「10年一昔」ではない歴史を歩むしか策のない「北朝鮮・非民主主義・反人民・似非共和国」,あの丸々と太った父娘とガリガリにやせた人民たちの地獄絵から飛び出すミサイルなど
※-1 北朝鮮王朝論-まずは食糧の話から-
いまとなっては,「日本の最近(!)」にいくらかは似ているようにみえる北朝鮮という東アジアの一国が存在する。この国は,ともかく「世襲3代目のぼくチン」が支配する独裁国であるがために,以前からそうであったが,もちろん現状においても,人民たちの生活にはまったく未来がない。
というのに,せいぜい人民の食い扶持まで奪いながらミサイルを飛ばすのが唯一の生きがいらしい「世襲3代目の独裁者」金 正恩君は,なぜあれほどまで太っているのか? 興味をいだかないほうがおかしいと思う。
おまけに,その娘の肥満ぶりとみたらこれまた,なに不自由なく食べたいものをいくらでもたくさん摂っているらしく,かの国のなかで「別格風に栄える栄養過多状態」をみずから体現させえている。
ところが,一方において北朝鮮の人民たちは,まともに食糧が入手できる「核心階層」に属する者たちであっても,まったくといっていいほど,デブ判定ができるような人がみつからない国である。
補注)北朝鮮は階級社会として構成されている。それも絶対的な階層構造が構築されている。つぎの3つの主要階層が,まず大分類されている。北朝鮮の総人口は,2021年で2600万人と推定されているが,後述するようにはたして,実際には2000万人を少し超える程度ではないかと疑われている点を断ったうえで,つぎの階層別の人口を紹介しておく。
核心階層: 600 万から 700 万人
動揺階層: 1400万人から 1500 万人
敵対階層: 600万人
要は「朕とその娘だけ」が異様にデブっているかの国は,「偉大なる領導者様,いまでは3代目の金 正恩同志を戴く封建遺制国家の北朝鮮」として,20世紀から21世紀にかけて,きわめて奇怪なる,いわば中世的ともいえる世襲体制を維持してきた。
もっとも,世襲政治屋が跳梁跋扈している日本の政界を思うとき,北朝鮮の独裁国家性を,思い切って笑うことはできない。独裁政治ではない日本の政治のなかで,そうした「世襲3代目の政治屋」がのさばる実態は,こちらの国の政治品質がいったい何流であるのか,即座に教えている。
むかし,18世紀の後期だったが,フランスにはマリー・アントワネットというフランス国王ルイ16世の王妃がいた。彼女は,フランスの人民たちが食糧不足に悩んでいた窮状を目前にして,「パンがなければケーキを食べればよいぞ」などとのたもうた。
だが,20世紀から21世紀になって「東アジアの北朝鮮」という国においては,いまもなおつぎのような話題が登場していたというのだから,びっくり仰天する前に呆れはてる。
以下の記述『コメがなければ「肉を食べればいい」といった,あのブタのように肥った第1書記のありがたいお言葉』も踏まえて議論をしていきたい。
※-2「人民にろくに肉も食わせられない」金王朝3代目の偉大なる豚児的指導者が放った〈ありがたいお言葉の空虚〉
本日〔ここでは2013年12月22日のこと〕の YOMIURI ONLINE(『読売新聞』)の記事を読んでいたところ,つぎのようなニュースが出ていた。その見出しは,金「正 恩氏に幹部あぜん『コメでなく肉食べれば・・・』」。この文句に接してすぐ思い出せる有名な同類の〈発言〉が,マリー・アントワネットの口にした文句であった。
王妃のマリーが,食べるパンがなければ「ケーキを食べればいいじゃない」といったとき,その「食べもの」とは,一般的なパンと異なり,〈ブリオッシュ:brioche〉という「バターと卵を使ったぜいたくな《パン菓子》」 だったということである。
このマリー・アントワネットの文句は「たいへん身分の高い女性が庶民の暮らしに疎いことを示す台詞として引用される」。
18世紀後半でのマリー・アントワネットの話はひとまず置き,21世紀になってからだが,かの「北朝鮮・非民主主義・反人民・似非共和国の小王様」がおっしゃったこのおことば:「コメがなければ『肉を食べればいい』」に関して,その報道を引用してみたい。
