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20世紀前半の幽霊政治が立ちまわる21世紀日本の時代錯誤-「満洲国の亡霊:岸 信介」の外孫,安倍晋三の大根役者ぶりときたら天下一品だった記憶

 ※-1 本日の前論-世襲政治が続くがゆえの没落日本なのか? 無能・無策の政治屋しか登場しない日本政治の舞台裏事情

 本日は2023年11月18日である。今日の時点,まだ自民党と下駄の▼ソ同然である創価学会公明党との〈統一協会的な野合〉そのものである現政権は,岸田文雄が2021年10月4日に「世襲3代目の政治屋」として,彼が念願していた首相になってからというもの,

 安倍晋三が2012年12月26日,第2次政権を発足させたさい「アベノポリティックスとアベノミクス」でもって,この「美しい日本」を「戦後レジームから脱却」させつつ,よりすばらしくよい国にするのだと気張っていいはっていたその理想は,実際のところ,徹底的に破砕されていく経緯を招来しただけに終わっていた。

 安倍のその種の主張は未完のまま,この人は2020年9月26日にまたもや腹痛を理由に(正式に診断書も提出せずに)首相の座を降りていた。安倍は再度「無責任な坊や」の「世襲3代目の政治屋」であった事実,つまり「子どもの〈裸の王様〉」ぶりを思う存分に披露し,日本の政治と経済を放擲するというその無責任を,平然とたび重ねてきた。
 付記)冒頭の画像資料は,講談社学術文庫,2011年発行。

 しかしながら,安倍晋三が,2012年12月26日に発足させた第2次政権以降,7年と8カ月もの長期間,この国の総理大臣を担当してきた結果,「アホノミクスであったアベノミクス」と「強権専制化と忖度私物化の政治としてのアベノポリティックス」とが極まった現象以外,なにも,この国のためのなる為政は実現しえなかった。むしろ,この「日本を確実に壊しつづける為政」しか記録できていなかった。

 そのために,すでにそれまで「失われた10年」を2周回分「こなしてきた(!?)」この日本国はもはや「衰退途上国」になりはてるほかなくなっていた。

 かつては,経済大国である「ジャパン・アズ・No. 1」として,一時期はたいそう称賛されたこの国であった。だが,いまではすっかり「醜くなってしまった〈美しくない日本〉」となりはてていた。この指摘は,日本が美しい観光資源に恵まれている国だ,とかいった意味あいのものではない。

 繰りかえすが,安倍晋三と岸田文雄というエセ政治家,すなわち,この2人の「世襲3代目の政治屋」が日本の首相になっていたそのあいだにおいては,別様の仕様(スペック)じこみであった,つまり,粗暴性と乱雑さだけが売りだった菅 義偉が首相に就いていたが,この「自分の雑草性」が売りだった菅 義偉は,たいそう「不人気だった」ために,1年ほどの任期を経たところで,さっさとその座から去らざるをえなかった。

 とにかく,この国は基本,いまだに「世襲3代目の政治屋」が大いにのさばる政治をまかり通らせている。現在は岸田文雄が首相に居座わったまま,いかにしたら自分のこの地位を少しでも長く保持できるかだけを考えるしか能がない政治屋として,最近(2023年の11月段階)ではドタバタというか,ジタバタに,総理大臣の役目を遂行中である。

 この開成高校出身で東大不合格3度を誇る,しかも世間しらずのボンクラ性が一番の売りであった人物が,すでに「満2年以上」も日本国の運営を担当してきた。そのせいで,この21世紀における日本のあり方,その政治・経済面の実相は,安倍晋三が首相を務めていたころよりもさらにますます貧弱化している。なおかつ,国会全体における政治家たちの品位・品格そのものすらが,実態としては “欠落=欠品状態を意味する” くらいの「体たらく的な国家体制」になりはてている。

 補注)こういう指摘があったので,紹介しておく。「アベノミクスという血迷い事の全体を総括しなければならない」と指弾したのは,高野 孟「アベノミクスに縛られて予測を間違え続ける『物価の番人』日銀の悲惨 永田町の裏を読む」『日刊ゲンダイ』2023年11月17日,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/332065 である。


 ※-2 2023年11月の世論調査-『時事通信』の世論調査ならびに『産経・FNN』の合同世論調査でも,そのどん底ぶりを現象させた岸田文雄政権-

 1)『時事通信』2023年11月の世論調査-「青木の法則」ではすでに沈没した船も同然の岸田文雄政権-

 なお「青木の法則」とは「内閣支持率+自民党(執権党)支持率」が50%未満になった場合,その政権に対して赤信号が点ったという合図になる,という説明をしている。絶対的な定義ではないものの,かなり信憑性のある概念だとしてすでに定評をえている。

自民党の支持率21.3%に公明党の支持率4.1%をくわえても
青木の比率は「21.3%+19.1+4.1%」で
44.5%にしかならない
どの政党の支持率が伸びているか注目である

