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うさん臭さが香るのは興ざめのもと
うさん臭い発信に出会ったこと、ありますか?
私は、あります。
他でもない自分自身のことです。
自分の発信で「うわ、うさん臭っ!」と感じて、下書きを削除、再編集をすることの、なんと多いことか。
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ちなみにここで言う「うさん臭っ!」を定義、細分化すると…
・なんとなく疑わしい
・相手の魅力を発信しているようで自分の話に置き換わっている
・発信者の狭い視点での主観
・表面だけをなめたようなもの
・きれいごと
・自分が良いと思う方向に盛ってる
になるパターンが、わたしは多いです。
でも、きっと読者って、発信者の「それ」に気づいちゃいますよね。
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では、どうすれば「うさん臭さ」を、できる限りなくせるか。
取材で先入観を壊す
個人的には、取材を重ねることで「先入観を壊すこと」と「再構築すること」が重要だと思っています。
むかしの私が、日本広報協会発刊の「月刊広報」(平成30年)に、当時の自分が考える核心を寄稿していました。
これです。
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この記事、広報LABで出しても良いかどうか日本広報協会の藤本さんに確認したところ「責任は私が持つので、どうぞ」との回答が。
か、か、かっこよすぎるー。
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画像では文章が読みにくいと思うので、寄稿内容を書き出してみました。
この記事に書いていることこそ嘘偽りない自分の「核」と「目線」であって、今までのLab投稿はこの内容の言い換えでしかないなあと自覚しています。
もしよければ、お付き合いください。
「うす塩味」が、いい感じ。
出展:「月刊広報」特選団体に聞く~平成30年全国広報コンクール~
―はじめに、特選受賞に関するお気持ちを聞かせてください。
■まちづくり推進課 堀内智代さん
まず、お礼を言わせてください。西日本豪雨災害で被災した西予市に対し、全国の広報担当者をはじめ、多くの皆さまから励ましをいただきました。温かなエールに、どれだけ元気づけられたかわかりません。本当にありがとうございました。
「広報せいよ」2017年10月号の特集で紹介した遊子川地区は、山奥にある小さな限界集落です。行けば分かるのですが、本当に「何もない」。でも、今では「何かある」限界集落です。理由は、ふるさとを盛り上げようと、住民全員で立ち上がったから。
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高齢化が進む地区だけど、悲壮感や諦めの雰囲気は少しもありません。「私はこれを叶えたいんよ」「この地が大好きなんよ」と語る表情は明るく、きらきらと輝いています。何より、とっても楽しそう。
受賞は、遊川子の魅力が紙面から飛び出して、評価された結果です。みんな本当にかっこいい!
―「広報せいよ」では毎号、特集を組み、まちの話題や課題を伝えています。「広報せいよ」の特徴やセールスポイント、取材で心掛けていることなどを教えてください。
「広報せいよ」を料理で例えるならば「うす塩味」です。素材がとびきりいいから、少しの塩で素材の味を引き立てる。レイアウトも文章も、素材がいいからシンプルに。ごまかさないし、余計なこともしない。だけどおいしい、そんな紙面が持ち味だと思っています。
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「うちの紙面は、うす塩味」とか言うと、何やらかっこよく感じるかもしれませんが、つまりは料理人(編集者)の腕よりも、素材(取材対象者)の良さ。難しい調理をせずとも、びっくりするくらいおいしくなるのは、ひとえにこのまちの人たちが素敵だからです。これに尽きます。
心掛けているのは、たくさん話を伺うことと、先入観を積極的に壊すこと、そして一番は、その地域の人たちに喜んでもらえる紙面にすることです。
大まかな紙面案を作成してから取材に入るのですが、自分の頭の中で考えたことは、どこかうさん臭いもの。良い子すぎたり、理想フィルターをかけてしまったり、行政臭がしたり…。うさん臭さが紙面から香るのは興ざめのもとですし、読む気すらなくなってしまいます。
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だからこそ、紙面からはまちの人たちの息遣いや、リアルな思いをそのまま出したい。当初の紙面案や先入観は、壊れれば壊れるほどいいと思っています。そのためにもたくさんお話を伺います。360度、全方向から情報を集めて、壊して、整理して、再構築するイメージです。それができたときは特集紙面の組み立てが大幅に変わるので、うれしくなります。
あとは、まちの人に喜んでもらえるような紙面にすること。これが一番です。真実や美しいことをありのままに映す鏡になった気分で、対象者の良いところや潜んでいる真実を見つけ出すようにしています。
(一部割愛)
―広報コンクール審査では、特選受賞号(「広報せいよ」2017年10月号)の特集企画「夢が、ある。」で、限界集落に暮らす住民の活動について、多くの人々の声をまとめた取材力、多彩な写真で構成した表現力などが評価されました。改めて、特集のねらいや、その後の反響などについて教えてください。
合併して14年。西予市の人口は8000人以上減少しました。高齢化も進み続けているので、地域からは「年寄りばかりで何もできん」という声も聞こえてきます。人はどんどん減っていくし、高齢化は進む。年寄りが多くなって、どことなく諦めの雰囲気も漂い始めている…。
そんな中、遊子川地区は「こうなったらいいな」と思う未来に向かって、みんなで行動しています。1人の夢を、楽しみながらみんなで叶えていくことで、どんどん地域が盛り上がっています。これって、すごいことです。
限界集落が点在する西予市で、遊子川地区を特集することは、他地域の希望にもつながります。「遊子川のようにやってみよう」「私たちにもできる」という思いを想起させたいと考え、特集を企画しました。
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発行後、遊子川地区の中からは「改めて、ここに住んでいることを誇りに思えるようになった」という声がありました。「読んだよ、って連絡をもらって、遊子川まで来てくれる人もおったんよ」と話す人も。遊子川公民館からは「視察件数が約2倍になった」という声が届きました(2016年度12件、2017年度23件)。
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「住民みんなで考え、やってみよう」と動き始めた地区も増えました。「この地域には何もない」「ないなら創ってしまおう」と、住民だけで「世界一の大門松」を制作した地区もあります。すごいですよね。お父さんたちが、これまたかっこいいんです。詳しくは「広報せいよ」2018年2月号をご覧ください。
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市外(松山市)からは、「広報せいよを見て、遊子川地区に研修に入りたいのだけれど、つないでもらえないだろうか」という電話もありました。市内外に遊子川の魅力が伝わったのだと思うと、広報冥利に尽きるというか、うれしかったです。
なくしたつもりでも香る、それくらいでちょうどいい
当時の記事は、以上です。
個人的には「うさん臭さ」の主因は、発信者の狭い主観にあると思っていて、だからこそ「相手(取材対象者)の魅力を最大限アウトプットするときに、主観(自分自身)はいらない」と考えています。
主観を除いて除いて、除いたつもりでもほのかの香る、主観はそれくらいに強いものだから、徹底的に除いた「つもり」になるくらいできっと、読み手にとってはちょうどいい。
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反対に、コーナーや媒体によっては担当者の主観を出すことのおもしろさもあるので、全部が全部主観NGと考えているわけではないので、そこはご理解を。
まとめると、
相手の魅力を引き出す=取材を重ねて先入観を壊す、主観を除く
「自分」発信で何か伝える=主観を出す
といったイメージでしょうか。
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皆さんの取材ライフに少しでも役立てられますように。
では、またね!