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随想(詩について)

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#辻征夫

「捧げた詩」ー 辻征夫さんのこと

「捧げた詩」

この世は大きいと思います。そのとてつもなく大きなこの世の信頼の水位を、この世全体の信頼の水位を、その人が生きているというだけで少し上げてくれる、そんな人がかつていました。

辻征夫さんにはじめてお会いしたのは、正確には受賞記念パーティーでした。しかし、きちんと話をしたのはそれから数年後、詩誌「詩学」の投稿欄の選者をしたときでした。その選者のメンバーの一人に、辻さんもいたのです。

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書けなくなるということ ー 辻征夫さんのこと

「書けなくなるということ」

「げんげ忌」に参加して、席についたら隣に辻憲さんが座っていました。辻憲さんは辻征夫さんの弟。画家です。「憲さん、お久しぶりです。」「ああ、松下育男さん、元気?」。ということで、憲さんの隣に座って「げんげ忌」に参加しながら、昔のことを思い出していました。

辻征夫さんにお会いしたのは、私が30代の半ば、もうきちんとした詩が書けなくなっていた頃のことです。「詩学」の投稿欄

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