感が感じられる。どの曲も、自然と肩の力が抜けてリラックスできるし、少し物思いにふけるような時間を過ごせるのがいい。

YONA YONA WEEKENDERSの音楽を聴くと、彼らが届けてくれるそのリラックスした時間の中で、ふとした瞬間に忘れていた感情や思い出が蘇ってくるような気がする。まさに「つまみになるグッドミュージック」というコンセプト通り、どんな時間にもそっと寄り添ってくれる音楽なのだ。これからも彼らの新しい作品に耳を傾けて、心地よい週末を過ごしたいなと思う。

音楽は、日常に溶け込みながらも、時には私たちを非日常の世界へと連れ出してくれます。今日の5曲を聴いて、そんな音楽の力を改めて感じることができました。これからも、心を豊かにしてくれる素敵な音楽との出会いを大切にしながら、音楽のある生活を楽しんでいきたいですね。

それでは、また次回も素晴らしい音楽を一緒に楽しみましょう。お楽しみに!

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