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「社長、株主資本コストはいくらと認識していますか?」 ー 個人投資家・株主は企業に是非質問しましょう!

本日は株主資本コストについて、初歩的なことについて簡単に説明したいと思います。株主資本コストという言葉は、個人投資家の方も新聞やビジネス誌で目にすることも多いと思います。

株主資本コストとは、投資家が当該銘柄に株式投資することで期待するリターンをいいます。誰でも金を儲けるために株式投資をするのですが、投資家が投資するにあたって期待する収益率です。
例えば、1株1000円で株式を市場で買って、1200円で売却できたら200円の儲けで、リターンが20%となります。これを会社側からいうとコストということになります。

そして、株主資本コストの算出にはCAPM(キャップエム)という手法を使うことが多く、リスクフリーレート+ベータ×マーケットリスクプレミアムです。これを説明しだすと結構細かいというか、マニアックですので、個人投資家の方は「こんな数式で算定されるんだ」と覚えておけばよいです。

ただ1つ重要なのは、会社のキャッシュフローの変動が大きい場合には、株主資本コストも大きくなるという点です。ハイリスク、ハイリターンの考えです。つまり、キャシュフローの変動の高い企業に投資するのだから、当たった時はでっかい儲けが欲しいという発想です。

そして、個人投資家にとって大事なのは、投資先企業が自社の株主資本コストをどの程度と認識しているかを知ることです。上場企業は、東証から株主資本コストを踏まえて株価を意識した経営を行えと言われています。株主資本コストについて企業は意識することが必要なのです。そして、株主資本コストと比較するのがROEです。投資家が期待するリターンである株主資本コストをROEは超える必要があります。

是非、投資先企業のIR部門や株主総会の場で質問をすることをお勧めします。機関投資家と対話をすると「ところで御社の経営陣は、株主資本コストをどの程度と認識されていますか?」という質問がよくあります。

従い、個人投資家の方が株主資本コストを企業に質問することはなんらおかしなことではなく、株主として当然聞くべきことです。その上で、ROEが株主資本コストを下回っている場合、「投資家の期待するリタ―ンを生み出していないけど、どうすんの?」「ROEを一刻も早く向上させないとダメだよね、社長さん!」「株主還元を実施して!」ということが投資先企業に対して合理的に言えるわけです。ちなみに、アクティビストも企業に対して、株主資本コストの開示を求める株主提案をよくしています。

一方で企業側の視点に立つと、株主資本コストを下げる努力が必要です。ROE7%とした場合、株主資本コストが8%だと企業は不合格となりますが、株主資本コストが6%だと合格となるわけです。株主資本コストを下げることは大事です。では、どうしたら下げられるのかを次回説明してみたいと思います。