 2)「産経・FNN合同世論調査支持率急落,物価高や賃上げ対策で低評価 見透かされた『ちぐはぐさ』」『産経新聞』2023/11/13 21:09 は,
https://www.sankei.com/article/20231113-2HQ7TS6DS5JFZBTKRUJRACGOSA/photo/4YU2ZXGRQRI2NPLQFKQPV6DGQQ/ 2023年10月中に実施した世論調査の結果を,こう報じていた。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11月11,12両日に実施した合同世論調査では,岸田文雄首相が打ち出した経済対策が評価されず,内閣支持率の下落につながっている実態が浮き彫りになった。目玉の所得税・住民税の減税など,巨費を投じる政策が国民生活をどう好転させるのか分かりにくい。増税イメージの払拭のため人気取りに走っている「ちぐはぐさ」が見透かされている。

岸田文雄「減税するという虚言」

 『産経新聞』の紙面は,世論調査の内容について,つぎのように解説していた。10月に比べると,支持率(7.8%)も不支持率(9.2%)も,かなり落ちていた。

『産経新聞』世論調査2023年11月

 産経新聞社とFNNが,つぎに別途,先月の10月中に実施されていた世論調査であったが,この政権寄りに甘い数値を出す世論調査の場合でも,つぎのような見出しで報じる中身になっていた。

 「内閣支持率35.6% 過去最低 経済対策『期待せず』62%」『産経新聞』2023/10/16 11:37,https://www.sankei.com/article/20231016-T466YLTNWVKGNAANSNMSMI6GCQ/

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が〔10月〕14,15両日に実施した合同世論調査で,岸田文雄内閣の支持率は前回調査(9月16,17両日)比で3.3ポイント減の35.6%となり,令和3〔2021〕年10月の第1次政権発足後最低となった。不支持率は過去最高の59.6%(前回比3.5ポイント増)。これまで支持率が最低だったのは〔令和〕4〔2022〕年12月調査の37.0%だった。

 --さて,『時事通信』の記事のなかには文部科学政務官,法務副大臣,財務副大臣らの辞任がつづく有様になっていた岸田文雄政権の「副大臣職や政務官職」に対する「不適材不適所」の人事采配が,11月中にすでに実施されていた各紙世論調査に結果にも反映される始末で,現政権の絞まりのなさ,岸田文雄自身の定見も信念もなにもない「世襲3代目の政治屋」ぶりばかりが,めだってしかたがない最近の様相になっていた。

 岸田文雄は,安倍晋三「個人」のための国葬に対して国民・市民・庶民の過半が反対であったにもかかわらず,これを強行した。しかも法制面では安倍晋三のためであれなんであれ,問題のありすぎた国葬を強引に執りおこなっていた。この「世襲3代目の政治屋」は総勢100の勢力を国会内で誇る安倍派を忖度してだったのか,彼らに色目を使うためにその国葬実施を,あえて「自分のために」決めていた。

 元内閣総理大臣であった安倍晋三国葬儀は2022年9月27日,日本武道館で執りおこなわれた。問題がありすぎた安倍晋三のためのその国葬は, 日本における国葬として1989年2月24日の「昭和天皇大喪の礼」以来の約33年ぶりとなった。また,内閣総理大臣経験者の国葬としては,1967年10月31日に執りおこなわれた吉田 茂の国葬以来約55年ぶりとなった。

 国葬などまったく値しえないような,それも首相在任中は「日本国を破壊しまくった」この「世襲3代目の政治屋」のために,法制面で確たる根拠もないまま国葬を,わざわざ取りはからい決めたのが岸田文雄であった。同じ「世襲3代目の政治屋」同士だからかはしらぬが,「日本の国恥・国辱」となっていた安倍晋三のために「国家次元で執行する葬儀」を決定し,執行したのである。

 前段のごとききびしい指摘・意見について本ブログは,安倍晋三の第2次政権が発足してまる1年ほどしか経過していなかった時点で,すでにこのように現在の時点につなげられる議論をおこない,批判も繰り出していた。

 いまごろにもなってからだが,お蔵入りしていたその一文を引っぱり出し公表することになったが,なぜか,討議・吟味する内容としては,いまもこれなりにまだ「時宜をえている」という感触を,われながら再確認しえたつもりでいる。


 ※-3「「満洲国の亡霊:岸 信介」の孫,安倍晋三」が 2010年代に日本の総理大臣になった「国民たちへの含意」は不幸・不運である

 この※-3以下に復活・再掲する文章は,2014年1月10日に書かれていたが,あらためて読み返すまでもなく,なぜか,現時点2023年11月18日になっても「同時・並行的に突きあわせて読む余地」が,大いに汲みとれた中身であると,我田引水的になるが,われながら強く感じた。

 この10年ほども前に文字にしていた一文は,冒頭でまずつぎのような文句をかかげてから書きはじめていた。

 ★ 20世紀前半の幽霊政治が立ちまわる21世紀日本の時代錯誤,         ナチ風に物真似したつもりで「ドイツ国家社会主義」                           でも恋しいのか ? ★

 本日〔ここではもちろん,2014年1月10日の日付〕は,表記の題目をもって,現自民党政権による時代錯誤,「いまに逆行した」政治理念の狂気を考えてみたい。以下の記述内容はすべて,本日(2014年1月10日)の『朝日新聞』朝刊の記事を題材に議論していた。

