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長編小説〖ダリア〗

どうして…今さら????

現実を受け止められなかった。

死んだはずの彼が、私に向けて微笑んでいる。

龍弥『コレ、落ちましたよ?(^^)』

わからない… 

わからないよ・・・・

その場から逃げ出したかった。

でも、身体は動かない。。

龍弥『あの・・・・?』

私が落とした、キャラクターのキーホルダーを拾い上げ差し出してる。

さくら 『ぁ・・・りがとぅ』

かすれた声しかでない。

いったい、あなたはだれ????

龍弥『じゃ、気をつけて♪』

来た道を戻って行く。。

待って…

置いてきぼりはもうやだよ!!!!

気がついたら追いかけて、腕を掴んでた。

さくら 『また、独りにするの!?

ゆずき…』

おさえられなかった、感情をぶつけると 

龍弥 『俺・・・・ゆずきじゃないよ?(^^)』

笑顔で振り返える。 

はっと我にかえり、腕を離す。

龍弥 『・・・・コーヒー、飲まない?(^^)

もちろん、奢るから』

目の前のコーヒーショップに引っ張られる。

席に座る、ゆずき似の彼は抹茶ラテを一口飲むと

龍弥 『改めて、こんにちは。

俺、龍弥っていいます

君は????』

声までそっくり、、、、

神様、私にこれ以上苦しめと言うんですか?


龍弥『大丈夫?』

信じられないぐらい似てて、 黙って見てると 

顔をのぞきこむ。

さくら 『はぃ・・・・・』

龍弥『名前、聞いていい?』

さくら 『さくらです。』

*ゆずき* さくらは、何歳になってもかわらないな。

ゆずき…

龍弥『さくらちゃんだね(^^)

素敵な名前だね!』

無邪気に笑う。。

ゆずきみたいに笑わないで。

龍弥 『でさ、さくらちゃん。

さっきは誰と間違えたの?

そんなに俺に似てた?

アァ~!!!!

もしかして、、、フッた男に』

ゆずきや私の事、何も知らないくせに…

さくら 『ゆずきに、フッたとか

フラれたもないし元カレなんかじゃない!!!!

今も私の中で生きてる!!!!

わかったような事、言わないで…』

泣きじゃくった、私。

ゆずき…助けて。。。

龍弥 『ごめん。

そんなつもりで言ったんじゃないんだ・・・・。』

私は、その場を逃げ出した。

もう、ゆずきに会えないの…?

なんで、死んじゃったの?

置いていかないって約束したじゃん… 

ねぇ、どうして…ゆずき

気がついたら、 ゆずきと出会った場所に来ていた。

そう…10年前、ここで初めてあったんだよね。





(ゆずきとの思い出を振り替える)

貴子 『おまたせ~、さくら♪』

さくら 『貴子、久しぶり♪』

ゆずき 『…』

貴子 『久しぶり♪

ごめんね、お邪魔なやつ一緒で!』

さくら 『ううん、気にしてないよ(^^)

貴子の彼も見たかったし♪』

ゆずき 『ゆずきです、話よりも可愛いね(^^)/』

(頭を撫でる)

貴子 『ちょっと馴れ馴れしくさくらの髪に触れないでよ!』

ゆずき 『貴子そんなに怒んなよ、ね…さくらちゃん♪』

(目を開けて現実に戻る)

あの時は、貴子が本気で泣いてたのにゆずきが変がおして笑いに変えてたよね。。

二人を羨ましく思って見てたな。

その日から良く三人で遊んだ、貴子が仕事で転勤するまでは。 

貴子、ゆずきと一緒に行きたがってたのに転勤をきっかけに別れたし。

(また、目を閉じる)

ゆずき 『さくらちゃん、俺と貴子…ダメになっちゃった。』

さくら 『えっ、あんなに仲良かったのに…?』

ゆずき 『転勤してから様子がおかしくて…問い詰めたら

他に好きなやつ出来たって言われたよ…』

さくら 『ゆずきさん…』

ゆずき 『かっこわりぃよな…泣いたりして

ごめん、さくらちゃん』

さくら 『謝らないで…』

(ゆずきはさくらを強く抱きしめる)

ゆずき 『今だけでいいんだ…

こうしてていい?』

さくら 『ぅん』

(目を開ける)

それから付き合うまでに時間はかからなかったな… 

*ゆずき*

さくらを好きになった、おれが守るから付き合って下さい!

って告白されたのもこの場所だった…

5年間でいろんな所にでかけたし、たくさんの愛をもらった。

あの瞬間までは… 

(目を閉じる) 

さくら 『ゆずき、遅いな(>_<)』

いつも時間にぴったりなのに… 

(着信*ゆずきのディスプレイ)

さくら 『もしもし?』

男性 『さくらさんですか?』

さくら 『はい』

男性 『○○病院の名城と言います、突然のお電話びっくりされましたよね?

ゆずきさんをご存じですか?』

さくら 『はい、知ってます…』

男性 『先ほど、○○で起きた交通事故にゆずきさん、巻き込まれましてうちに搬送されて来ましたが、その時は…お亡くなりになっていました。

今、ご家族にも連絡をして来てもらっています。』

さくら 『うそ…』

(その場で泣き崩れる)

男性 『ゆずきさんは、顔が判別出来ないほど損傷しておりますが…さくらさんもお会いになりますか?』

さくら 『…』

(目を開ける)

結局、私は…ゆずきの最後を見に行けなかった。

現実を受け止める自信がなくて。

今だってそう、死んだなんて嘘っぱちだと思っていたい。

龍弥 『やっと、見つけた』

さくら 『えっ…』

龍弥 『さくらちゃん、カバン忘れて飛び出しちゃうんだもん、必死に探したよ~

良かった、無事に発見できて。。』

さくら 『…』

(無言でカバンを受け取り

涙を我慢する)

龍弥 『溜め込まずに泣いていいんだよ』

(頭をポンポンと叩く)

さくら 『ゆずき、会いたいよぉ…!!!!!

何で独りにしたの!!!!!!?

