マガジンのカバー画像

モデルカーあれこれ

79
モデルカーは実車を単に縮めたものではありません。斜め上方から眺めて、実車の雰囲気を楽しむのと同時に、雑誌の写真には写っていなかった部分を見て、新たな発見ができる物です。その歴史を…
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

レアモデル列伝−12       見逃していたChaparral 2C

レアモデル列伝−12     見逃していたChaparral 2C

以前「NassauのChaparral 2A & 2C」で、Marsh Modelsの2Cが欲しいと書いて探していた。

最近オークションでMarsh Modelsの2Cが2台出品された。

良くよく見ると、マフラーの形が異なる。2Cといえば何と言っても前回この項に掲載したNassauの出場車。どのChaparral本には当然として、アメリカのレースカーの本でも同様なので、形はNassau(ESD

もっとみる
事実は小説よりも奇なり-4      Penske Racing前夜

事実は小説よりも奇なり-4    Penske Racing前夜

 Roger Penskeは1963年まではJohn Mecomのチームに属し、Jim Hallとは好敵手であったが、64年初頭にMecomチームからChaparralチームに移籍し、ドライバーとマネージャとなった。(64年3月21日のSebring 12hはJim Hallと組みNo.4のChevrolet Corvetteで参加したが、チーム名はMcKean Chevrolet Incとなって

もっとみる
異能β-3   テキサスの白い怪鳥-1  Chaparral以前

異能β-3   テキサスの白い怪鳥-1  Chaparral以前

 今は昔、ビルの広い会場は勿論、デパートの催事場、ボーリング場の片隅、果ては町の小さな模型屋の離れ等々、色々な所にできたのがモデルカーレーシングのサーキット、今でいうスロットカーのサーキットだ。
そこで見かける車は、フェラーリ、ポルシェ、ロータス、ジャガー等々、ちょっと珍しくはマクラーレンエルバなどの車が有名であった。

 暫くして非常に早くて、珍しい形の車がわが物顔で走り始めた。Cox製のCh

もっとみる
異能β-3    テキサスの白い怪鳥-2  Chaparral-2から本領発揮

異能β-3    テキサスの白い怪鳥-2  Chaparral-2から本領発揮

 Chaparralというと、Innovator(革新者)が代名詞になるくらい、革新的な技術が網羅された車。それらのメカニズムは現在のマシーンにも大きな影響を持っている。
 2AはFRPモノコックフレーム、オートマチック・ギアボックスという新しいメカニズムを酷使した車である。FRPフレームは現在のカーボン・コンポジット・フレームの先輩に当たるし、オートマチック・ギアボックスは現在のF-1に用いられ

もっとみる
異能β-3    テキサスの白い怪鳥-3  Chaparral 2Dで世界戦に

異能β-3    テキサスの白い怪鳥-3  Chaparral 2Dで世界戦に

 1966年、J-Hはアメリカから飛び出し、耐久レースの世界選手権に参戦、ドイツのNurburgringで初優勝を納めた。

 2Dは取り敢えず車体が2Aの改造型、ウインドスクリーン・ルーフ・ドアなどを追加し、ロールバー、スペアタイヤや荷物室も装備しレギュレーションに合致する様にした。
 最初は2Aのフリッパーが付いたまま、ルーフを作製、太くなったタイヤのため前後のホイールアーチが大きくなり、グラ

もっとみる
異能β-3   テキサスの白い怪鳥-4   翼を広げた怪鳥Chaparral 2Eと2F

異能β-3   テキサスの白い怪鳥-4   翼を広げた怪鳥Chaparral 2Eと2F

 1966年から始まったCan-AmにJ-HはChaparral 2Eを開発して臨んだ。エンジンは5.36ℓのまま、その最大の特徴は巨大なウイングとサイドラジエーター。Chaparral 2Eと言えば予選では早いがフィニッシュが難しいため1勝しかしていない。しかしその1勝は圧倒的、DVDや各種の本でそれを確認することができる。
 このウイングはアメリカの特許庁に申請され、そこにGMのエンジニア名が

もっとみる
異能β-3   テキサスの白い怪鳥-5   J-Hのレース人生を変えたChaparral 2G

異能β-3   テキサスの白い怪鳥-5   J-Hのレース人生を変えたChaparral 2G

 1967年、2Eが思った程の成績を残せなかったので、J-Hは2Eをベースに2Eの5.36ℓエンジンから2Fの7ℓエンジンに変更、H-S やP-Hの引退から自身が1台のみで戦った。
 車は出力が増したが、エンジン重量も増し、出力と重量増加に対する対処等で全重量も更に増すという悪循環に陥った。この7ℓエンジンはオイル漏れを起こしやすく、それによる遅れやリタイヤ等で2位が最高の成績で優勝は0回、67年

もっとみる
異能β-3   テキサスの白い怪鳥-6   白い鯨の2Hと異能β所以の2J

異能β-3   テキサスの白い怪鳥-6   白い鯨の2Hと異能β所以の2J

 1969年、J-Hは全く異なるコンセプトになるChaparral 2Hを作った。空気抵抗を極端に減らすべく考えられた車。
 J-Hはドライバーを辞めたので、ステアリングを握ったのは嘗てのライバルであったJohn Surtees(J-Su)。この車のコンセプトは2Gと同じスピードでコーナーを回り、直線のスピードアップを図るため空気抵抗を極端に減らしたもの(同じコンセプトでAVS Shadowという

もっとみる
異能β-3   テキサスの白い怪鳥-7   これもChaparral

異能β-3   テキサスの白い怪鳥-7   これもChaparral

Chevrolet Corvette
 1963年頃、J-HはChevrolet Corvetteを購入し、自身やチームで活動。64年3月のSebring 12hはJ-H・R-P組がNo.4のCorvetteで参加したがDNF。
 64年9月のUSRRCの最終戦Road America 500で、J-H・H-S・R-Pの3人がChaparral 2とCorvetteの2台に名を刻み其々を交代で駆っ

もっとみる
重箱の隅をつつく-6          ESDO製のChaparral 2G

重箱の隅をつつく-6          ESDO製のChaparral 2G

 異能β-3「テキサスの白い怪鳥」のChaparral 2Gで、ESDOモデルのインダクションボックスの上面の赤い色のモデルが何か分からず、と書いた。

 eBayを見ていて、ESDO(この会社のマークはESDOの字体を曲げてあり、出品者はE500と書いていた)の2Gキットがオークションに出ていたので、そこに入っていたデカールを見て吃驚。

 Chaparral 2GはJim Hallが1台で参戦

もっとみる
レアモデル列伝-13           Alfa Romeo  Canguro

レアモデル列伝-13           Alfa Romeo Canguro

 1964年のパリ・オートサロンで発表されたが、その設計者は若干26歳でベルトーネのチーフスタイリストを務めたGiorgetto Giugiaro(今や巨匠、本邦ではいすゞ117やスズキフロンテ、マツダロータリークーペ等々の設計者)である。
 「カム理論を基とした、コーダ・トロンカをもったテールと、徹底的にスムーズで、徹底的に簡潔な美しさ、空力的な洗練度において遥かに時代の先を行く、革新的かつ流麗

もっとみる