「量」か?「質」か?

市民ランナーにとって、マラソン(長距離走)のトレーニングで重要なのは、「量(距離)」なのか?「質」なのか?というのが、ある意味で永遠のテーマとなっています。

単刀直入に、私の考えは「量」です。

もちろん、どっちも大事ですよ?
でも順番からして「量」が先です。
「量」をこなせるから「質」が生きてくるからです。

かつて、月間150km前後のトレーニングで故障や不調を繰り返していて、タイムも伸び悩んでいた自分に言い聞かせたいところですが、
基本的に月間や週間の総走距離の少ないランナーは「練習の質」を語る資格はありません(笑)。とにかく高負荷練習を回避してでも月間総走行距離を増
やすことに専念した方が結果的に近道と思います。

よって、もし自分が誰かをコーチングすることになるなら、「週間(月間)総走行距離を増やす努力」をさせるところから始めます。

月間平均150km程度でサブスリーを達成しているランナーもたまに居ますけど、絶対数としては少ないので参考にならないと思います。
サブスリーには月間250kmあればOK…みたいな「成功者バイアス」でしかないデータに騙されては行けません!!!
また、そんな月間総走距離が少ない方々が、2時間50分切りや2時間45分切り、2時間40分切り...と、どんどんPBを更新していくことは難しくなっていきます。

"かつては総走距離を多く踏んでいたけど、距離を落し質にこだわったらタイムが良くなった!やっぱり量より質だね♪" とおっしゃる方もいますが、総走距離が多かった時期があったことを見逃してはいけません。ベースがしっかりしていたから質の高い練習をこなせるようになったと考えるべきでしょう。
こういった方の多くは徐々に伸び悩みます。。そして、走距離を踏んでいた頃の貯金(ベース)が無くなった時に気づきます。量って大事だよね…と。

最初は距離を細切れにしてでも頻度を上げ低強度ランニング(ジョグ)の量を増やしていき、月間総走行距離を延ばします。
これだけでも生理学的にも色々効果はありますが、怪我すること無く半年以上続けれるようになる頃には、とりあえず身体はタフになっていきます。
さらに、1年2年と根気よく続けることで、長距離走に向いた体質に変わっていきます。
そうなれば、自然と練習の質が向上していきます。

低強度ランニングの効果は、
体力(疲労回復力)向上、接地衝撃耐性(筋肉、腱、靭帯、骨、骨膜、皮膚を強くする)、脂肪代謝、毛細血管・ミトコンドリア強化、心筋強化、LT1強化(有酸素性作業閾値)→乳酸代謝機能UP…等、中長距離向きの体質改善です。他には、沢山走っても大丈夫なことを脳に覚え込ませる(=脳疲労耐性)ことも忘れてはいけません。

これらは高強度ランニングでも鍛えられますが、量をこなすことができないので非効率的です。低強度のランニングで量をこなすことが効率的なのです。

この「総走距離(量)を増やすことのメリット(効果)」にもっと早く気づいていたら自分も今頃はフル2時間40分切りとか、ハーフ75分切りで走ってただろうと思ってます。

結局、
練習の質を上げるには、"タフネス" こそ一番重要。
"タフネス"な身体を作るには月間走距離を増やすこと。

高強度の練習や、1回あたりの走距離の長い練習は
タフネスになってから始めた方が効率が良いです。

え?
月間総走距離を増やそうとすると故障するって?

ペースが速過ぎ
→もっとゆっくり走りましょう。あなたのジョグは本当にジョグですか?
1回あたりの走距離が長過ぎ
→1回の距離を短くして走る頻度で調整しましょう。
急激に距離やペースを上げ過ぎ
→週の総走距離が増えてきても急に増やさない。数週間維持して問題ない場合に徐々に増やしましょう。

身体は急に適応してくれません。
徐々に慣らしながら距離を増やしてください。


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