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データが明かす驚愕の真実!情緒的共感無きコンプライアンスは有害?

データが暴く驚愕の事実――論理的正しさではなく情緒的共感こそがコンプライアンスのカギ?パーソル総研の調査結果は、あなたのビジネスに大きな影響を与えるかもしれません。

皆さんこんにちは。ブランド×弁護士の三浦です。今日は2023年パーソル総合研究所が先日発表した「企業の不正・不祥事に関する定量調査」の一部を紹介しながら、コンプライアンスと情緒的共感との関係について迫っていきます。

データが示すコンプライアンスの「こなし意識」と、情緒的共感の重要性

「こなし意識」の危険性

2023年4月28日、パーソル総合研究所は「企業の不正・不祥事に関する定量調査」を発表しました。この調査報告は、4000名に対するアンケート調査を基に、企業の不正・不祥事の原因について定量的に分析を行い、その対応策を提言するものです。

特に興味深いのは、コンプライアンス活動の社内での受け止められ方と不正発生の間に相関関係がみられる点です。

調査分析によると、不正が発生した企業では「不正対策は、形式的に行われているだけ」「担当者が話を聞きにくるが、実際には何も変える気がない」といったコンプライアンスの「こなし意識」が、不正が発生していない企業の4倍から5倍も多いことが示されています。

つまり、コンプライアンス担当者自身がどのような姿勢で自らの仕事に向き合っているか(向き合っているように見えているか)、が不正防止のために重要だということです。

引用元:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/corporate-misconduct.html

対応策としての「情緒的共感」

対策の「こなし」意識への対処として、調査が有力視しているのが「情緒的共感」への働きかけです。人間の情報処理には分析的なシステム(理解)と、感情的なシステム(共感)の2つがありますが、「こなし」意識が最も低いのは、分析的な理解と感情的な共感が併存する場合であるというのです。

引用元:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/corporate-misconduct.html

さらに興味深いのは、分析的な理解は不正の発生リスクを減らす効果がほとんどなく、「こなし」意識を助長する方向に作用しているということです。ひとたび情緒的共感が加わると書くリスク要因も一気に減少するという点も見過ごせません。

どれほど法律の重要性を説いても論理的に間違いのない説明をしても、それが組織で働く人々の情緒に訴え、共感を得るものでなければ意味がないのです。「”正しい”だけでは意味がないー」。パーソル総研が明らかにしたデータは、法律主導、正しいルールで組織を動かす「ルールドリヴン・コンプライアンス」に終始してきた企業に一石を投じるものと言えるでしょう。

コンプライアンスで「情緒的共感」を得るにはどうしたらいいか?

ゴールデン・サークル

情緒的共感のために有効な手法としては、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネックが提唱する「ゴールデン・サークル」の手法があります。これは、コミュニケーションを行う際にWHY→HOW→WHATの順に話をすることで相手の感情に訴えて行動を促すというものです。

「ゴールデン・サークル」

法律やルールに「何が」書いてあるのか?の解説を中心とするルールドリヴン・コンプライアンスは、まさにWHAT中心「理解」中心のコミュニケーションです。ゴールデン・サークルの理論を活用し、コミュニケーションをWHY中心に変えることが、情緒的共感を得るコンプラアンスの助けになるはずです。

コンプライアンスのWHY

それでは、コンプライアンスのWHYとは何でしょうか?私たちは、なぜ、コンプライアンスをやるのでしょうか。法令遵守が必要だから?企業のレピュテーションを守るため?それらは間違いなく正しいものですが、果たして情緒的共感を生むものでしょうか?

情緒的共感を生むWHYは何でもいいというわけではありません。共感とは、他者が抱いている感情を感じ取り、同じ感情を体験することです。したがって、WHYは何らかの感情を呼び起こすものでなければいけません。また、同じ感情を共有するには、コンプライアンス担当者としてのあなたと、組織で働く人びとが同種の感情を抱くWHYである必要があります。

このWHYを見つけるために有効なのが、「3-WHYs」です。

3-WHYsは、個人・組織・法律の3つの視点で、コンプライアンスのWHYを見つけるワークです。このワークを個人レベル、チームレベル、企業レベルで行うことでWHYの解像度が上がり、情緒的共感が広がっていきます。

おわりに

情緒的共感無き「ルールドリヴン・コンプライアンス」では、どれだけ一生懸命行っても効果は限定的だということが、パーソル総研の調査から明らかになりました。コンプライアンス部門がその職責を果たすためには、情緒的共感を生むコンプライアンスを実行することが不可欠と言えるでしょう。

情緒的共感を生むコンプライアンスの手法として有効なのが「コンセプトドリヴン・コンプライアンス」です。3-WHYsをはじめとする11のワークでコンプライアンスのコンセプトを見つけ、対話を通じて組織に広めるこれまでにないコンプライアンスのメソッドです。

書籍の内容をギュッと1時間に凝縮した無料動画配信セミナー「組織の変革を担うコンプライアンスリーダーのプリンシプル」がプロネクサスさんよりリリースされますのでぜひご視聴ください。

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