ゆずき…』


(龍弥にしがみつき、声を上げて泣く)


ベンチに座ってからも1時間ぐらい泣き叫んだ私は、いつの間にか、寝ていた。

目が覚めて身体を起こすと、まわりはオレンジ色の世界に包まれてて 

男性用のジャケットかかけられていた。

龍弥『おはよう、さくらちゃん♪』

振り替えると笑顔で走ってきた。

汗がオレンジの光でキラキラしてる。

龍弥『お茶で良かった?(^_^)』

隣に座るとお茶を差し出す。

さくら 『ぁ、ありがとう…』

右手でお茶を受け取り、左手で男性用のジャケットを渡そうとする私を

龍弥 『今、あちぃしさ…夜になると冷えるからさくらちゃんが着けてて』

ジャケットを肩にかけられた。

なんだか、心がスッキリした。 

思い切り泣いたからだ。

ずっと一人でいたから、どんな風に泣いていいかわからなかった… 

龍弥さ…んのおかげなのかな。

さくら 『さっきは、急にどなったりしてごめんなさい。』

龍弥 『さっき…?

あぁー気にしてないよ!

俺が失礼な事を言ったのは、事実だし』

さくら 『ううん、感情的になりすぎた私がいけないの…』

龍弥 『あぁもう!二人で謝ったからこの話しは終わり!』

私の頭をぐしゃぐしゃとして笑う。

さくら 『でも…』

龍弥『わかった、次の日曜日にちょっと付き合って!

それでお互いにおあいこね♪』

さくら 『はい』

龍弥『よし、決まり(^_^)v』

(龍弥の携帯がなる)

龍弥『ちょっとごめんね。

もしもし、何だよ!

その話しは、終わっただろ!

わかったよ、今から行くよ…』

困った口調で話し、電話を切る。 

頭を抱えてため息をつく。

龍弥 『俺、行かなきゃ行けなくなった。

本当は、駅まで送って行きたいけど…

急がないと間に合わないから!

じゃあ、日曜日に15時にこの場所でね。

さくらちゃん、ありがとう』

また、走って去っていった。

さくら 『あっ、ジャケット…』

渡しそびれた、ジャケットからは…かすかにかおる香水が私を包む。

さくら 『ゆずき…私、、、』






龍弥 『来たぞ。』

レンジ 『龍弥さん!』

龍弥『毎日毎日飽きもせずに

俺、忙しいんだよ?』

レンジ 『うん、わかってるよ♪

だから、龍弥さんが返事してくれたら何回も呼ばないよ(^^)』

龍弥 『・・・・なぁ・・・・言ってるだろ!

レンジは弟みたいに思ってるって。

だから。。』

レンジ 『他に好きな女がいるの…?

おれの何が不満なの?』

龍弥 『らちがあかん!

付き合ってられない、もう帰る。』

レンジ 『まだ、答え聞いてない。

おれ、このままだとネムレナイよ…』

龍弥『それ…昨日も一昨日も聞いた。

ほんとにネムレナイなら髪の毛に寝癖ついてないから、じゃあおやすみ!

もう、この話で呼び出すなよ』

レンジ 『あ…

おれ、本気で龍弥さんを

愛してるのに・・・・・』


——————日曜日。 

さくら 『…ふぅ』

なんか、緊張して落ち着かない。

15時30分・・・龍弥さんはまだ、来てない。

今日だけなんだから、ゆずきも許してくれる。

大丈夫、大丈夫。

ゆずきに対する罪悪感で押し潰されそうな、心を落ち着かせようと水を一口飲むと 

龍弥 『わっ♪!!!!!』

(背後から大声を出し一瞬肩を掴む)

さくら 『ん!!!!…

ゲホッ』

龍弥 『ごめん、水飲んでたなんて(≧ω≦)』

さくら 『だ、大丈夫です…』

龍弥 『怒んないの?(^^)』

さくら 『へっ?』

龍弥 『普通、怒るでしょ?(^^)』

さくら 『あっ…』

龍弥 『気付くの、おそっ笑

さくらちゃん、天然なんだね笑』

さくら 『天然じゃないです!』

緊張してたのにいつの間にか笑えてる、私。

龍弥 『やっと、自然な笑顔になったね!

さくらちゃんは、ぜっ~~たいにそっちの方が可愛いよ?』

頭を撫でる、龍弥さんの手がとても大きかった。

龍弥 『行こうか、さくらちゃん!』

不意に龍弥さんが私の手をつないで先に歩き出した。

龍弥 『妹がさ、明日…誕生日でプレゼント一緒選んでほしくてさー!
オレ、センスないらしいんだよ。。』 

歩きながら話す龍弥さんは、どこか顔が赤いように見える。

龍弥さん、、やっぱりゆずきに似てて…

変に意識してしまうよ。

龍弥 『さくらちゃんならどんなものが欲しい?』

さくら 『私だったら…髪飾りかネックレスがいいかなって思います』

龍弥『じゃあ、あそこのお店とか色々ありそうだね!』

指をさした方向には、スワロスキーのアクセサリーを取り扱ってるちょっと高そうなお店があった。

さくら 『あそこは高くないですか?』

龍弥 『値段は気にしなくていいの!

女の子は誰だってお姫様になれる素質もってるんだから、貰われる側は気にしなくていいんだよ!』

お姫様か…。

私には、程遠いよね…ゆずき。。

お店の中へ入ると、きらきらとスワロスキーが輝いていて綺麗だった。

妹さんに、似合うアクセサリーか。

どんな感じの女性なんだろう… 

さくら 『龍弥さんの妹さんってどんな感じの女性ですか?』

龍弥 『ん~~笑ってる顔が一番似合うかな。』

思わず、ひまわりをモチーフにしたネックレスを手にとる。

さくら 『黄色と緑がキラキラしてて可愛い・・』

龍弥 『ん?』

さくら 『私が妹さんならこんなのが欲しいです!』

龍弥 『そっか…

めちゃくちゃ参考になる(^^)』

30分ぐらい店内をウロウロして、結局…龍弥さんは買わずに

この付近の他のお店も見たけど、‘パッとしてない ’と言って諦めた。

早めに夕食にするためにお店へ

そして、夕御飯を注文したら… 

龍弥『ごめん、ちょっと仕事の事で電話してくる。』

お店の外へ出ていく。

10分後。

龍弥 『遅れたね、料理来ちゃた?』

さくら 『まだ暖かいですよ』

それからご飯を食べて家まで送ってもらった。

さくら『今日はありがとうございました。』

龍弥 『こちらこそ楽しかったよ!