 1)「〈政権チェック 女性活用:中〉自民党内の登用,道半ば」 『朝日新聞』2014年1月10日朝刊4面から

 この特集記事の本文は,自民党の平均的な女性観が20世紀前半に留まっているどころか,19世紀の遺物のような思考方式になっていること,つまり「女性差別の政治観念」を端的に物語っていることを説明している。

 ここでは,記事の本文は引用せず,別所から引用するつぎの表「諸外国の国会議員に占める女性割合の推移」を参照しておきたい。この記事からは,関連する「上野千鶴子の批評」のほうを聞いておくことにする。「首相」とは安倍晋三のことであった。

       ★ 首相の考えは「都合のいい労働力」★
    -上野千鶴子氏(東大名誉教授〈ジェンダー研究〉)-

 安倍首相がかかげる「女性活用」には,女性を労働力として活用したいが,都合よく使いたいというもので,女性の権利を守るという姿勢はない。少子化で労働市場が逼迫すれば,女性は最後の資源。能力のある女性は男並みに総合職で使い倒し,家庭責任のある女性は非正規雇用で使い捨てるというやり方だ。

 日本は,国連女性差別撤廃委員会から,選択的夫婦別姓の導入や婚外子差別の撤廃などを速やかに実施するよう長期にわたって勧告を受けてきたが,自民党はネグレクト(無視)してきた。とくに安倍政権は歴代政権のなかでも最右翼のタカ派で,「家族は国家の礎」という意識が強い。強行採決した特定秘密保護法をみても,かつて自民党にあったリベラルの幅がなくなってきた。

 国会の女性議員比率の向上も,政党候補者の比率を上げれば,公選法改正などをしなくても達成できる。それすらやらない安倍首相が,企業に対して「役員に女性を増やせ」というのは越権行為だろう。

 いまの自民党は思想的に幅がなくなっており,政治的な立場がもっぱら右寄り・タカ派だから「女性軽視」の労働政策を繰りだす政権になったというのは,考えてみれば無理もない自然な傾向かもしれない。だが,この政策の方向はナチス・ドイツも同じであった。

 女性は家庭のよき守り人になれ,というものが,それであった。女性は子どもを産み,育て・・・,というやつである。戦時期日本も同じような女性観であったが。しかし,女性は子どもを産むためにだけ生きているのではない。人生80年の時代に生きている。

 現状における日本の労働経済は,有能で実力ある労働力の不足が基調である(労働力需給のミスマッチが大きい)。すでに若者から壮年まで「流行っている」引きこもりや,「正規労働者に就けない人びとの広範な存在」の問題解決も重要であるが,これらのみならず,人口の半分を占める女性労働力の有効活用を,

 19世紀的な旧い家族観をもって「女性は ○ ○ ○ でないといけない」といった風の,古色蒼然とした人間観に囚われている考えが残存していて,まだまだ積極的に展開できていないのが,この日本国である。当然,この国の最高指導者である首相のもっている「社会政策に関する基本的な考え方」が問題になっている。

上野千鶴子による安倍晋三「女性観」批判

 その点でみれば「上野千鶴子による安倍晋三批判」は,労働経済問題の基本をまったく理解できていなかった,安倍晋三流の「19世紀的な時代認識」を痛く突いていた。安倍晋三の女性観は旧態依然であり,これから脱却できるような感性すら,ほとんどもちあわせていなかった。

 これでは日本の女性の立場を不幸する政策しか発想できない。したがって,安倍晋三における労働経済問題の認識水準にあっては,自身の抱く女性観について上野からのような批判を受けても,もとからこれを理解する力量すらもちあわせていなかった。 

 なにせ,安倍晋三という首相の抱いている政治イデオロギー的な立場そのものが,労働問題にとり組むためのものとしては「時代から完全にとり残されたもの」であって,どだいからしてズレていた。これでは,この問題領域において彼になにかを期待するというほうが無理であった。

 せめては,女房の昭恵さんに「このものわかりの悪いダンナ」の尻を叩いてもらい,筋の悪いというか,もともとまともにはもちあわせていないかもしれなかった「彼の女性労働者観」については,あとからでもよかった,あらためてでも勉強をさせ匡正させてほしかったところであった。

 補注)以上,いまは故人である安倍晋三に関する議論であった。生存中に安倍自身が「女性観」を変えるきっかけは,とうていつかめなかったとしか観察するほかなかった点は,まことに残念であった。いまさらこの問題を指摘したところで詮ないことであるが……。

 2) 浅慮であったこの日本国の首相をいまさらのように利用しようとした アメリカのジャパンハンドラー,リチャード・アーミテージのお節介
  -引用は 1) と同じで『朝日新聞』2014年1月10日朝刊4面から-

 1) と同じ個所に出ていた報道であったが,つまりこの朝刊の4面にベタ記事として出ていたのが「首相靖国参拝『国際平和を侮辱』中国国連大使」という記事であった。

 中国の劉 結一・国連大使は〔2014年1月〕8日,安倍晋三首相の靖国神社参拝について「国際平和,人類の良心,第2次大戦後の世界秩序,そして国連憲章に対するあからさまな侮辱だ」と非難し,「国際社会は,誤った歴史観を正さなければならないと安倍氏に警告すべきだ」と訴えた。劉氏が国連本部で会見して述べた。

