まじょのなみだ(6)
母は、自分の周りにはほぼ全員に娘がガンだとカミングアウトしていた。
私は一部の友人や娘の幼稚園の先生ぐらいにしか言ってなかったんだけど(笑)
そのおかげで、街ですれ違う母友によく声を掛けられた。
「大丈夫!魔女の娘だもの。絶対に治るよ!!」
うん。本当に思った。
だって、母はあんなに元気で「ガンだったなんて誤診ちゃう!?」
と言われるほど働き、遊びまわり、孫の面倒をよく見てくれていた。
母本人は
「おまけの人生だから楽しむんだ」
なんて言ってたけど。
だから私は迷いなく
「ガンは治るんだ」
と心底信じて治療を受けられた。
いいイメージがそのまま結果に表れ、手術はごく最小限の切除で済むというほど、術前抗がん剤が効いていた。
そして2011年2月末、私は乳がんの温存手術を受けた。
入院中は両親の家で娘を預かってもらい、幼稚園への送迎や、その頃母が購入した車の納車に連れて行ってもらったりと、娘もばあばとのお泊まりを楽しんでいた様子。
嬉しそうに新車の横で、2人で撮ってもらった記念写真を見せてくれた。
娘が「抱っこ、抱っこ~!」とばぁばに甘えまくるので
「ばぁば抱っこし過ぎて腰痛いわ~!」
と嬉しそうに言っていた。
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