じや、またね!』

さくら 『バイバイです。』

家の中に入ろうとする私を

龍弥『さくらちゃん、

今日のお礼!』

勢いよく渡された紙袋を受けとると

龍弥 『またね~♪』

笑顔で駅の方に走っていった。

部屋の中に入り、紙袋を開けると… 

メッセージカードに 

“騙してごめん!

俺、妹なんていないんだよ!

さくらちゃんに笑って欲しくて…思い付いて

気に入ってくれたら嬉しいし、

それでつけてくれるなら、

また、デートしよう”

電話番号がかかれていた。

そして小さな箱を開けると… 

黄色と緑がキラキラ光るひまわりのネックレスに

さくら柄のカチューシャがあった。

思わずにさくら柄のカチューシャとキラキラ光るひまわりのネックレスをつけてみる。

さくら 『私には、もったいないよ………』

鏡の前にかけた、男性用のジャケットが落ちる。

さくら 『龍弥さん…』

ジャケットを手にとって、部屋を飛び出した。

駅までの道を裸足で全力疾走する。

改札口の手前で並んでる龍弥さんを見つけた。

間に合った…。

その場に座り込む。

人の列はどんどん流れていく。

ま、待って…

ちゃんと“ありがとう”を言ってない

だから、待って、りゅ…

さくら 『りゅ……りゅうやさん!!!』

(後ろを振り返りさくらを見る)

龍弥 『ん?

さ、さくらちゃん?!』

列をはずれて、私に駆け寄る。

さくら 『カチューシャとネックレスの事、ありがとう言ってないし…ジャケットだって返してなかったから…』

息が上がって、途切れ途切れになる言葉で感謝を伝える。

さくら 『あ、り、がと、う』

突然、抱きしめられる。

龍弥 『さくらちゃん、ずりぃーよ!

裸足で追っかけて来て、そんな可愛い笑顔で“ありがとう”なんて言ったら…

俺、カッコ悪いじゃんか。。


あぁ!!!!

足から血が!!!!』

足の裏に硝子の破片が刺さってて、全力で走ったから奥の方に埋まっていた。

さくら 『必死で走ったから気がつかなかった。』

龍弥 『もう、だめでしょ!

姫様がこんな無茶したら…傷が残ります!』

ちょっと、怒ったような顔をしたかと思うと恥ずかしい言葉を言って、私をお姫様だっこして持ち上げる。 

さくら 『えっ?

やだ、恥ずかしいからおろして下さい!!!!』

おでこ同士をピタッとくっつけて

龍弥 『降ろさない!

このまま歩いて帰れないでしょ!!!

それに敬語は禁止ね♪』

一瞬の真顔からの笑顔で私は、

ドキドキして何も言えなかった。

ねぇ、ゆずき… 

彼をもっと知りたいと思う気持ちは、

ゆずきに失礼かな?

少しずつだけどゆずきの死を受け入れはじめてる私がそこにはいた。 

龍弥 『傷が残らないように、ちゃんと硝子をとって消毒しましょうね!』

ゆっくり改札口から歩き出して、私の家に向かう。

レンジ 『・・・その女誰だよ・・・・・・・・・・龍弥さん!!!!!!!!!!!!!』

龍弥 『レンジ!?』

レンジ 『その女…誰だよぉ!

龍弥さぁ…ん。。』

突然、現れた男性は泣き出した。 

さくら 『龍弥さ…ん?』

龍弥さんの腕に力が入り、薄暗く見えずらいけど

顔が強張っているような気がする。 

龍弥『大丈夫だからね、さくらちゃん。


レンジ、なんでここに居るんだ?

また、俺の後をつけたのか?

いい加減にしろよ!

なんべん言わせたら解るんだ!

俺は…』

レンジ 『愛してるんだよ、、龍弥さんを、』

龍弥 『気持ち悪んだよ!!!』

レンジ 『・・龍弥さん?』

龍弥『レンジは俺にとって弟とか友達みたいだった。。

でも、ここまで、ストーカーみたいにされてまた仲良くなんて出来ねぇ!!!