 これを受け日本政府国連代表部は,靖国神社を参拝した趣旨を説明する昨〔2013〕年末の安倍首相の談話の英訳と,「参拝は戦没者を敬い,日本は二度と戦争をしないと誓うためであり,決して戦争犯罪人に敬意を払ったり,軍国主義をたたえたりするものではない」とする吉川元偉・国連大使のコメントを国連記者会加盟社に出した。(引用はいったんここでひと区切り)

 --中国側による以上のごとき「靖国参拝問題に対するこの批判」は,きわめて教条的なもの:常識的なものであった。第2次大戦後に形成された世界秩序に則した意見であり,とりたててにかわった中身ではなかった。

 旧大日本帝国はポツダム宣言を受けいれ,敗戦していた。大東亜戦争・太平洋戦争において正式に敗戦したことを,日本はそうして認めたのである。敗戦後になると旧大日本帝国は,占領してきたGHQに憲法を「改定して(押しつけて)もらい」,ともかくこの敗戦を境に日本国へと変身したはずであった。

 いずれにせよ,敗戦後における国際社会政治秩序のなかで,日本がどのように位置づけられてきたか。この歴史認識もふたしかなまま,ときおり発情したかのように「靖国参拝」問題を惹起させる,日本の「自民党・右翼・保守・国粋側の反動的な痙攣の行為」は,わざわざ国際社会に対して要らぬ刺激を与え,無意識的・不注意に挑発をするような愚かな妄動である。

 しかし,つぎのように,この日本国のそうした愚かな行為を側面から支持してくれるかのような,アメリカ政府側ではすでに御用済みの人物もいた。この人物はいまではアメリカ政府の正式な政治家でもなんでもないが,それでもいまもなお,自分がなにかいえば日本が自分が指示したとおりに動くと思っている。この人物は,アメリカ軍産共同体が準備する裏舞台では,そこでなりに正面に出て活躍しているつもりであった。

     ☆「首相靖国参拝『終わったこと』米元国務副長官」☆

 米ワシントンを訪問中の日米国会議連の中曽根弘文会長らは8日,アーミテージ元国務副長官と会談した。安倍晋三首相の靖国神社参拝について,中曽根氏らは首相の談話を渡して説明。アーミテージ氏は「首相が選挙の公約を果たしたということだ。もう終わったことだ」と述べた。

 安倍晋三にとっては心強いエールがアメリカのほうから送られてきたかっこうである。だが実は,このリチャード・アーミテージの声援は,日本国をこれからもさらにアメリカ側の思いどおりに動かしたい底意があっての発言であるから,要注意である。だから,この発言を単純に喜ぶのはおろかな解釈である。

 このアーミテージという人物がいままで,日本に対してどのような発言をしてきたか,日本人側がまさか忘れたわけではあるまい。

アーミテージ画像

 この人物は,日本を「アメリカの家来・下僕」程度にしかあつかっていない。1990年の湾岸戦争や2003年イラク戦争のとき,日本に対して「金を出せ」「自衛隊を出せ」と強引に要求し,実現させていた。

 2012年8月になると「第3次アーミテージ・レポート」なる文書を作成・発表し,日本が一流国家であり続けるのか,二流国家甘んじるのか,その重大な局面を迎えていると警告し,日米同盟関係における日本の役割拡大を求めた。

 要するにまたもや「アメリカ軍のためにもっと金を出せ,軍隊(自衛隊)も動かせ」といっていた。その後における日米両軍の軍事関係は,日本本土においてさえ(もっともこのことはいままでどおりであるが),米軍が主導権をとる関係で作戦行動をする体制をさらに整えさせられてきた。

 日本という国を完全になめきって観ているアメリカ側「ジャパンハンドラー」(この《ことばの意味》を考えてもみよ!!!)の代表格が,このアーミテージである。

 このような人物に靖国参拝は「終わったこと」(もとより,この文句は「なにをいいたいのか」分かりにくい表現であるが)などといわれて,日本の立場として「納得できたか」のように喜んでいるようでは,首相失格である。アメリカ国への属国根性なくしては,けっして,このエールに喜べないはずである。

 3)「〈過去 2014 未来〉『満州国化』する日本」
   -同上『朝日新聞』2014年1月10日朝刊19面「オピニオン」-
 
 つぎは,京都大学人文科学研究所教授の山室信一(やまむろ しんいち,1951年生まれ)が話した記事である。

 山室信一は,京都大学人文科学研究所長,専門は法政思想連鎖史。著書に『キメラ-満洲国の肖像-』中央公論新社,1993年(増補版 2004年),『憲法9条の思想水脈-』朝日新聞出版,2007年。

 --安倍晋三のおじいさんが過去,満洲国の高官になって,短い期間(昭和11〔1936〕年10月から昭和14〔1939〕年10月ま)であったが,大活躍していた。この満洲国の存在に関連させて,山室はこのような話をしていた。

