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嫌味な野郎

私は今、79歳。

朝の柔らかな光が寝室に差し込む。

そして尋ねる。

いつ起きますか?
何時でも良いよ

朝ご飯は?
リクエスト有りますか?
君に任すよ!

今日の体調は?
最高

仕事は?
順調遣り甲斐で溢れている

好きな時、好きな事をすれば良い

準備は整っている。 

変な奴だな!

こいつ誰?

酷い自己満足。

真実から目を背けている。

虚言癖?


日本男子の平均寿命は81.6歳。

健康寿命となると、男子72歳位だと記憶している。

私は生まれてから病気をした事がない。

普通だと今の年齢79歳は何かの病気を患うか、警告を受ける年なんだろう。

しかし、何もない。

寝込むのと、元気に歩き回っているのでは雲泥の差。

おまけに天職の仕事を若い時と同じ条件で継続している。

勿論、体力が落ちているから仕事量は自分の意志で半分にした。

他人様の定年後の話を色々聞くと、延長で65歳まで働けても、給料は半分になり、仕事の内容も決定権の無い、かつての部下を上司に仰ぐ、何とも言えぬ内容に失望感を抱く人も多いと聞いた。

私は、79年間?今の仕事を、満足感を持って、順調に継続し続けている幸せものだ。

勿論、億万長者になるなどは縁遠い話だが、この年になるとやり甲斐が有る事が最大の喜びとなる。

都立高等学校教諭時代、転職めいた事は経験したが、その時の家内の言葉が強く心に残っている。

ああ、やっと来ましたね。貴方は教員向きではないと思います。これからは大好きな演奏家として生きて下さい。ガンバレ!」

これで全て終わりでした。

これから辿る道順も、経済面の考え方も何も聞かずに了承したのだ。

公務員だと当然、定年が有り、その先、委託を受けても5年位の延長なんだろう。

勿論、素晴らしい先生は沢山おり、退職を惜しまれ、別の形で教育界に永く残られるのでしょうが、私みたいな、「でもしか先生」には当然の結末だったと思われる。

そこで考えを切り替え、唯一得意な事、歌を歌う事で生活を築き上げる事に決めた。

それに、大きな危険が含まれていた事は、事実だろう。

しかし、時代の潮流も有り、需要は沢山有った。

勿論、求職の努力は人並みしたが、ラッキーと、周りの温かさに救われた。

これが切れ目なく、今際の時?まで自分の意志で、やる、やらないを決められる最高の仕事となった。

取り上げ方が極端なのかも知れないが、現代社会の老後の遣り甲斐、年金の少なさ、健康問題、熟年離婚等で悩まれる方の多さに驚く。

私は合唱指揮者だが、人間の対応で困った事は近年ない。

団員の質の高さはピカイチだ。

いつも向上心を持ち、最善の努力をし、人間的に立派な方々ばかりだ。

しかし、この仕事を50年以上やっていると、過渡期には、ワガママ放題の乱暴な輩も実際居たが、私の雰囲気に嫌気がさしたのか?いつの間にか、奴等は消えていなくなった。

綺麗事言うつもりは無いが、人との繋がりが悪いと、良い結果は出ない。

だからこの成り行きには納得している。

私の大学院の先生は一人はドイツ人、もう一方は東大出の楽理の教授でした。

教え方は、音楽から色を探し出し、画像を組み立てる、日本では無い教え方だった。

とても面白く、私の現在の音楽活動の礎になっています。

私は世に言う老後破産危険年齢を難なく通過。

自分の両親の死亡年齢から逆算すると、残り10年。

これが私の寿命となる。

この位だと、実際にすべての面で計算が出来、時間を有効に使える。

私の家族は前向きで温かい。

妻は私と同じで病気一つしない。

2人の息子も元気で、親離れをして自分の道を堅実に歩いている。

私の、公務員生活から、何の保証のない指揮者への転職時の、妻の放った、笑ってしまう言葉。

相手を信じ、決断を尊重するのが、物事の進める時の大前提なのだろうが、中々、出来ない事だ。

温かい家族

この世知がない世の中で家族の信頼を失ったら、どう生きて良いか誰でも迷うだろう。

借金も無く、老後の資金も確保出来た。

ゴールが見えるのも安心の一つ。

人生の最大の難関に差し掛かり、余裕で毎日を笑顔で送る奴なんて、見ていて面白くもなんとも無いだろう

若い時の石橋を叩いても渡らない性格がやっと余裕をもたらしてくれた。

感謝したい。

拙い文ですが、溢れ出る思いを、人に伝えたいと願っています。日常にある小さな出来事ばかりですが、その視点により皆が幸せになれると嬉しいです。何より読んで欲しいと切望しています。宜しくお願いしますね!