30歳そこそこになったばかりの〔当時の彼の年齢であるから,1984年1月生まれで数えている〕,かの地の偉大なる指導者同志(洟垂れ童子?)金 正恩第1書記の馬脚が早くもみえはじめた。世間しらずで分からず屋の,ただの3代目のお子さまであることが,あらためて判明した。
わが国(北朝鮮)は,2千4百万余名の人口をかかえ,強勢大国に栄えているといい,世界に負けない先軍政治を進めているという封建王朝的世襲独裁国の最高指導者が,この程度の自国認識,「コメがなければ肉を食べればいいじゃないか」といった。
まさしくこの発言は,開いた口が塞がらないような,きわめて幼稚な発言である。オジイチャンの代から強調されてきた,いまでは聞きあきた文句であるが,この 「北朝鮮非民主主義反人民似非共和国」においては,「全人民が白い飯と肉のスープを食べられ,絹のふとんに寝られ,瓦屋根の家に住める」といった時代は, いまだに到来していない。
こうした,この小王国的に困窮した実情のなかで,その孫に当たる正恩が,いまさらにように,コメがないというが「それならば,代わりに肉でも食えばいいじゃないか」といってのけたのである。これは,聞かされたほうが「ブッと,吹き出しかねない迷文句」であった。
まったく冗談にもならない,そし 全然ブラック・ユーモアでもない,ひたすらアリガタイお言葉を,そして,北朝鮮の人民たちは黙って聞くほかない立場にある。同情しきり……。
※-3 悲しくてやりきない-誰がこんな国にしたのか,不幸中の不幸が的中している国-
しかし,食糧の確保をする順序でいえば,ふつうはまずコメ,そのつぎが肉,またいえばそのつぎに果物やスイーツ(甘味!),ということになるはずである。
だが,コメを飛ばしてでも,いきなり肉にありつけるような国に北朝鮮がなること,それも全人民次元でなりうることについて,いま・ここでは,他者の立場からだと,ただそうなってほしいものだね,と期待してあげるほかない。
敗戦直後の日本では,こういう事件があった。
1946年5月19日「飯米獲得人民大会(食糧メーデー)」 が実行された。これに参加したある人物が用意してきたプラカードには,表に「〈詔書〉国体はゴジされたぞ,朕はタラフク食ってるぞ,ナンジ人民飢えて死ね,ギョメイギョジ」,そして裏には「働いても働いても何故私達は飢えねばならぬか,天皇ヒロヒト答えて呉れ」と書かれていた。
このプラカードを作って使った人物は,不敬罪で逮捕されていたものの,敗戦後の政治過程のなかで,最終的に免訴となった。
それから,67(68⇒77)年。海の向こうの「北朝鮮非民主主義反人民似非共和国」では,独裁・世襲によって生まれた「偉大なる幼児的指導者:小王様」が,いまごろになっても,なお人民が飢えているのであれば,「コメでなく肉食べれば・・・〔いいではないか!〕」といった。
この発言は,人民たちの生活実態などまるでなにも分かっていない独裁者:「ハダカの王様」の口から出ていた。繰りかえしていうが,日本にも2010年代には「子どもの裸の王様」みたいな,やはり「世襲3代目の政治屋」であった総理大臣がいたから,前後して批判しているジョンウン君の目線は同類に映っていたかもしれない。
以上のごとき発言ができる人物:金 正恩の実像が,これすなわち,「北朝鮮非民主主義反人民似非共和国」の真相を物語るものとなっていた。しかも,この1人の人間が,2千6百万人もの国民(人民)の生命を左右する立場に立っており,この一国の命運を司る立場,最高指導者になっている。
補注)北朝鮮の総人口についてはのちに議論があるが,前後する記述では時期の関係もあって数百万の食い違いが出ている。承知のうえで読み流して居ほしい点であった。
なんといったらいいのか,もう悲しくてやりきれない。悲惨を通りこして昔からいまも「地獄の様相の国である事実」は,これからも持続する。もっとも,オジイチャンの代からそうであったわけで,あいも変わらずに,そういうどん底国家でありつづけている。
ここで,イムジン河という歌を紹介する。この歌は,1968年,ザ・フォーク・クルセダーズ(右下写真)の第2弾シングルとして予定されながら,直前で発売中止になった曲が,30年以上の歳月を経て,オリジナル音源のままリリースされたものである。
