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[書評] 姉の結婚

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。

書評家として活動するようになって 約5カ月。

駆け出しのころに この作品の書評を書いたが、
今見返してみると 頭が痛い。
およそ書評の体を成していないのだ。

作品に対する愛が大きいがゆえに、
その素晴らしさを
少しでも多く伝えたいがゆえに、
収拾がつかなくなってしまっている。

私が「書評」という言葉を知り、
「書評を書きたい」と思うに至ったきっかけ。

書評を書くことに いくらか慣れてきた今、
改めて この作品の書評を書いてみたいと
思うに至ったのである。


憧れの君

読書が好きで、知的な雰囲気を纏っていて、
思慮深くて、さっぱりとした性格でいて、
メガネが似合うところも素敵で…

きっと傍で見ていたら
恋をしてしまいそうな 憧れの君

本作の主人公「岩谷ヨリ」は
私にとって そんな女性だ。

だが、その反面 物語を読んでいけばいくほど
彼女の内面についても知ることになる。

「面倒くさい女性オンナ

もしも 私の恋が成就したら、
付き合いを深めていくうちに
そう思っていくに違いない。

決して我が強いわけでもない、
相手を気遣えないわけでもない、
仕事もできるし 生活能力だってある。

結婚願望は強いし、
交際の先には結婚があるものと
考えているフシがある。

そんな彼女と、私は
「結婚」をすることができるだろうか。

結婚とは なんぞや

性別を問わず 初恋や憧れの相手と付き合い、
その想いの温度を維持できる者は
いったい 世界にどれだけいるのだろうか。

たとえば それが学生時代の恋ならば、
きっと打算や社会の常識などに縛られない
純粋で透明な想いから交際に至るのだろう。

だが、これが大人になり
「交際」が「結婚」となると
事情は少し変わってくる。

「結婚」とは法律に基づく制度であり、契約だ。
様々な制約や しがらみ に縛られるし、
それは結婚する当事者だけの関係に留まらない。

「結婚は 家同士がするもの」という考えは
今も日本には根強く残っているし、
その「家」が指す範囲も
両親のみから親戚一同まで、
その人の置かれた立場で変わってくる。

そして、そもそも「結婚」に対する捉え方は
個人一人ひとりでも変わってくる。

幸せな家庭で育ってきた人なら
「結婚は良いものだ」
「私もこんな家庭を築きたい」
と思うだろうし、そうでない人なら
「結婚は辛いものなのだ」
「結婚なんかするもんじゃない」
と思うかもしれない。

互いに好意を持って交際している相手が、
「結婚」を望んでいるとは限らない。

また、結婚に対する「社会」の考え方もある。

特に惑うことなく結婚できた人には
「ある程度の年齢になれば 結婚して当たり前」
という観念がある場合も多い。

それはときに(それが無自覚にせよ)
偏見につながることもある。
そして それが社会に占める割合が多ければ、
それは「社会の偏見」となる。

「女はクリスマスケーキと同じ、
 25を過ぎれば売れ残り」
なんて無神経にも言われていた時代など、
まさしく そうだったろう。

もちろん、中にはそう思っていない人もいる。
だが、少なくとも今の日本では まだ
「大人になったら結婚して
 子を産み育てるのが当たり前」
という声が大きいのだ。

そうでなければ、ヨリも私も
結婚することに、結婚していないことに、
こんなに苦しむことはなかったはずだから。

ヨリの妹・留意子るいこも そうだし、
彼女たちを取り巻く同世代や 上の世代も
悪意なしに それらの発言をしている。

ヨリに向けられた それらの言葉は、
当時 まだ独身で交際相手すらいなかった私には
他人事に思えなかった。

ヨリと違って まだ20代だったのと、
モテない代わりに
「不倫」の経験がなかったことは
せめてもの優位ではあったが、
「私は死ぬまでに結婚できるのだろうか」と
漠然とした不安に悩まされていた頃を思い出す。

その後 幸運なことに今の妻と出会ったわけだが、
当時の苦悩があったからこそ
既婚者となった今 読んでも面白い作品なのである。
(片手じゃ足りないくらいには読み返している)

まとめ

「本当はヨリが書評を書いていることが
 私が書評家になるきっかけだった」とか、
印象的なセリフが多いとか、
いろいろ書くつもりだったのだが、
書いているうちに全然違う方向へ
思考と筆が走ってしまった。
(それらは 過去記事 で紹介している)

ヨリは とにかく考える。
そして、考え込むうちに悩んでしまう。

単に 恋 とか 愛 とかいった情動だけではなく
人生経験を積み重ねたからこそ
考え込んでしまうこと、
社会が持つ偏見を通して自分を見られること、
そういったものに悩み苦しむのも
また人生なのだろう。

こんな人にオススメ!

・結婚について悩んでいる人
・かつて結婚について悩んだことのある人
・思慮深い人
・読書が好きな人

こんな人には合わないかも…

・恋愛ものが好きではない人
・うじうじ悩む人を見るのが嫌いな人
・あれこれ考えるのは嫌い、
 本能に従って生きるのが好きな人

お読みいただき、ありがとうございました。

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