 かつて中国の東北部に,13年間だけ存在した「国」があった。満州国と呼ばれたその国は,高い理想をかかげながら,矛盾と偽りに満ちていた。安倍政権の誕生から1年を経たいま,山室信一さんは「いま進んでいることは,日本の満州国化だと思っています」という。

 2014年の日本は,あの国とどこが似てきているのだろうか。

 なお以下は,

 ◎記者の「質問」,これに答える--「山室の話」という対の形式:順序で記述する。

 ◎ いまの日本が「満州国化」しているというのは,どういうことでしょうか。

 --「安倍さんは『自立する国家』をかかげてきました。でも現実には,特定秘密保護法やTPPなどで,アメリカのかいらい国家という性格が強くなってきているのではないか(筆者註記:さきほどのアーミテージはその操り手である)。理想国家の建設をかかげながら,日本のかいらい国家への道を歩んだ満州国に似てきています」

 ◎ 安倍首相は『新しい国へ』という著書があるように,国をつくり直す意識が強いようにも思えます。

 --「強いでしょうね。『戦後レジームからの脱却』といいますが,日本国憲法のもとで国家意識が薄れていったのが戦後だという意識があるのでしょう。だから,もう一度,国家主導体制をつくることが戦後民主主義から『日本を取り戻す』ことに直結すると意識されているようです」

 ◎ 安倍首相の祖父の岸 信介・元首相は,満州国の高級官僚として統制経済を進めた人でした。

 --「岸と安倍さんは発想がよく似ています。2人とも多元的な勢力の存在が嫌いのようですね。権力が一元化されていないと,物事がうまく進まないと考える。満州国では関東軍と革新官僚だけで全部を決めた。いまの安倍政権のように1強多弱になってしまうと,自民・公明という一元的な権力で全て決められる。満州国と同じシステムがいま,小選挙区制のもとで偶然にでき上がっています」

 ◎ 決められない政治への国民の失望が,1強多弱を生んだのでは。

 --「これも戦前と同じで,1920年代の対外的危機にさいし,民政党と政友会が党争に明け暮れてなにも決められなかった。政党政治に対する幻滅が国民に広まり,軍の統率力や官僚の統制に期待したところがあった。もちろんいまとは状況が大きく違いますが,出てきている情景は重なってみえます」

 ◎ 情景が再現されてきたと。

 --「満州国にいた官僚たちは,戦後の経済政策を担った経済安定本部にもたくさん入っています。『秩序と統制』が国家のあるべき姿だと考えた岸は,満州国で試みたことを戦後に実施し,高度成長の基盤をつくった。岸だけではなく,椎名悦三郎などの満州派は自民党内で力をもちました。統制国家の実験室であった満州国はある意味で,海を越えて戦後の日本と地続きでもあるのです」

 「それが一番よく表れているのは軍隊です。もともと満州国は関東軍による占領下に置かれて,独自の軍隊を持たず警察組織だけあればいいとして出発した。それがやがて満州国軍として肥大化していき,関東軍に牛耳られるようになった。これはまさに戦後の自衛隊と米軍の関係です。警察予備隊から自衛隊に肥大し,米軍に依存することなしには存続できない体制となっている」

 ◎ 安倍政権は特定秘密保護法をかなり強引に成立させました。

 --「それもアメリカへの従属とともに,権力の一元化とつながっています。情報の偏在は権力を生む。満州国で岸がやろうとした統制経済も,基本的に政府に情報が全部集まらなければできない」

 「特定秘密保護法と,岸の日米安保条約改定も重なってみえます。安保反対のデモが国会をとり巻いていたとき,『国会周辺は騒がしいが,銀座や後楽園球場はいつも通りである。私には声なき声が聞こえる』と岸はいいました。おそらく安倍さんはそれを思い浮かべていたのではないか」

 「こんども騒いでいるのは国会の周りの少数派だけで,背後には声なき多数派が自分を支持している,だから一部の反対を押し切ってでも法案を通すことが自分の政治家としての歴史的使命だ,と」

 ◎ 安倍政権のアジアへの姿勢はやはり岸政権に近いのでしょうか。

 --「岸は戦後初めて東南アジアを訪問した首相でした。『日本がアジアの盟主にならなければならないという私の意識は,実は私が満州国にいったときの意識と同じで戦前も戦後も一貫している』と語っています。日本がアジアの先頭に立っているという意識をもち,東南アジア諸国との関係を深めることでアメリカに対抗しようとした。アジアを盾に『対米対等』をめざす二重性があった」

 「一方,安倍さんのアジア観はわかりにくい。もともとは対米対等をめざして集団的自衛権をと思っていたのでしょう。でも,中国の台頭や靖国参拝による反発などもあって,アジアの旗頭としてアメリカに対抗するという手段はとれない。それどころか,東アジアでの孤立化を招いたことで対米従属化を強めるしかなく,特定秘密保護法をつくるなど,政策選択の幅をみずから狭めています」