もとは朝鮮南北分断を歌った「北朝鮮民主主義人民共和国の歌」であるが,レコード会社が政治的配慮を考え自粛的に発売を見合わせたと思われる。
「誰が祖国を二つに分けてしまったの」という切なる願いをこめた歌詞,美しいメロディー,それにストリングスを導入したアレンジも冴えた佳曲である。カップリングには,当時この曲の代わりにシングルとして出された「悲しくてやりきれない」収録されている。
このシングルが話題を集め,2002年7月には期間限定ながらバンド再結成に至った。(小山 守,Amazonレビュー参照)
註記)http://music.goo.ne.jp/cd/CDDORID473699-1/index.html
※-4 韓国紙の分析など
『中央日報』日本語版「中央 SUNDAY」(2013年12月22日12時54分)「金 正恩執権後の国政戦略に一貫性はまったくない(1)」は,「金 正恩1人体制は今後どのように回っていくだろうか」と問うたうえで,こう答えている。
「金 正恩の権力への意志は確固とするだろう。金 正日が金 正恩の権力への意志を評価し相当期間教育したためだ。しかし,国政戦略は教育したからとできるものではない。
金 正恩が権力を握った2年間にやってきた措置をみれば,戦略的一貫性はひとつもない。平和・開放と挑発・閉鎖を行ったり来たりした。今後もこうした矛盾した動きが続く可能性がある。
核開発と経済発展の並進路線を,ひとまず維持していくとみられ,挑発よりは内政に注力するものとみられる。 韓国や米国に対話のジェスチャーをみせ,支援を引き出すため中国に融和攻勢をかける可能性が大きい」(中央 SUNDAY 第354号)
註記)http://japanese.joins.com/article/721/179721.html?servcode=500§code=500&cloc=jp|main|breakingnews
中国のインターネットには,金 正恩氏の顔をパロディー化した写真を集めたサイトもある。なかには金 正恩氏を猪 八戒扱いしたものもあった。
微博では,死去直前の金 正日総書記と息子(金 正恩氏)の会話というジョークが人気だ。金 正日総書記は「主体(チュチェ)思想を守り,核開発を続けろ」と遺言を残し,中国語で「プーヤオクーフー(不要辜負=期待に反するな)」といって息を引きとる。ところが,金 正恩氏はそれを同じ発音の「不要姑夫(叔父は不要だ)」と誤解し,張 成沢氏を処刑したというものだ。
あるブロガーは「金 正恩はまだ若く,長生きすればあと50年以上生きるはずだが,今回の事態で彼が年老いて自然死する可能性は低くなった」と書いた。金 正恩氏をめぐる中国での出所不明のうわさは韓国にまで広がった。
〔2013年〕今〔12〕月16日,北朝鮮の崔 竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長がクーデターを起こし,金 正恩氏を逮捕したといううわさが,ソーシャルメディア経由で韓国に急速に広まった。事実無根と判明したが,現在の不安定な北朝鮮情勢を反映したうわさだとの観測が聞かれた。
註記)http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/21 /2013122100484.html 記事入力:2013/12/21 09:43,金 承範(キム・スンボム)記者,『朝鮮日報』日本語版。
※-5 北朝鮮の食糧事情に代表されるこの国の難点
a) まずつぎの画像資料をみてほしい。在日韓国系の新聞紙(発行は週刊)の広告に出された本,『暴政による人間の退化-北韓住民による身体矮小化に関する研究-』2014年の,宣伝画面を複写し,本ブログ筆者がさらに解説を記入したものである。
要は,北朝鮮の食糧事情のひどさを強調する文句が記入されているが,これなりに作為図的に作られている画像ゆえ,その分は割り引いて観察しなければいけない点があるが,これはこれなりに事実に迫ったなにかを教えてくれる。
