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20_恋の歌が響いてしまったら(最終話)

それはもう恋でしょ。
気持ちに名前がついちゃうやつ。


ドライブしながらオススメの曲を流す。
恋人に会いにいく甘酸っぱい歌詞に
「これ俺のことだ!」と言えちゃう彼。はずかしいな!
(♪マカロニえんぴつ『レモンパイ』)


相手に本気にされない風、だけど
自分がいい男じゃないくせに、みたいな歌詞に
共感している様子の彼。
(♪あいみょん『愛を伝えたいだとか』)



歌が代弁してくれた途端に、それは恋になる。


自分が変わってしまうのが恋


自分が変わってしまうこと、
そのものが恋といってもいいかもしれない。

恋は革命だから。

「付き合う気もない、結婚も考えない」をスタートに、
(彼がバツイチ子ありだから。お互いに線引き)

ただただ楽しくすごすふたり。

からの、
「好きになった」を日常会話内で言われるも
かと言って「付き合おう」でもない。


それでよくて、
ただ楽しくあそぶ。


彼は「好きな子」と「付き合う子」は別だったと言う。
人を好きになるのはレアで、
1人目は学生時代に3回告白して失恋。
2人目は元嫁。
3人目はわたし、とのこと。

チャラエピソードでは、
複数人並行して付き合ってたり、
毎日違う女の子と過ごしてたり
クリスマスブッキングは忙しかったりしたらしい。

感覚がまったくわからない。
昔話の武勇伝ならよしとしよう。
進行形浮気性ならゆるさない。


一途なのか何なのか、半信半疑で数ヶ月過ごすも、
仕事しまくってるだけの日常と
忙しくても会う時間をつくるスキルと
わがままをききまくってくれてる優しさは確か。

メンズの好きテンションって、1ヶ月で冷めるじゃん。

と思ったけど、特段変わらない。


好きって言われるのって心地いいな
と、のんきにすごす。


泊まりの遊びもあるにはあったけど(遠出するから)、
何もしない協定を締結。

ちゅーしてこようとするのをひたすらかわす。
その程度。


からの、あるとき事件はおこるべくしておこる。


たぶん通算10泊目あたりのとき、
いたずらが加速していて、さすがに至ってしまった。
(この手の話題が本当に苦手で憚られる、、)


提案1


「なかったことにしよう!」と、帰り道で提案する。
このまま今後も会うには、これが一番いいと思って。

「そういう遊び相手にするつもりはないから、それで。
でもたまには、10回に1回はって期待したくもなっちゃうけどね」とか言う。

彼は彼で、もともとわたしのことを
「好きだけど会えるだけで楽しい、身体の関係とか付き合うじゃない」と言っていたし、
期待しちゃうも本心だろうし、
思ったこと全部言う人だから、そんなもんだなっと。


翌日、連絡がくる。
会いたいと。話したいと。
話したい、けど答えは用意されてないらしい。
もやもやとなんか考えてるらしい。


会っていつも通りどこかふらふらと行こう、
となり、お風呂へ(スパめぐりもいつもの遊び)。

向かう車で、「なかったことに、をちゃんとする」と
謎にわたしの提案にかぶせてくる。

いや何も新しいトピックじゃないんだが?
それであってるんだが?

「たまには期待、みたいなことを言っちゃったけど
よくなかったなと反省。ちゃんと元に戻る」

なるほど。
それを聞いてわたしは意外にも淋しいと感じた。
期待されないのか、と。
ちゃんとできちゃうんだ、と。
そこで「付き合う」とかじゃないんだ、と。


「今までどおりを続けるのは、それが正解だよね」
戻すには、泊まりの遊びはなし、会う頻度を下げる。
両極端(もう会わない、身体だけの関係)はナシというのがふたりの見解。
こんな会話をし、スパへ。


考えごとにはやっぱりお風呂


湯船につかってひとり考える。
あの淋しさは何か。
ただの目の前のものがなくなる錯覚?
何がいちばん怖いのか?


わたしは結婚がしたい。
彼は結婚も付き合うも考えない。

このまま楽しく過ごすには友だちが一番。
ただ、仲良くなりすぎた。

やっぱりもう会わないほうがいいか?
って考えたときに、気づいたけど
いま別れてもすでに相当淋しすぎる!
付き合って別れてもそれはすごくツラいけど、
いっそ、たいして変わらないくらいじゃないかと。

わたしも彼も結婚についての不一致さえなければ、
付き合うことが一番シンプル。

結婚意向の一点で、こんなにもややこしい。
ただ、そこを置いて恋愛はできない。

そこでもうひとつ気づいた。
今ですら、婚活をサボっていると!
付き合ってなくても遊び優先で、進んでないと。


であれば!
もう付き合っちゃって
楽しいことが多いほうがよくない??と開眼。

提案2


「おもしろい方法を思い付いたんだけど、付き合ってみる?」

わたしは結婚考えない人とは付き合わない、を撤回。
ただし、婚活の継続は許容してもらうこと。
これが合理的なのですがいかがでしょう。


彼は言う。
「天才」


こうして着地。



「楽しい」の総量を比べたときに、こっち。
悲しいことを想定しても、きっとこっち。

楽しいことの積み重ねのうえで、
それを選んだ自分もありだなって思えるはずだし

結婚だけをゴールにつらい活動を続けるより
実は両得なルートを見つけたってことで。


ちょっと付け足し


付き合うと決めてから、変わらず楽しく過ごす日々。
行きたいところをリストアップして
おはようの連絡とか、寝る前の電話とか
付き合うってこういう安定感のやつだ、と思い出し。

話す会話もあいかわらず。
会う頻度は加速し、3日連続でも会いに来てくれる。
すごい。

キャンプと星空とイルミからはじまったいろいろも、
桜の季節へ。
気づけば出会いから1年。


からの、婚活は、まぁサボるよね。
たまにはやらないとね。

・・・

恋だの愛だのについて
いつの時代だってみんな悩むけど、


共通点が運命に思えてしまうとか
条件の一致を必然にしたくなるとか


そんなのも全部、境界なんてなくて
みんな自分の信じたい方を信じて
やりたい方を選んでる。


それが恋だろうが愛だろうが
何と呼ぼうが、自分のもの!と言えたらいい

今日のわたしの心が穏やかであることに盛大な拍手!

~完~

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