 ◎ 安倍首相と岸元首相は,似ているようでも違うと。

 --「岸の本質は経済官僚です。経済力強化が国家の強盛に不可欠だと一貫して考えた。総力戦体制のもとでは経済力イコール軍事力ですから,富国と強兵は一致していました」

 「安倍さんは,自分の領分をもっていない。官房長官以外には閣僚を経験せず,若くして首相になった。自分の核がないから,官僚やブレーンがもちこんでくるものをバキューム効果のようにとりここんでいく。それが安倍政権に対する野党の攻めにくさになっていると思われます」

 ◎「理想国家をつくる」という発想では共通しているのでは。

 --「もともと日本人は,国家というのは与えられたものだという意識が強いんです。欧米では国家は人々が契約でつくるという意識があるのですが,日本では国体が連綿と続いてきたとされて,人がつくる余地がない。明治憲法も新しくつくったのではなく,あくまでも『皇祖皇宗ノ遺訓』を明文化したにすぎないと説かれました。しかし,これは明治以後に『創られた伝統』といえます」

 「岸の場合は例外的に,国家をつくるという発想があったと思われます。彼が若いときに愛読した北 一輝の『日本改造法案大綱』は,憲法を停止して,華族制度廃止や私有財産制度の制限など,国家の根幹を変えてしまおうというものです。ただ,日本で国家をつくりかえようとすると,必ず天皇制の問題とぶつかる。満州だったから,ゼロから新しい国家をつくる夢を見ることができた」

 ◎ 安倍さんも「美しい国」をつくろうとしているのでは。

 --「安倍さんの国家観は,自然主義的とでもいいましょうか,国はあくまで自然にあったもので,しかも国家主導は正しいという発想です。戦後レジームだけが否定すべきもので,それ以前の体制は『美しい国』だったと。国家は美しい国土という伝統のなかにあって,人がつくるものではない」

 「もともと存在した国が,戦後の自由主義や個人主義などの思想によって汚されてきた。汚れを除けば,美しい国をとり戻すことができるはずだと。その汚れの元凶がいまの憲法なのでしょう」

 ◎ 最近は改憲論をトーンダウンさせている印象もありますが。

 --「おそらく安倍さんは,憲法を変えればみんな変わると思っていたのでしょう。戦後レジームの頂点にある憲法を壊せば,すべて正常に戻ると。しかし96条改正への反対が強かったので,解釈や立法で変えてしまおうという方向にいっている」

 「これは逆説的な状況で,憲法の条文を守ればいいという護憲の虚をつかれてしまった。頂点が不変でも解釈や法令で基盤を壊されれば,憲法秩序の全体が崩れてしまいます」

 ◎ 満州国の歴史から教訓として生かせるものがあるとすれば,どのようなことでしょうか。

 --「権力の一元化は,特定の局面突破には効果的かもしれません。しかし一点突破だけを考えていると,全体のバランスが崩れる。満州国は,軍事的な統制だけすればいいと考えたのが崩壊のもとになった。安倍政権も,アメリカとの関係さえうまくいけばいいという一点だけを考えていると,対アジア関係や国内の産業構造が崩壊していきかねません」

 補注)この前段の指摘はまったくそのとおりに推移したと解釈せざるをえない。安倍晋三は対米従属(服属)になる上下関係の米日国際関係政治秩序に甘んじる「世襲3代目の政治屋」としての立場だけならば,非常に明快に態度表明できた人物であったが,「美しい国:日本」という標語的な文句に象徴される「印象:イメージ」からほど遠い「この日本国」に貶めてきたといわざるをえない。

〔記事に戻る→〕 「満州国は,当初の理想とはまったく逆の方向に動いていきました。最初は王道楽土や五族協和をかかげていたのが,対外戦争に危機感をあおって統制を強めるなかで,おたがいが監視し排斥し合う『兵営国家』になっていった。安倍さんがかかげるような美しい国の理想というのが本当は一番危ない。ベクトルが反転して動き出す可能性をつねに考えておく必要があると思います」

 以上,山室信一の話を聴いてみた。

 安倍晋三は,祖父:岸 信介の経歴,a) 戦時体制期における満洲国体験や,b) 大東亜戦争中の閣僚体験,c) 敗戦後にA級戦犯の指定を受けていた事実,d) さらに首相になって安保条約の改訂にかかわってきたことなどを,どのように受けとめ・解釈しているのか。いまの時点では,そのへんの事情は他者にはまだ理解しにくい。

 しかし,祖父とこの孫をかこむそれぞれの時代背景に関しては,基本点から決定的に異なる歴史的な政治環境があったものの,他方においては,多少は共通するかのように映る要因もあった。それは,満洲国が日本帝国の完全なる属国であったことであり,しかもこの関係に似ているかのように,いまの日本国がアメリカの実質的な従属国であることである

 補注)前段の指摘は本ブログにおけるほかの記述のなかで,たとえば,在日米軍の施設である赤坂プレスセンターのとなりに併設されている米軍専用のヘリポートに関した議論は,そうした米日安保関連法下にあってなにも変わっていない「日本のアメリカに対する従属的な政治」の位置関係をとりあげていた。