2017年11月13日に起きた事件であったが,韓国と北朝鮮との休戦ラインで対峙する場所「板門店」での出来事であったが,北朝鮮側の兵士が韓国へ亡命してきた事件が発生した。この事件を介して,北朝鮮の公衆衛生的な問題の一端がついでにだが,判明した。以下のように説明される問題であった。
韓国へ亡命した北朝鮮の兵士は,逃亡する最後の段階で狙撃され瀕死の状態になった。直後に入院した病棟で手術されることになったが,その術後につぎのごとき事実が明らかになった。画像資料を借りて説明したい。
b) 以上のごとき人間にとりつく寄生虫の話題について,以下のように少し語ってみたい。
「北朝鮮『亡命兵士』の腸が寄生虫だらけになった理由」『ニューズウィーク日本語版』2017年11月17日 14時00分,https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8930.php(高 英起・デイリーNKジャパン編集長『デイリーNKジャパン』より転載)には,こういう北朝鮮的な事実が報告されていた。
たいそうビロウな話題だが,あえて引用せざるをえない。
「〔2017年〕11月13日に板門店で韓国に亡命した北朝鮮兵。重傷を負っており手術を受けたが,体内にいた大量の寄生虫に注目が集まった。背景には,国を挙げておこなわれる『人糞集め大作戦』がありそうだ」
〔11月〕13日午後に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士1人が,板門店の共同警備区域(JSA)から韓国側に亡命してから3日。その過程で北朝鮮側から銃撃を受けた兵士は重傷を負い,ヘリコプターで病院に運ばれ,16日までに2度の出術を受けた。
執刀した韓国の外科手術の権威,亜洲大学病院のイ・グクチョン教授は韓国メディアの取材に,2回目の手術後,兵士の容態は多少よくなったが,心肺機能が完全に回復せず意識がない状態が続いており,1回目の手術から10日(今〔11〕月23日)ほど経たないとなんともいえない状況だと語った。
イ教授の話で,メディアの注目が集まったのが「寄生虫」だ。この兵士の大腸には大量の便が残っており,銃撃による傷口から漏れ出て腹腔を汚染してしまった。さらには便に混じり,最長で27センチの回虫が数十匹発見されたというのだ。回虫が小腸を食い破ることで合併症の危険が高まるため,目視で除去したとのことだ。
「外科医師になって20年以上になりますが,韓国人の患者の大腸,小腸でこれほど大きな寄生虫はみたことがありません。韓国社会ではまずみられない現象です」(イ教授)
韓国寄生虫撲滅協会(現韓国健康管理協会)が寄生虫調査を始めた1971年,韓国国民の回虫感染率は54.9%にのぼった。しかし,1981年には13%まで下がり,1992年には0.3%,2016年には0.05%となっている。ただ最近では,無農薬野菜,魚の生食による寄生虫感染が問題になっている。
ちなみに日本の学校衛生統計によると,寄生虫卵感染率は1947年の70.92%から,1962年には10%以下になっている。
寄生虫感染率が急激に低下したのは,下水道設備の整備,衛生教育の徹底,洗剤の普及にくわえて,化学肥料の普及により下肥,つまり人糞を発酵させた肥料を使わなくなったことが大きい。
尿素が多く含まれる下肥は,中国やギリシャでは紀元前から使われていたという記録がある。集めた糞尿を夏は1~2週間,冬は3~4週間発酵させて使うが,これが不完全だとさまざまな菌や寄生虫が残ったままで作物に使われ,人体に取りこまれる。化学肥料の発達や疾病予防運動で,メリットよりデメリットが大きくなった下肥は急速に消えていった。
ところが,いまだに下肥が大々的に使われている国がある。手術を受けた兵士の祖国,北朝鮮だ。
北朝鮮の肥料消費量は年間155万トンだが,実際の生産量は50万トンにとどまっている。不足分は中国から輸入しているが,それだけでは需要を満たせない。そこで北朝鮮当局は毎年「堆肥戦闘」つまり「人糞集め大作戦」を繰り広げるのだ。
毎年1月になると,当局は国民に人糞集めの過酷なノルマを課す。筆者が会ったある脱北者は,「北朝鮮国民は,日本や韓国では想像もできない苦行を国から押し付けられるが,堆肥戦闘こそ本当の地獄だった。あれだけは死んでもやりたくない」と語っていた。(引用終わり)
