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電気自動車(BEV)の動向関連情報 ー 「米国におけるBEVの動向」レポート(24年3月12日)より


(はじめに)あと少しでFY23も終わりです

あと数日で23年度(FY23)も終わり、5月初旬から3月期決算期の上場企業各社の通期決算発表シーズンです。私の場合、仕事で機械関連セクターの決算分析に少し力を入れようと前から取り組んでおり、IFISでファナックはじめ工作機械銘柄のアナリストレポートを四半期決算の都度、整理してはいるのですが、これまで個人で機械関連銘柄に投資したこともなかったので、どうも分析に力が入っていませんでした。

どうせなら自分でも産業機械関連セクターの銘柄を購入した方が、その銘柄の動向や周辺情報を深く注視し、仕事の役にも立つと思い、先週は機械関連銘柄や中国関連の情報収集をTwtterもフル活用して情報収集をしていました。この週末も同じ作業をしています。中国景気の動向を各企業がどう見ているかも気になるところです。

米国における電気自動車(BEV)の動向

本日は、株式投資関連のマクロ情報として、外部の公表資料を1つ紹介いたします。電気自動車(BEV)ですが、最近の報道を見ているとBEVの成長が鈍化しているようですね。日経新聞等を読まれている方は皆さんも同じ感覚をお持ちかと思います。これに関連して、みずほ銀行の産業調査部が3月12日に「米国におけるBEVの動向」というレポートを公表しています。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/pdf/msif_222.pdf

みずほ銀行の産業調査部のレポートですが、気になる記事は私はじっくりと読むようにしていますが、非常に参考になる情報だなといつも感心しています。失礼ながら、その辺の会計事務所系のコンサルあたりが無料セミナーで使う資料なんかより、産業調査部のこの無料レポートの方が10倍以上の利用価値があると私は思っています。

米国は自動生産台数・販売台数がトップクラスですが(順番は忘れましたが、米国・中国・ドイツ・日本が上位かと)、このレポートでは、米国でのBEVの成長鈍化の理由が細かく書いてあり参考になります。資料のP3にあるエグゼクティブサマリーを抜粋します(太字は私が強調のため付けています)。

・世界的な潮流と同じく米国でもBEV販売はここ数年で増加してきており、足下では新車LV販売の8%程度がBEVと なっている。バイデン政権下では政策による支援も大きく、IRAの最大7,500ドル/台の新車EV税額控除をはじめ、電 池サプライチェーンからBEV製造・販売、電池リサイクルまで、幅広い政策支援がなされている。また規制面でも、 2030年のBEV販売比率を60%と想定する非常に強い燃費規制案が提案されている。
・ BEV投入が遅れている日系OEMは、北米現地生産のBEVを今後米国市場へ投入していく計画であるが、一方で 2023年に入る頃から米国のBEV販売にはやや伸びの鈍化がみられ、米系OEMを中心にBEVの生産・投入計画を 後ろ倒し・縮小する動きも多くみられるようになっている。
足下の米国でのBEV販売の伸び鈍化には大きく3つの要因が考えられる。1つ目は、米国の走行距離の長さや充電 テーションの不足などからBEVがメインカーになり切れておらず、2台目としての需要がまだ中心であることである。 2つ目は州ごとのBEV化進展ペースの差が大きく、BEV販売が全国的な広がりとなっていないことである。そして3つ 目が、1つ目・2つ目と関連するが、米国の消費者のBEV購買意欲が強くなく、アーリーアダプターと呼ばれる購買層 にはすでに一定程度行き渡った可能性があることである。
・これらの要因の解消には時間がかかる可能性がある中で、長期的にはBEVシフトが進むも、短中期的にはBEV需要 が弱い状態が続く可能性がある。一方で、厳格な燃費規制への対応もOEMには必要となっており、消費者ニーズ充 足と規制対応などをバランスさせる必要がある。そのために、OEMは将来を見据えたBEV・電池の開発などに加え、 HEV・PHEVラインナップの強化、フリート向けBEV需要の取り込み、TeslaをベンチマークとしたBEVバリューチェーン の強化によるBEVの金銭的メリット創出・利便性向上を図っていく必要がある。

「米国におけるBEVの動向~BEV販売が直面している壁とOEMの短中期的な打ち手~」より

欧州でもEVへの補助金が早期に打ち切られるなど、少し前までは「BEVがガソリン車を一気に駆逐するぞ!」といった風潮でしたが、どうも怪しくなってきたなという感じですね。元々、BEVの成長には「ホンマ?」という懐疑的に意見も多かったとは思いますが。

BEVで内燃機関が不要になるので、多くの自動車部品関連の企業は将来、業績が大打撃という報道が数年前からされてきたこともあり、株価のバリュエーションも低かったのだと思います。低PBRの自動車部品関連銘柄を仕込んでもよいのかも知れませんが、銘柄数もそれなりに多く、そもそも私は自動車部品など門外漢なので、自動車関連銘柄は見送りかなと思ったりしています。