二度と俺と彼女の前に現れるな!!!』

早足で歩き出す。 

その目には、涙が溢れていた。

とても、悔しそう。


足早に私の家へ向かう。

ガチャ。

龍弥『ごめん、さくらちゃん…』

家につき、お風呂場で足を洗いながら謝った。

さくら 『ぅん…

ぃたっ!』

割れた硝子の破片を優しく取りのぞく。

お風呂場を出て…居間のソファーに座らされ

不器用だけど丁寧に…傷を消毒してガーゼをしてくれた。

さくら 『ありがとう…』

龍弥 『傷が残らないように祈りながらしたからもう、大丈夫!』

私の隣に座る。

さくら 『麦茶とかのみます?』

龍弥 『敬語は禁止って言ったよ?笑』

頭をポンポンと撫でる。

さくら 『はぃ』

龍弥『俺がいれるよ』

キッチンに行って麦茶をいれてくれる。 

龍弥『さっきは大声だしてびっくりさせたね、、』

低く甘えた声で話し出した。

麦茶を私に渡しまた、隣に座る。

龍弥 『アイツ、さっきの男なんだけど…

レンジって言うんだ。

三年前にダチの紹介で知り合ったんだけど…

ここ最近なんだよ、俺に執着してんの。

特に、1ヶ月前に“龍弥さんを一人の異性として愛してる”って言われたから

冗談だと思ってさ“ありがとう”って笑って返したら… 

“本気だよ!”って…抱きつかれて

そんときに、“こいつマジで言ってんだ”って理解した。

けど、その目を見て怖くなった。

避けたら傷つけるから、普段通りに接してたつもりなんだ。

それがいけなかったのか… 

俺のいく場所に居たり、ねほりはほり、聞いて来たり、

電話で呼び出しされたり、

断ると“死んだら隣に行けるね(笑)”って笑うから…

・・・・・』

声が震えはじめ…しばらく沈黙が続く

龍弥 『・・・・正直、精神的にキツかった。

俺、、レンジを弟みたいに思って…

家族に接すると同じように接してた・・・・

だから、、強くレンジに言えなかった。

守る人も居なかったから、


俺が苦しめば、


いいんだって諦めてたんだよね、

どこかで。

さくらちゃんに出逢うまでは…』

龍弥さんはおでこを私の肩に乗っけて… 

龍弥 『俺を助けてくれてありがとう…

守らせてくれてありがとう…

こんな俺の話を聞いて、、』

涙が肩にかかる。

辛いのは、ゆずきを失った私だけじゃない。。

龍弥さんもまた、辛くて苦しんでる。

涙が止まらない

龍弥さんの方向に身体を向ける。

龍弥 『さくらちゃん…』

子供みたいに私の胸の中でないた、龍弥さん・・・。

男の人がここまで泣くなんて、とっても独りで苦しかったんだ。

私と一緒で誰かに話を聞いて甘えたかったんだ、彼も。

さくら 『今は、いっぱい泣いていいょ』

龍弥さんの大きな背中を擦ると 

ぎゅうっと抱きしめられる。

龍弥 『ありがと。。』

龍弥さんは、しばらく泣いて…

私も一緒に泣いてた。

時より見つめあって

甘えてキスを求め合っていた。

龍弥『さくら…』

また、重なりあう唇。

さくら 『んっ・・・』

ゆずき…ごめんね。。。。

私、龍弥さんが…す、、き。。

朝日が眩しくて…目をあけると

午前7時。

あのまま、ソファーで寝てしまったんだ。

ふと隣をみると、私の左手をしっかりと握りしめて

泣きつかれた子供のように眠る、

龍弥さんがいた。

微かに寝息をたたてる。

ちょぴり唇が腫れてて熱い。

右手でそっと触れてみる…

昨夜の事がよみがえり、恥ずかしくなる。

龍弥『んっ…

お、、、はよう(^^)』

唇に触れてた右手を素早くおろし 

さくら 『おっ、おはようございます』

龍弥 『敬語は…』

さくら 『禁止だよね。?』

龍弥 『わかってるじゃん!笑』

握りしめた手をぎゅっとした。 

それから軽く朝ごはんを食べて、龍弥さんは帰っていった。

私も職場に向かう為、最寄り駅につく。

駅構内。

電車を待ってると。

後ろから声がした。


レンジ 『お前、いい気になるなよ…

思い知らせてやる。。』

振り返る私。

昨日の人、、、

思った瞬間に彼は、笑いながら電車に向かって飛び込んだ。 

周りが騒然となり、、私は動けなくなった。


何が起きたのか、わからないままパニックになる。


ゆずきが怒ってるんだ。

“俺がいるのに他のヤツに揺らぎすぎだろ!”

ゆずきのそんな声がはっきりと聞こえた気がした。

私は、二度と誰も愛してはいけないんだよね。。。。

ゆずき… 

ごめんなさい。。

もう、ゆずきを裏切らないから…

誰も死なせないで。

あれから電車は遅れ、会社には…1時間後についた。

けど、仕事は手につかず早退し家に帰った。

あの笑った顔が脳裏を離れない。

龍弥さんにはもう、会わないで置こう。

その方がお互いの為。

意思を固めた瞬間に、

電話がなる。

ディスプレイ *龍弥さん*

固めた意思が揺らぐ。

一瞬、ゆずきを思い出して

耳を塞ぐ。

お願いだから、もうかかわらないで…

しばらく電話がなり続けた。

二時間後。

ピンポーンとチャイムがある。

泣きつかれた身体をおこし玄関に向かう。

さくら 『はい。』

龍弥 『さくら!?』

その声に動けなくなる。

さくら 『どうして…』

龍弥 『レンジが…電車に飛び込んだって病院から電話で聞いて、駅の名前聞いたらさ・・・・・

さくらの家の最寄り駅だったから何かされたんじゃないかと心配で!!』

さくら 『・・・・・・・

ぶ、無事なんですか?』

龍弥 『レンジなら無事だ…

無事だから、ここを開けてよ

??』

さくら 『・・・・・・。

ドアは開けれません。』

龍弥 『顔を見せてよ、抱き締めさせて…』

さくら 『・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

もう、私達会うのやめませんか?』

龍弥 『・・・なんて言った?』

さくら 『だから、、、』

龍弥 『今言ったのが、

さくらの本音でも強がりでも

俺は、ここを開けてくれるまでは叫び続けるし

顔を見みて抱き締めさせてくれるまでは、離れない!!!!!

さくら『龍弥さん、、、』

龍弥 『何度でも、誰に何を思われても関係ない!

さくらの悲しみや苦しみを俺が半分もらえるなら…

ずっとここで声が枯れるまで叫んで待ってるから!!!!』

やめて、龍弥さんにはもうかかわらないって決めたのに…

さくら 『もう、誰も傷ついて欲しくないから…』

龍弥 『何だよ、それ…

・・・・・・俺は、たださくらが好きなんだよ!!!!!!』

龍弥さんが、私を…?

龍弥『とにかくここを開けて、目を…』

突然、聞こえなくなった声に慌てて鍵をあける。 

さくら 『龍弥さん!!!』

ドアが勢いよくあいて抱き締められた。

龍弥『やっと、捕まえた!

もう、二度と離したくない…

レンジのこと、ゆずきのこと、全部全部、俺がなんとかするから

もう、独りで抱え込むなよ。

ずっとそばにいる覚悟は出来てる!』

私の肩に熱い涙がかかる。

嬉しい…。

ゆずき、もう前に進んでいいよね?

さくら 『龍弥さん、ありがとう。

・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・私も龍弥さんが好きです。』

龍弥 『マジ!?

本当の本当にマジに俺が好き?!』

さくら 『・・・・・・・はぃ』

腕に力が入った。

龍弥 『ちょ~嬉しい(>_<)

さくら~♪

これから先は俺を頼って欲しいし、二人で色んな壁を乗り越えて幸せになろうな!