この北朝鮮はいまもなお,人民にはろくに食糧もあてがえない国情のまま,ミサイルの開発とこの実験を繰りかえすという前世紀と今世紀の混濁した「金王朝風の独裁国家体制」を,いうなれば▲ソまみれ的に誇るだけの,実質では発展途上(以下?)だという以前の中世的政治を維持しつづけてきた。
c) 金 正恩君はオジイチャンの金 日成を意識して,後段の記事ように語ったという報道があった。しかし,この中身を聞いて思わず吹き出したのは本ブログ筆者1人だけではあるまい。しかも,このような発言をできる「孫の金」君の神経からしてどうにかしている。
祖父の独裁政権時に人民に向けて約束したことがらが,いまもなお「有効だという北朝鮮という後進国家の繁盛ぶり」は,恥にしかなりえないにもかかわらず,この空手形を3度まで発行させたのが,この金家の孫(まご)君であった。
ということで,以上のごとき北朝鮮事情については,この記事を借りてさらに批判を重ねておく。2010年の韓国紙に掲載された記事だが,いまだにこの課題は全然解決されていない。
この記事は2010年の報道であったが,この孫の金君,いったいなにをつぶやいていたかと思いきや,祖父の金 日成が全然達成できなかった,それも息子の金 正日においても同じであった発言,『白いご飯に肉のスープを食べて,瓦屋根の家で絹の服を着て暮らす』という自国民への約束を,「2度あることは3度ある」という制限回数のぎりぎりまで誓っていたのである。
だが実際はどうなっていたか? 金 正恩君とその一家・一族はさておき,北朝鮮の人民全体のなかには,正恩君ほど,またその娘さんほど肥満になれる人間は,多分,絶対に1人もいないと思う。というか, 白いご飯もろくに口にできない人民が多くいるのだから,当然のなりゆきであった。
以下の画像資料は,前掲にその広告の画面を紹介した本,『暴政による人間の退化-北韓住民による身体矮小化に関する研究-』2014年の「17頁」を紹介している。本記述のこの段落までに関連する内容が記述されている。
d) さて,ここで話題を変えたい。本ブログ筆者が最近読んだ本に,きむ・やんそん『北朝鮮の闇-実録:北朝鮮・総連盛衰記-』パブフル,2022年がある。この本は,以上に記述してきた北朝鮮の内情を,それも自分の肉親が「北送された辛い立場」からだが,必死になってしかも冷静に客観的に叙述している。
この本からはつぎの1箇所のみ引用しておく。日本赤十字に対するきびしい批判である。
このきむ・やんそんの日赤批判はまっとうである。多分,「在日」関係者の人たちは,当時からこうした日赤の魂胆はよく知覚していたと推察してよい。
日赤にかぎらず,日本政府でも法務省の出入国在留管理庁による対・外国人,それもだいたいは白人系をのぞいた「支配管理態勢」は,非人道路線を地でいくものであった。
ウクライナ侵略戦争の影響で発生した「難民ではない」「避難民であるウクライナ人(もっぱら白人にかぎる)」受け入れ体制は,すでに1年以上が経過しているが,大きなトラブルなどが生じたとの話は聞かない。特別待遇で処遇してきている。
それとは対照的に,すでに大きな社会問題になっていた技能実習生の奴隷的な処遇や「難民をほとんど受け入れないこの国の国際感覚」に反映されている,外国〔籍〕人に向けられてきた基本的な「非人間観」は,まだ19世紀の昔に留まっている「人権感覚」だとしか解釈できない。
在日韓国・朝鮮人に対してならば,2世紀にもわたって継続してきているその「偏見と差別」をまともに克服する努力を嫌ってきた日本国・民族側に,その意味では「大きな非がある」と批判されても仕方あるまい,当然である。
前述に出てきた本,きむ・やんそん『北朝鮮の闇-実録:北朝鮮・総連盛衰記-』パブフル,2022年に関しては,アマゾンの書評としてつぎの文章が出ていた。
ここでは書評の寄稿者の氏名や評価点などは割愛しておき,本文のみ引用しておく。なお,その子細について気になる人は,きむの本に関するブックレビューを,アマゾンの原文で参照されたい。
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