 戦中から戦後にかけての満洲国と日本〔帝〕国において,岸 信介が高級官僚・政治家の立場でおこなってきた仕事の顛末は,現在のごとき日米安保条約体制の基本的な路線を構築することになっていた。日本はいまだに,このアメリカとの軍事同盟関係,その上下関係の枠組に嵌めこまれていて,この敗戦後的な国際政治の枠組から脱却できないでいる。

 「旧」満洲国が日本の属国だといっても,日本国の出店というか支店のようなカイライ国であったから,日本帝国側の思いどおりに運営されていた。そのかぎりでは「両国関係」になにもまずいことはなかった。ところが,敗戦後に出現した日米安保条約体制は,沖縄県を典型的にして,日本全国に強力な米軍基地を置かせつづけており,他国の軍隊がこの日本の領土を実質的に乗っとったかのような2国間の軍事的実情が,いまもなお維持されてきている。

 以上のように描写した日本の現状,このけっして「美しくない国」の惨状を踏まえていえば,安倍晋三が以前公表した本の題名のとおり,あえて『新しい国へ-美しい国へ-』文藝春秋,2013年1月といいたい気持も理解できなくはなかった。

 しかし,アメリカとの上下関係に組み敷かれているこの日本国が,やはり安倍晋三(岡崎冬彦と共著)の本の題名である『この国を守る決意』扶桑社,2004年1月のように,アメリカに対して決然と対面すべき覚悟があるかといわれると,これは眉唾どころか,まったく現実の様相とは異なっていたゆえ,とうてい実現不可能な絵空事を吹聴していたというほかない。せいぜい,そう片づけられるのが,関の山であった。

 そのような空元気に勇ましい発言をするまえに,まず在日米軍を全部アメリカに引き帰ってもらってから,いよいよ『美しい国』の話題に入る,という段どりにしてほしいものである。
    
 ここまで,安倍晋三による政治の考え方を批判的に指摘すれば分かってもらえると思うが,おじいさんの政治がやった実績に比較するとき,その悪いところだけはほぼ学習できたかのように観察できる。

 だが,その肝心のいいところ:「自立した日本国の姿勢確立」という方面は,からっきしダメで,未実現という状態である。そのところに関するくわしい説明は,山室信一が前段において話してくれていた。

 問題は,いまの日本国のこの首相の頭中においては「民主主義のイロハ」からして,ほぼ完全に欠落していることである。かといって,ヒトラーのように〈狂人的な偉大さ〉をわずかでも備えているような人物でもない。それほどの大物では全然なかった。

 つぎのブログ記事を参照したい。安倍晋三の第2次政権が発足してからまだ11ヵ月しか経っていないころに,放たれた批判である。残念なことにこの批判が活かされるその後の政治情勢は生まれていなかった。

正一位と従一位の違いはなんですか?

従一位(じゅいちい)は日本の位階および神階の位のひとつで
正一位の下に位して正二位の上位に当たる

ちなみにその上位に当たる正一位を受けたのはつぎの7名
藤原鎌足,豊臣秀吉,徳川家康,源満仲,源経基,柿本人麻呂,和気清麻呂

 この程度の首相を戴いてきた日本国およびその国民・市民・住民・庶民は,日常的な政治の運営においてからしていつも,はた迷惑もいいところとでも形容したらよい事態が目白押しであった。だが,この程度の人物を国政で選んでしまったことは,まさしく「後悔さきに立たず」であった。「臍を噛む(ほぞをかむ)」思いにさせられているのは,けっして1人や2人ではなかったはずである。

小出裕章
後藤田正晴の警告
マイケル・グリーンは
ジャパンハンドラーズの1人

その後も日本の首相になる人物はなぜか
バカにしか映らなかった日本の首相ばかりであった

 繰りかえす。ジャパンハンドラーの1人,アーミテージがこの日本国の首相に対して声援を送るような発言をしていたが,現状におけるこの種の「日米関係の一部のあり方」に対しては,日本国民の側からきびしい批判を返しておくべきである。

 いうなれば,われわれは彼(ら)に「舐められっぱなし」でいいのか,ということである。「世襲3代目の政治屋」が舐められるのはいたしかたない面があるにせよ,1人ひとりの国民たちがアメリカの特定圏に生息する人物たちに舐められていてよい理由など,なにひとつない。

 4)「〈教育 2014 世界は 日本は:9〉市民を育てる 社会の一員,自覚促す」
  -同上『朝日新聞』2014年1月10日朝刊,35面「教育」-

 この記事については本文は紹介せず,あえて,わきに書かれていた《解説》記事のみ引用しておく。見出しは「安倍政権,国家優先の色彩」と書かれている。

 日本での「シチズンシップ教育」の必要性は,昨〔2013〕年まとめられた安倍内閣の教育再生実行会議の1次提言や,文部科学省の道徳教育の充実に関する懇談会の報告にも盛りこまれた。懇談会報告では,その定義をこう記している。「社会の在り方について多角的・批判的に考えさせたりするような,社会を構成する一員としての主体的な生き方にかかわる教育」。

