六甲連山は祖父の背中

ボツ投稿より…
2020.11
宇和島市 中村健一（49）

神戸市の郊外に位置する六甲連山は瀬戸内海国立公園に属し、近代登山発祥の地として知られ、神戸市須磨から宝塚市までの56kmを完全縦走する人気イベントが毎年開催されている。
一度は参加してみたい憧れの大会だが、今年は新型コロナウィルス禍により残念ながら中止となった。
諦めの悪い私は、GoToトラベルを活用して独りで六甲全山縦走にチャレンジしてみた。
何度もコースを間違えてしまったので時間が足りなくなり、六甲山頂手前で下山したが55kmの距離を楽しめた。
私の祖父は六甲山の新幹線トンネル工事の事故で犠牲となり私が生まれる前に49歳の若さで他界している。
私にとって六甲山は祖父の背中なのである。
それだけにこの日は祖父が背中で遊ばせてくれたような嬉しい気分で童心に戻れた。
新型コロナ第三波が拡がる中でGoToキャンペーンを利用すると、批判の声が聞こえてきそうだが、私は外出を自粛することばかりが国民の命を守れるとは思えない。
重症者の命を最優先に守りつつ、健康な人々は感染防止対策を徹底しながら苦境の経済を回していくべきだと思う。
空席だらけの新幹線では祖父の苦労が報われない。

（会社員・新聞配達員）

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