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おこしやす

ボツ投稿より…
2020.7
宇和島市 中村健一(49)

妻の実家がある京都に帰省するのがいつも楽しみである。
実家は京都らしい西陣の街並みにあり帰省でありながらいつも観光客気分だ。
実家に着き門を潜ると涼しげに頭を垂れる枝垂桜に癒される。
玄関に入ると「おこしやす」と、ゆっくりお辞儀する義母の京都弁の挨拶が長旅の疲れを忘れさせてくれる。
京野菜の千枚漬けを肴にビールをいただきながら義母との会話が弾む。
義母は学生時代にお世話になった恩師が松山(旧北条市)の先生だったことから「愛媛の人に好感が持てる。」と話してくれたことを思い出す。
争い事は嫌いで誰からも愛されていた義母だったが、昨夏に天国へ旅立った。
一周忌の法事で京都へ帰省したが、義母の「おこしやす」が聞けないのは寂しく感じた。
この挨拶が京都を好きにさせてくれたのだから。
祇園祭で賑わうはずの都はやや静か。
私は義母の故郷である貴船神社の付近までランニングをした。
少しでも義母の足跡を見付けられたような気がする。

(会社員・新聞配達員)

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