機関投資家が考えるROEの最低基準は?ー「この数値を下回ることは許さん」という基準です

Noteを始めるまでは、はてなブログに記事を掲載していたのですが、今回ははてなブログでも記載しておりました中から、いくつか記事を紹介させて頂きます。
まずはROEです。ROEという言葉は、頻繁に目にするかと思います。私も企業で実務をする上で、また機関投資家と対話をする上で、いつも使う言葉です。ご近所の方と会話をするときにお天気の話を最初にすると思いますが、機関投資家と対話をするときには、最初にROEの話が出るといっても過言ではないです。

さて、このROEですが、株主資本に対してどれだけの利益を企業は上げているかを示すもので、ROE=当期純利益÷株主資本です。企業で実務をししている場合には、ブレークダウンして考えます。ROE=売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

このROEですが、機関投資家が考える最低の基準はどの程度になるかご存じでしょうか?それは、機関投資家の投資先企業の経営トップに対する賛否基準を見れば分かりますが、基本的に5%です。5%がミニマムと考えています。

多くの機関投資家は、ROE5%未満が過去3期連続して、かつ業種内で下位にある場合などの場合、経営トップはじめ3年以上在任の取締役に反対するという基準にしている場合が多いです。議決権行使助言会社であるISSもROE5%未満が過去5期連続等の場合に反対としています。つまり、ROE5%を下回る企業の取締役は経営陣として不適任ということを機関投資家や議決権行使助言会社は言っているわけです。

ここで「あれ、8%ではないの?」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。たしかに、伊藤レポートでは8%を求めていますが、日本企業にとって8%はまだハードルが高いので、機関投資家は今のところ5%という基準を設定しています。

個人投資家や個人株主の方は、機関投資家はROE5%未満が続く企業の経営陣は不適切という理解をしているということをまずはしっかり念頭に置くことが大事です。自分の投資先の企業のファクトブックなどでROEを見て、5%を下回る場合には投資先企業のIR部門に「ROEの低い理由は何であるのか?」「最低限の基準を達成できないことは経営トップの能力に問題あるのではないか?」といった質問をするのは、極めて合理性のある行動と言えます。IR部門の方からすると「この個人の方は良く勉強をされているな」と思うはずです。

5%を下回る場合、低い理由は一過性のものか、企業として今後のROE向上をどう考えているのか等をしっかりと確認して企業と対話をするという姿勢が企業と個人株主双方にとって重要なのだと私は思います。