あとは、レンジの足が完治して俺に執着しないように話し合って行こう♪

ゆずきって奴のお墓にも挨拶いって・・』

さくら 『ちょっと、待って下さい。

好きって気持ちを伝えましたが

…お付き合いは出来ないし、これからは会う事もないです。』

龍弥『・・・・何でだよ。。』

さくら 『…ゆずきの事、、まだ好きです。

それに、龍弥さんに恋をしてるのか…

ゆずきとダブって…龍弥さんが好きなのか、気持ちの整理もついてないですし

レンジさんは、龍弥さんが大好きで私よりも気持ちは大きいとわかりました。

だから、私たちは会わない方がいいんです。

だから、もう帰って下さい。

二度と・・・・・・

ここには・・・・・・』

龍弥 『もう、わかった』

龍弥さんは、家を出ていきまた、静まりかえった部屋で私は…泣いた。

これでいいんだ、これで… 

かすかに残る龍弥さんの香水の匂いが余計に悲しくさせた。

今の私には、何もない。 

それから月日は流れて。


4ヶ月がたった。


あんま風に突き放したのに龍弥さんは、毎日…手紙を書いて届けてくれる。

朝、起きたらポストに入ってるのが日課になった。

書かれてる内容は、レンジさんの具合や龍弥さんの気持ち…

レンジさんは、足は歩けるようになって今は、元気だと言うこと。

龍弥さんの気持ちは変わらずに私を好きだと言うこと。

溢れた、感情をそのままに綴られてる。 

本当は私も会いたい。

自分で決めた事なのに苦しい。

(着信)

さくら 『はい』

貴子 『さくら、久しぶり♪』

電話は、貴子だった。

ずいぶん、あってない。

今日、休みだと言うと

貴子 『今から、遊ぼうよ♪』

私は、急いで準備をして出掛けた。

ゆずきのこと… 

貴子はどんな風に考えてるのか?

気になってた事を全部聞こう。

急ぎ足で待ち合わせに向かう。

貴子 『さくら~♪』

さくら 『貴子(^^)/』

合流してまもなく…

『久しぶり、さくら♪』

振り返った先には、 

さくら 『ゆずき…』

死んだはずのゆずきが笑って手をふっていた。

さくら 『ゆずき?!』

わけが解らずに立ち尽くす。

貴子 『ちょっとお手洗い(^^)』

ゆずき 『さくら、元気だった?』

目の前にいるのは、幻?

それとも…龍弥さんの悪戯???

あまりの衝撃に言葉を失う。

Chu♡

いきなりのキス。

ゆずき 『ごめん、あんまり可愛くなってたから(^^)

キスしちゃった♡』

さくら 『・・・

・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・ちゃんと説明して』

震える身体、痛すぎる心。。

涙を押さえるのに肩にちからが入る。

目の前にいるあなたは

龍弥さんなの?

ゆずきなの?

助けて…


龍弥『さくら!』

突然、捕まれた腕。

引き寄せられる。

龍弥 『やっと、突き止めた。

ゆずきって名前に変えて

顔まで整形して、俺に偽やがって

お前は同じ中学だった、裕太だろ!』

ゆずき 『人聞き悪いな。

裕太って知らないし、お前もしらない。

頭おかしいんじゃないの、あんた。

さくら、行こう』

ゆずきが私を引っ張る。

足をひねって転ぶ

龍弥 『俺のさくらにさわってんじゃねぇ!

しらばっくれんな

証拠は揃ってるんだよ!』

ゆずき『意味わか…』

貴子『これでも?』

白衣を着た男性がいる。

・・・貴子?

龍弥『あの人、整形した時の担当医だよな?』

ゆずき 『うっ…るさい!!!!!!


そうだよ、俺は…裕太でゆずきは偽名!

顔だって…そっちの先生に整形してもらったよ!

これで満足か、龍弥に貴子。』


貴子 『他に言うことあるでしょう?』 

ゆずき 『顔も戻して…』

龍弥『さくらに謝れ!!!!』

ゆずき 『はぁ?』

龍弥『さくらは、ずっとずっとお前が好きで本気
で死んだだと思って今日まで生きてきたんだぞ!』

ゆずき 『騙されるさくらが悪いだよ!!!!

はじめは、二股しててスリルあって楽しかったのに、

貴子はお金を貢いでくれなくなったし

さくらもキスから先には進ませないし

飽きたんだよね、正直(笑)

死んだってちょっと声変えて電話したら

バカみたいに信じて、ちょ~ウケた(笑)

ごめんな、さくらに貴子ww』

全部、嘘。。

私は、どこかで安心した。

もう、これで苦しまなくていいんだ。 

龍弥さんを大好きでいていいんだ。


龍弥 『ヘラヘラ笑ってないで

謝れ!!!!!!!』

龍弥さんはゆずきに掴み殴り、かかる。

貴子は、声を出して泣き続けていた。

私は、、、

さくら 『・・・・殴らないで』

龍弥さんにの背中に抱きついた。 

龍弥『さくら…?』

さくら 『もう、ゆずきに未練はないよ。。

私が今、泣いてるのは…

龍弥さんに逢えたから。』

龍弥 『・・・・・・・』

龍弥さんは、ゆずきを離して私を抱き締めた。

龍弥『俺もすっげぇ逢いたかった…さくら』

そして、ゆずきはその足で整形病院に行き元の顔

に戻したと後日、貴子から連絡があった。

あれから私の部屋に移動してただただ抱き締めあった。

龍弥 『さくら…好きだよ、、

もう、二度と寂しくさせないから俺と付き合って欲しい。』

さくら 『はぃ』

甘くて息苦しほどのキスをした。

龍弥『愛の証…』

私の右手の薬指に指輪がつけられた。

龍弥 『その指輪の石は、俺の誕生石だよ(^^)

いつでも俺を感じて欲しい。』

そう言って笑顔で頭を撫でてくれた。

龍弥 『おはよ、さくら~~』

あの日から、1ヶ月がたった。

お互いの仕事のお休みが上手くあわずに…

なかなか、会えない時間を過ごした。

私は、もともと休みだった今日。

龍弥さんのお仕事も急遽休みになり… 

初お泊まりをした。。

龍弥さんの部屋は、黒を基調にシンプルだけど、ひまわりの造花が飾られたり…フィギュアやグローブのコレクションがあって素敵だった。

夜遅くだったから、二人で外食して

部屋に戻って、私が先にお風呂入って…

ソワソワして落ち着かなくて、

意味なくベッドに入って…

目を閉じてたら、

ガチャ… 

龍弥『すっきりした♪』

ドキドキが止まらなかった。

龍弥『あれ?

