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随想(詩について)

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2023年10月の記事一覧

「決してわたしを捨てないもの」

「決してわたしを捨てないもの」

費やされた時間と思いの総量でその人が何者であるかということが決まるのならば、わたしは間違いなく「詩を書く人」ではなく「勤め人」です。

かつて、ある出来事が突然わたしを襲って、それをきっかけに、長い間わたしは詩を書かずに生きてきました。しかしそのときにも、勤め人であることからは離れることはありませんでした。

「勤め人」であり続けたことはむろん金銭的な問題が影響し

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「詩人と会った日」ー荒川洋治さんのこと

「詩人と会った日」

詩を書く人というのは、あまり人と接することが得意ではなく、ですからひとりきりで詩を書いている人が多いのだと思います。むろん、たまに詩を書く人同士が会うことはありますが、それはその時だけのことです。

わたしもそれほど多くの人と会ってきたわけではありません。けれど二十代の一時期、毎週のように会って、会えば10時間も一緒にいて話をした人がいました。その人も詩を書く人でした。荒川洋

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