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本年は『静岡卸売市場』から仕事始め


 静岡市中央卸売市場は、静岡県の県都・静岡市にあり「みんなで創る賑わいの商都・しずおか市場」をキャッチフレーズとし昭和51年の創設以来、地域の農水産業・商業の振興と地域住民の豊かな食生活に必要不可欠な県中央拠点を目指して運営されてきており、
 基本方針として
1集荷力・販売力の強化 
2施設機能の充実 
3開放型市場への転換 の3つを掲げています。X社においても仲卸売業の施設・機能を充分に活用していますが、近年は、スーパーや外食産業など仲卸売業による分荷を必要としない大口消費者の取引が増加しており、静岡卸売市場を経由せず、直接生産者(漁港、自社で養殖)と消費者が取引を行う市場外流通が増加していることから経営悪化に陥る仲卸業者も少なくはなく、このままではX社においても例外ではありません。創業以来45年間以上営んできた水産生鮮食品の仲卸売業X社は、日本の産業構造の変化の中で自他ともに認めざるを得ない(中小事業者にとっては)斜陽傾向が続く事業分類となっています。X社が位置する静岡市中央卸売市場に関しても1989年と2020年の水産物仲卸業取扱高が267億円から124億円へ31年間で46%となってしまう激減、その数字に合わせた形で、水産物仲卸事業者数が17社から12社に70%となってしまう大きな減少となっており、中小卸売に関しては、今後の展望も望むことはできないという率直な現状です。このことは、経営者として十分認識しているつもりで、できる範囲の自力での小売業への進出(週1路上店舗、行商リアル移動販売と行商バーチャル店舗(HP)の開設)をはじめました。しかし実際に小売業への新分野進出は、資金面や事業ノウハウに関して容易なことではありません。猛威を振るったパンデミック・コロナ禍がほぼ終息に向かうなかで、突然のロシアのウクライナ侵攻によるによる、漁船燃料の高騰による遠洋(近海)漁業(延縄漁業)の漁獲量の減少と生鮮水産品の高価格化 餌代の高騰のため養殖魚介類の高価格化 が水産県である静岡県を痛打し、その川下に位置する中小卸売を直撃しています。国の思い切った施策である不況業種中小企業支援策今回の事業再構築計画を活用してX社が思い切った新分野進出の事業再構築を行わなければX社の5年後、10年後は、・・・どうなってしまうのか。事業再構築の必要を切に感じています。



 X社では、メバチマグロが、年間総売上げの4分の3を占めています。メバチマグロの生息地は赤道を挟んだ南北に緯度35~40度位までの世界中の温帯・熱帯海域に分布しており、日本では、延縄(はえなわ)漁法(幹縄に釣り針のついた多数の枝縄をたらして捕獲する。幹縄の長さは約100Km にも及び約50m間隔で枝縄を垂らす。針につける餌はサンマ、イカなどを用いる。日本の延縄船は、インド洋、オーストラリア南方から、大西洋まで進出している。欧米各国は、マグロの激減を延縄漁に原因を求めており、マグロ漁の全世界的な禁止を提案している。)を行っているためその遠洋マグロ延縄漁業に使われる漁船燃油(重油)は、漁師の遠洋航海ランニングコストの大半を占めるものとなっています。政府・都道府県による漁業者への燃料費支援をもってしても遠洋漁業出港を控える漁船や、燃料費の価格補填を減少した漁獲鮪に求める漁業者のため水産卸市場でのメバチマグロ価格が高騰しています。X社の既存事業であり、現在の売上高の大部分である仲卸は、もともと利益率が薄い事業(元の買い手=小売事業者・飲食店の力が強く仲卸業者の利益が取れなくなっているのが中小卸売りの現状)であり、さらなる漁船燃油価格の高騰によるメバチマグ漁獲高の減少・価格高騰は、仲卸業のX社にとって大打撃となっています。

 X社は、創業以来「水産物仲卸業者」として営業を継続してきましたが、「仲卸業」自体が構造的な不況業種となり、価格競争に陥り付加価値を付けた商品を市場に提供することが非常に困難となっているのが業界の現状です。(当社卸売部門粗利益率10%、小売部門粗利益率30%)。全社売上高の仲卸部門での売上の維持は、続行しますが、利益の取れる新分野である「小売業」への新分野展開をしていくことが当社の生き残り戦略であると考えて
2023年より本格的に小売業態(特殊な)への新分野進出を行います。





 
 


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