さくら、もう寝ちゃった??』

上手く声が出せずに居ると…

龍弥『電気、けしま~す』

小声で言うと、電気を消した音がした。

そして… 

私の横に来て、布団に潜り込む。

急に頭が浮いたかと思うと、枕とは違う感触が… 

ゆっくりと私の方に身体を寄せて

気が付けば、腕枕で向かい合わせの状態になってる。

おでこにキスをして 

龍弥 『・・・・・愛してるよ、さくら。』

熱い吐息がかかる。

私も龍弥を愛してる・・。

恥ずかしがらずに言えたらいいなぁ。

そんな事を考えてたら、いつの間にか寝てた私。

目が覚めて、顔をあげると

まだ、私は腕枕で向かい合わせにいて

先に起きてた龍弥さんに

龍弥 『おはよ、さくら~~~』

ってあくびしながら言われて…恥ずかしくなる。

一緒に朝を迎えるのは、二回目だけど…恋人になってからは初めてで

どんどん熱くなる身体。

龍弥 『まだ、寝るぅ?』

低く甘えた声がさらに私を意識させて、また熱くなる。

さくら 『お風呂入る!』

一度、落ち着こうとしてベッドを出ようとしたら 

龍弥 『逃がさない、さくら。。

ちゃんと…さくらを愛したい。』

ベッドの端に座る私を

龍弥さんは、いきなり腕を引っ張って上乗りになった。 

何も言わずに、強引だけど熱く甘いキスをする。

息が出来ないぐらい離してはくれない。

龍弥 『・・・・ハァハァ

俺は、さくらを守る覚悟は出来てる…

さくら、愛してる。』

龍弥さんが真っ直ぐに見つめてくる瞳。

私はゆっくりと目を閉じ

さくら 『・・・・・私も覚悟はとっくにでき、、』

最後まで聞かずにまた、唇を奪われ、

次第に、首筋におりていく。

時折、強く吸われながら… 

溢れるぐらいの愛を注がれた。

恥ずかしいケド、嬉しくて…

龍弥さん、ありがとう… 

貴方に愛されてる今、私は幸せだよ。。

涙が溢れた私の目をキスで拭い

龍弥『俺から離れんなよ。』

抱かれた腕の中で頷くと

力強く抱き締めた。

時間を忘れて、過ごした。




レンジ 『龍弥さんは渡さない』

あのあと、夕方からお出かけをして。。

ご飯も一緒に食べて部屋まで送ってもらった。

龍弥 『めちゃくちゃ楽しかった!

あんがとな♪』

あんなに楽しくて幸せだった時間が終わるのが嫌で…

泣きそうな気持ちを押さえてると

龍弥 『やっぱり、まだ一緒に居たい…』

抱きしめられた身体が熱い。

さくら 『龍弥さん、、』

私と同じ気持ちでいてくれた事に涙が溢れた。

龍弥『ギリギリまで居るから添い寝していい?』

さくら 『・・・・ぅん』

鍵を開けて中に入ろうとした。

レンジ 『龍弥さん…』

振り返ると、レンジさんがたっていた。

龍弥 『レンジ。』

私は、あの時の記憶の声が甦った。

“お前、いい気になるなよ…
思い知らせてやる。。”

震えが止まらない。

レンジ 『そんなに怒らないでよ。

おれ、二人に謝りたくて…』

龍弥 『今さらなんだよ!?』

肩に力がはいってるように見えた。

レンジ 『迷惑かけてごめんなさい!

すぐに許してもらおうと思ってないから…』

レンジさんは、土下座をして謝った。

龍弥 『謝るぐらいなら前向いて、新しい恋をしろ!

さくら、行こう』

レンジ 『待って、これ二人で食べて(^_^)v』

小さな箱を差し出し、帰って行った。

龍弥さんは、箱の中身を見て… 

龍弥 『気が利くじゃん』

バウムクーヘンが入ってて 

龍弥 『二人で食べようか。』

リビングでコーヒーとバウムクーヘンを食べる。

龍弥 『・・(モグモグ)・・・・

レンジも前向いて頑張ってほ…

グフッ・・・・・』

突然、痙攣を起こした。

さくら 『龍弥さん…!』

私も思うように身体が動かない。

私も痙攣がはじまり…

泡を吹いてるのを意識が薄れるなかで最後に見た龍弥さんの姿だった。

ガチッ。

レンジ 『生意気なんだよ、このブスが!!!!

龍弥さんは、おれのものなんだよ!

龍弥さん…今からすぐに病院に行こうね(^^)』

ガチッ。

目が覚めると…

隣人 『大丈夫ですか?』

さくら 『はぃ…』

まだ頭がクラクラする。

隣人 『不自然にドアが空いてたから、失礼かと思ったけど…気になって

良かった、無事で。。』

さくら 『ありがとうございます』

龍弥が居ない!?

辺りを見回すが見えない。

隣人 『救急車、呼びますね』

一気に不安になる。

どこに行ったの????

もしかしたら、、

さくら『お願いします…』

私は、救急車で近くの病院まで行った。

待合室で座ってると

レンジ 『もう、動けるんだ。』

身体が固まり動けない。

レンジ 『あんたは、龍弥の何?』

全身から溢れる殺気に声も出ない。 

レンジ 『おれにビビって声も出ないって?(笑)』

俯く私を覗き込み

レンジ 『怯えてるね(笑)

くっくっ… 

龍弥さん、…毒を抜いてもらって寝てるよ。

少しは、安心した?

だけどね、足は2ヶ月ぐらいギブス取れないって(笑)』

さくら 『ギブス?!』

レンジ 『やっと声でたね(笑)

ギブスは、龍弥さんを独占したくてちょっと…殴って折ったからさ

ギブスになったんだ(ニヤリ)

だから、これからは身の回りの世話はおれがするから手出しはなしね!

あと、今の話を龍弥さんにチクったり近づくような事があれば

次は、ないよ??(笑)』

レンジは、高笑いをして暗い廊下に消えていった。

私は、龍弥さんのそばに行けないの?

彼女として何も出来ないのが悔しい。。

レンジ 『龍弥さん!?』

龍弥 『・・・ん・・・・?』

レンジ 『やっと…目を開けてくれた(T_T)』

龍弥 『なん・・・・で、

お前がここに?』

レンジ 『おれが龍弥さんを病院まで連れてきたんだよ!』

龍弥『・・・・・・さくらはどこだ。』

レンジ 『。。。。。

ちっ、違う…病室にいるよ。』

龍弥『本当か?』

レンジ 『信じてよ!!』

龍弥 『わかった、

今からさくらに会いに行く。』

レンジ 『あ、動かないで、ギブスが… 』

龍弥 『なんだよ、このギブス!?』

レンジ 『迎えに行ったら骨折してて…取れるまで2ヶ月かかるよ。』

龍弥 『俺はいつ、、

クソッ!!!!