 しかし,こうした考え方が政権全体で共有されているとはいいがたい。国民か,市民か。日本の政界ではこの2つの概念について,「国家優先 vs 個人優先」という対立軸と重ねて論じられてきた。1990年代の二大政党化の過程でも,民主党は国家優先に傾く自民党に対抗し,「市民社会」や「自立した市民による共生社会」という個人優先の思想をかかげた。

 自民党でも,とくに安倍政権は国家優先の色彩が強い。昨〔2013〕年1月,安倍晋三首相が教育再生実行会議の初会合で,2006年に第1次安倍内閣で成立させた改正教育基本法の意義を説き,こう訴えた。「その後の学校現場は,残念ながら改正教育基本法の理念が実現したとはいえない状況だ」

 首相がこだわるのは「豊かな情操と道徳心」「伝統と文化の尊重」「我が国と郷土を愛する態度」という改正部分だ。「市民」よりも「国民」を育てようという意識が強く,2006年の教育再生会議では「国をつくっていくための基盤は教育だ。志ある国民を育て,品格ある国家,社会をつくっていかなければならない」と語っている。

 --さて,安倍晋三の政治理念は,いったいなにを空想しているつもりなのか,というような感想を抱かせる。例のアベノミクスのインフレ効果は,たしかに多少は上がりつつある〔これ当時・当初にかぎられた話〕。ただし,卸売物価の上昇率が2%台になったという話であり,しかも4月からは消費税が5%から8%に増える〔その後10%にまでなっていた〕。しかし,労働者側全体の賃金の上げ幅がそれに追いつく様子はほとんどなく,期待薄である〔こちらが本筋になっていった〕。

 いまの日本経済のなかで〈貯蓄のない世帯が3割だ〉という。大企業の一部をのぞき,産業界ではあいもからず不調の企業が多い。年金はここ2年にわたり,1%ずつ下げてきた。このように経済問題は問題だらけであって,アベノミクスがまともに実現させられるような経済状況にはない。日本も「1%のリッチ層」と「99%のそれ以外の平均的所得層と貧困層」との二極分化になる経済社会構造のあり方に近づきつつあるようである。

 このような時代状況のなかで教育制度面から国家主義的に「美しい国」を創るのだといっても,いまの日本国を本当に強い体質にできるのか?

 この首相は,いったいなにを欲しているのか? このことからしてさっぱり明快でない。そもそも「美しいの国」,という文句からして,具体的にはまだ意味不明である。

 よくいうではないか:「恒産なくして恒心なし」である。これは「定まった財産や職業がなければ,定まった正しい心をもつことができない。物質面での安定がないと,精神面で不安定になる」という意味である。

 しかし,安倍晋三が首相としていまのところ,やろうとしている経済・社会政策は,こちらの恒産・恒心の確保・確立には向かっていない。ただひたすら精神論の重視をもって「豊かな情操と道徳心」「伝統と文化の尊重」「我が国と郷土を愛する態度」というのだから,

 ここまで聞かされるとなればまさに,漫画的な非現実性の単なる昂揚でしかなく,それもはた迷惑な「幼稚と傲慢」による政治理念,「美しい国」という空想概念のごり押しにしかなっていなかった。

 ここで話題を変えよう。今日もまた,米軍機が日本の空(空域)をわがもの顔に飛び,そして,またもやこういう事故も起こす。この報道の引用も,以上の議論に利用した朝刊における「別の記事」(『朝日新聞』2014年1月10日朝刊38面から)である。日本の空域は「米軍の官制が主に支配する空間」になっている。

   ☆ 厚木基地所属の米軍機から部品落下 神奈川の住宅街 ☆

 米海軍厚木基地広報部によると,9日午後2時半ごろ,神奈川県綾瀬市寺尾北2丁目の住宅街に,訓練飛行中の同基地所属の空母艦載機FA18E「スーパーホーネット」の部品が落下した。安全が確認されるまで,同型機の飛行を停止するという。

 県警大和署の調べでは,落ちたのは長さ約17センチ,幅2センチ,厚さ 0.5センチの金属片。民家のアルミフェンスの上部がへこみ,停車中のワゴン車の側面ドアのガラスに約5センチの穴が開いたという。

 同基地をめぐっては,所属するヘリコプターが昨〔2013〕年12月に同県三浦市で不時着横転し,一昨年にも所属する航空機の一部が落下した。基地の地元の綾瀬,大和両市の市長は9日夜,基地司令官に抗議した。

 出所)wikimedia.org/wiki/File:US_Navy_080627-N-7981E-217_An_F-A-18E_Super_Hornet・・・ より。

米軍機から落下物

 これで,「美しい〔日本の空域の〕国へ」とかなんとかいわれても,納得などいくわけがない。初めから冗談にもならない話。つぎの図表は「厚木基地周辺における騒音苦情の発生地点(厚木基地騒音対策協議会作成資料) 」である。参考にまでかかげておく。米軍機は事実,アメリカ本土の市街地近辺では,このような飛び方は絶対に許されていない。

米軍基地に軍事作戦的にも離着陸するに
日常的に悩まされている神奈川県民
米軍基地はアメリカ領みたいな場所:番外地だから・・・
「米軍基地の在日特権」が自国民を騒音問題でいじめる基本の構図


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