[書評] 大好きな本 ~川上弘美 書評集~
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・エッセイスト・書評家 として、
自らを定義しています。
毎週 書評を書くようになり、
2か月が過ぎた。
最近は もっともらしく
「書評家」を名乗るようにもなった。
(士業じゃないから、名乗るのは自由だ)
そんな私が、他人様の書評集を
読むに至ったのである。
書評家が 書評を読んで、その書評を書く。
フラクタルな その構図は、
さながら ロマネスコのようでもある。
正直、読むか読むまいか かなり悩んだ。
そして読んだ。
その理由は?その結果は?
書評集を手に取った理由
note で執筆活動をしていく中で、
書評を書こうと思った。
書評を書いていくにつれて、
「いずれ書評集を出したい」と
(あわよくばそれを仕事にしたい、とも)
考えるようになった。
そして、本を出す前に
先走って「書評家」を名乗った。
だが、書評家を名乗ってはみたものの、
どうにも 私の中のモヤモヤが晴れない。
ここまで踏み出しておいて
いうのもなんだが、
「書評とは なんぞや」
「書評とは かくあるべし」
というものが、
私の中で定まっていないのだ。
そこで私は、
実際に世に出ている書評なるものを
読んでみることにしたのである。
書評はおろか小説も 普段は読まないので、
本書の著者である 川上弘美 氏のことも
本を買うまで全く存じ上げなかった。
この本を選んだ理由?
単に「書評」と検索して
出てきた結果から、
なんとなく
「ちゃんとしていそうな」
書評集を選んだに過ぎない。
(書評が何かを正しく
理解できていないから、
「ちゃんとしていない」と
言える由もないのだが)
結果として、良い本を選んだ とは思っている。
やはり分からぬ
本書には小説やエッセイなど144冊分の
書評が収められているのだが、
同じ人物が書いているとは思えないほど
様々なスタイルで記されている。
どれもこれも原書は読んでいないのだが、
その本の内容に触れつつも
氏の感じたこと・イメージするものが
エッセイのようにも書かれている。
「この本は こんなかんじの本だ」
「この本を読むと、こんなことが頭に浮かぶ」
「この本は こんなときに読みたい本だ」
…
自由奔放なエッセイのようでいて、
ちゃんと本の魅力を伝えている。
144本もあるのに、
同じ型に感じるものが ほとんどない。
いや、「全くない」かもしれない。
(記憶に自信がないから濁したが、
たぶん「全くない」でいいと思う)
私は 頭の固い人間だから、
どうしてもテンプレートを求めてしまう。
「こういうスタイルで書けばよい」
という答えが見つかるかと期待していたが、
そういう意味では この書評集は
期待外れだったと言わざるを得ない。
(読み物としては 十分に面白い)
有り体に言うなら
「型に嵌まらない」のが
氏の書評の「型」なのかもしれない。
エッセイでもあり感想文でもあり
私を悩ませる
「書評とは何ぞや」
という疑問は、
とどのつまり「エッセイ」や
「読書感想文」との違いである。
私はエッセイも書いているのだが、
「読んだ本について触れる」
という一点を除くと
私には「エッセイ」と「書評」の違いが
分からないのだ。
また「書評」と「読書感想文」の
違いも分からない。
もちろん「書『評』」であるのだから、
何かしらの評論が必要なのだろう。
だが、本の評論とは何なのだ?
数学や物理の世界と違って、
良いも悪いも 絶対的な正解はない。
あるのは あくまで
「良い『と思う』」
「今ひとつ『と感じた』」
という主観である。
それは数式のように、
万人の答えが一致するものではない。
果たしてこれは「感想」と何が違うのか。
評論と感想の差が分からなければ、
書評と読書感想文の違いも理解できない。
ただ、今回 この本を読んで
私なりの答えは見つけた。
結局のところ、
本の内容について触れていれば
「書評」も「エッセイ」も
「読書感想文」も
明確な線引きはできないのだ。
だから 失礼を承知でいえば、本人が
「これは書評である」と言えば書評だし、
「エッセイです」と言えば
エッセイになるのだろう。
まとめ
この本を買うにあたって、
私は相当に悩んだ。
「この本を読んでしまったら、
今後 自分が書く書評は
この人の影響を強く
受けてしまうのではないだろうか」と。
ある種 博打に出たわけだが、
結果的に その懸念は杞憂に終わった。
私には氏のような書評は書けない。
氏の「(あるかどうかも分からない)型」が
見えなかったから、
どうしたって真似のしようもない。
だから これから私が書く書評は、
氏の書評のパクリにはならないだろう。
ひとまず安心して
書き続けられるというものだ。
芥川賞作家でもある氏に対して
「どの立場で ものを言っているのだ」と
お叱りを受けそうだが、
これが嘘偽りない感想である。
「~感想である」と締めると
感想文のようだが、
これは「書評」である。
書いた本人がそういうのだから、
これは紛れもない「書評」なのだ。
こんな人にオススメ!
・書評というものを読んでみたい人
・読書とエッセイが好きな人
・自分の好きな本の書評を読んでみたい人
(※ 目録を見ないといけないが)
お読みいただき、ありがとうございました。
今日のオススメ(勝手に紹介)
※ 勝手に紹介しているので、
迷惑だったら ご連絡ください。