思い出せない!

さくら…無事か…』

レンジ 『いつも…さくら、さくら、って、、

なんで…俺を見てくれない!?』

ガチャ、バタン!

龍弥 『さくら…

守れなくてごめんな…』

もう、泣くのはよそう。

今、私に何が出来る?

龍弥さん、、

逢いたい… 

抱きしめて…

泣くのは、今日だけにしよう。

たくさん泣いた。

心が壊れるぐらい泣いた。 

朝日と共に私は涙を止めた。

さくら 『よし!』

(龍弥の病室)

レンジ 『龍弥さん、昨日はごめん!

何か欲しいのある?

おれ、買ってくるよ?』

龍弥 『・・・横須賀のバウムクーヘン。』

レンジ 『龍弥さんがお気に入りのお店のバウムクーヘンだね!

ここからだと、車で二時間ぐらいだから

今から行って来る(^o^)/』

ガチャ、バタン。

龍弥『やっと…1人になれ・・・』

コンコン。

龍弥 『はい』

ガチャ。

龍弥『ん?

君は誰?』

『龍弥…さん』

龍弥『さくら?!』

さくら 『逢いたかった…』

病室に入った、私を見て龍弥さんはびっくりしていた。

抱きついた、私を龍弥さんは 

龍弥 『さくら、大丈夫か?!

ってか…頭はどうしたんだよ!?』

私のニット帽を取る。

さくら 『龍弥さんに何が何でも会いに行くとレンジさんの脅しに負けないようにって言う決意表明で全部、剃っちゃった(^_^)v

スキンヘッドも似合うでしょう?』

おどけてみせる私。

龍弥 『さくら…

あんがとな…』

ぎゅっと握りしめていた手をまた力を込めた。

レンジさんに言われた事を全て話、そして…私の気持ちを伝えた。 

龍弥 『わかった、教えてくれてありがとうな(^^)

レンジにそこまでされて俺も許せない!!!

さくら、買って来て欲しいのがあるんだ』

その日の夜。

龍弥 『なぁ、レンジ…』

レンジ 『龍弥さん、どうしたの?』

龍弥『・・・・俺が好きか?』

レンジ 『当たり前に好きだよ!

龍弥さんの恋人になれるなら何でもする!』

龍弥 『・・・・・・・わかった。

お前を恋人にしてもいい。』

レンジ 『本当!?』

龍弥 『あぁ、、

その代わり、条件がある。』

レンジ 『条件?』

龍弥 『俺に隠し事があれば、全部話せ。

お前の全てを受け入れるつもりだ。

あと、さくらとちゃんと話したい。

だから、一度でいいから会わせてくれ。

それを聞いてもらえるなら…

お前と付き合う。』

レンジ 『・・・・おれ』

龍弥 『今日、ゆっくり考えてから明日…教えてくれたらいい。』

レンジ 『・・・・・わかった』

龍弥 『そろそろ、面会時間が終わるから家に帰れ。』

レンジ 『ちゃんと考えてくるから、龍弥さんもゆっくり寝てね(^^)』

龍弥『あぁ』

レンジ 『おやすみ♪』

龍弥 『おやすみ、、

レンジ…ちょっとこっちに来い!』

レンジ 『なに?』

(龍弥はレンジを引き寄せて口にキスをした)

龍弥 『気をつけて帰れ』

(レンジは顔を赤らめて部屋を出ていく)

龍弥 『ふぅ~』

(そっと腕を目にあて…思い詰めた表情をした)

次の日の朝。

ピンポン。

さくら 『はい』

玄関を開けるとレンジさんが立っていた。

さくら 『おはようございます。』

レンジ 『お前に龍弥さんを会わせてやる。

今からついてこい。』

怖い気持ちを拳に握り、龍弥さんに頼まれた物をカバンに入れてレンジについていった。

レンジ 『勘違いするなよ、龍弥さんは… 』

ニヤニヤと笑い、病室に入る。

レンジ 『龍弥さん、連れて来たよ!』

さくら 『龍弥さん…』

龍弥 『さくら、、

レンジ…しばらく二人にしてくれないか?

ちゃんと話し合いたいんだ。』

レンジ 『わかった♪

龍弥さんの為に美味しい和菓子を買ってくるね(^_^)』

レンジさんは嬉しそうに部屋を出ていく。

無言で頼まれてたものを渡す。

さくら 『本当にこれでいいの?』

龍弥 『いいんだ、これで!

さくらを傷つけてしまった、代償だ。』

(夕方)

レンジ 『ただいま♪』

龍弥 『お帰り』

レンジ 『あの人、帰ったんだ?』

龍弥『あぁ』

レンジ 『どうしたの?』

龍弥『お前と話したい。

全部、話してくれるだろ?』

レンジ 『・・・話すよ(^^)

全部話したら、、

受け入れてくれるんだよね?』

龍弥 『あぁ、受け入れる。』

レンジ 『受け入れるってことは、恋人にしてくれる?』

龍弥『そうだって言ってるだろ。』

レンジ 『・・・・・全部話して、恋人にしてくれたら、して欲しいことあるんだ!』

龍弥 『なんだ?』

レンジ 『・・・・・おれを激しく抱いて』

龍弥 『・・・・・・・わかった』

レンジ 『(^ー^)

じゃあ、話すね♪』

龍弥 『あぁ』

レンジ 『その前に…

龍弥さんが隠してる、ボイスレコーダーを渡して(^^)♪』

龍弥 『!!!!!!!!』

レンジ 『気付いてないと思った???』

龍弥 『・・・・いつから知ってた?』

レンジ 『さっき、掃除のおばさんにこの部屋のゴミを見せてもらった(^_^)』

龍弥 『お前、そこまでして…』

レンジ 『龍弥さんを愛してるからね!

ほら、渡して♪』

(龍弥はボイスレコーダーをレンジに渡す)

バキバキ(←ボイスレコーダーを握り壊す音)

レンジ 『これで…邪魔するものはなくなった・・・

どこから話せばいい?』

龍弥『・・・・・・』

レンジ 『怒んないで♪

龍弥さんが今まで付き合って来た、女達から連絡かったり友達が遠ざかったてるのは…

おれがちょっと、脅したら言う事きいたし、

バーウムクーヘンに毒入れて、さくらが食べてこの世からいなくなればと思ったし、

その毒を龍弥さんが食べてくれたから

いつまでも、そばにいれるように

バットで思いきり両足を叩いたら、折れて好都合になった(^^)

さくらにも“龍弥さんに近づいたら次はない”って伝えたし、

龍弥さんもちゃんとあいつと別れてくれて、おれの恋人にしてくれるから

嬉しい(^_^)』

龍弥『・・・(拳を握る)・・・・・

お前はそれで幸せなのか?』

レンジ 『幸せだよ💕

龍弥さんは、今…おれのものだから』

龍弥 『ふざけるな!

他人を貶めて得た幸せなんか本当の幸せなんかじゃない!!!!

レンジ、お前を恋人にする話は忘れてほしい』

レンジ 『どこにもいかないし、話の撤回も認めないよ?

龍弥さんが…』

龍弥 『俺がいなくなれば、諦めるのか?!

やめてくれよ、俺の事はどうしてくれてもいい、だけど俺の大切な人を巻き込んで…

もう苦しめないでくれ!!!!!!!!!』

レンジ 『泣かないでよ、龍弥さん…

おれまで悲しくなるじゃん。

(レンジは龍弥のズボンのファスナーに手をかける)』

龍弥 『レンジ!!!!

触るな!!!!!』

レンジ 『・・・・・アイシテル』

さくら 『汚い手で私の龍弥に触るな!』

レンジ 『・・何しに来た!?』

血走った目で私を睨む。

龍弥『さくら・・・・・帰ったんじゃないのか??』

さくら 『やっぱり、このまま帰るなんて出来ない…

龍弥さんは、私の大切な恋人!

そんな、あなたがピンチなのに

自分だけ隠れてるなんてやだ!
ゆずきの事、今回の事、守られてるだけで何も出来ないなんて苦しい、私にも守らせて…

レンジ、あんた見たいな…最低な奴が龍弥さんに触れていいわけない!!!

早く離れなさい!』

龍弥 『・・・・さくら』

レンジ 『・・・よくもシャシャと口答えしやがって

お前…いらない

龍弥さんに相応しくない、オマエ邪魔…』

レンジは、私に走って近づき胸ぐらを掴み床に叩きつけられる。

さくら 『ギャー』

龍弥 『レンジ、止めろ!!』

レンジ 『キエロ、キエロ…』

瞳が定まってない?!

レンジは、私の首に手をかけた。

レンジ 『オマエ、邪魔、オマエ、キエロ…いらない(笑)』

高笑いが激しくなり、腕の力が入る。

さくら 『うっ…』

その時だった。

レンジは、龍弥さんに

龍弥 『さくらから離れろ!!!!!!』

殴られ、その弾みで気を失った。

龍弥さんは、無理やりベッドから降り

ギブスは粉々に壊れ、

普通では立ってられないはずなのに

両足で私の前に立ち塞がった。

龍弥 『さくら、、大丈夫か?』

さくら 『だっ…大丈夫。

・・・・龍弥さん、足に負担かけないで

二度と歩けな、』

龍弥 『歩けなくてもいい!!!

大好きなお前を守れるなら俺は幸せだからな』

さくら 『龍弥さん…』

強がっていた私の心は、脆く崩れて涙が溢れた。

龍弥さんは、振り返り…力強く私を抱きしめて

龍弥 『俺にはさくらの笑顔が必要だよ♪』

耳元で囁かれた声が熱かった。

レンジ 『・・・み・・・みんなきらいだ!!

龍弥がほしい!!!!!』

レンジは目を覚まし、そばにあった果物ナイフで龍弥さんの背中を一心不乱に刺した。

龍弥『大丈夫だから…』

それでも龍弥さんは、笑顔で私を離さなかった。

警備員 『止めなさい!』

騒ぎを聞きつけて、やってきた医者と警備員がレンジを取り押さえた。 

レンジ 『おれは、悪くない!

あいつが、おれの龍弥を…』 

泣きじゃくってるレンジのそばで担当医が龍弥さんを診てる。

私は、レンジに近づき頬を叩く

さくら 『いいかげんにして。

あんたがやったって証拠はある!』

レンジ 『嘘だ!』

私は、部屋のすみに置いてあったぬいぐるみを指差して 

さくら 『あのぬいぐるみの目の中にカメラを仕込んであって、昼間からずっと録画してるから…あんたは逃げられない!』

レンジ 『うそだ…』

さくら 『あんたが壊した、ボイスレコーダーはダミーよ!

こっちが本命!

龍弥さんは、“こんな風にしてレンジを傷つけたくはなかった、だけど…俺を痛め付けて自分がした事が間違ってる事を理解してまた、正しい彩道に戻ってくれればいいんだ!
いいんだ、これで!”って苦しい顔して自分自身に言い聞かせてた。

なのに、あなたはそれでも… 自分がした事を認めないの!?

本当に龍弥を愛してるなら彼に悲しい顔をさせるな!』

レンジ 『・・・・・・龍弥おにぃちゃん』

レンジは、子供のように泣いてじっと動かない龍弥の手を握り 

レンジ 『お兄ちゃん、ごめんね』

警察が来るまでずっと繰り返していた。

心が壊れてしまったように。。。。

(数時間後)

担当医『止血…とギブスをまた取り付けました!

もう、大丈夫ですよ(o~-')b』

私は、警察にカメラを渡して

一命をとりとめた龍弥の傍に付き添う。

さくら 『龍弥さん…起きて。。。』

龍弥 『…』

微かに握った手に力が入る。

さくら 『龍弥さん??』

龍弥 『・・・・・・泣くなよ・・・・・

・・・・・・さくら・・・・

ほら・・・・・・笑って(^^)・・・・・・

・・・・・・さくらには・・・・・・笑顔

が似合うから・・・・・・

その・・・・・ひまわりのように・・・・』

私の首にキラキラと黄色く光る

ひまわりのネックレスを触って

表情は暖かく微笑む太陽の笑顔だった。

‐END‐

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