L字型のカウンター。
今朝4時頃。
外から聞こえる女性の笑い声で
目が覚めてしまった。
「またか、、彼女の笑い声。。」
となりのbarレストランの同い年のママ。
かつての私の友人。
常連さんからたくさんご馳走になって
酔いながらのお見送りなんだろう。
「あなたは、本当に、変わらないね。。」
喉が乾いていたので、お水を飲んで、
カウンターに飾ったオリエンタルリリーの
甘い香りを吸い込んで、
思い出したことがある。
そこで知り合った彼。
エリート君で、一回りくらい年下で。
セフレ以上恋人未満が4年。
行きつけのお店もほぼ同じで、
よく一緒にお酒を飲んだなぁ、と。
彼はクレバーなタイプなので、
最初から私なんかを自分の彼女にしようなんて1ミリも思ってなかった。
でも、私は彼に心底惚れてしまったんだ。
惚れたもん負けの典型的な関係性。
でも女ってどうしても僅かな期待を
もってしまう悲しい生き物なんだなあ。
今から考えると。
彼からの連絡が突然途絶え、
さすがの私も気持ちがだんだん覚めてきた。
その4年の間、たくさん傷ついたことがあったんだけど、結局自らそういう状況にしてしまったんだなって、後から気付く。
彼と離れて1年程たった時、
仕事の帰りにふらっとbarへ。
「いらっしゃい」
と言った友人の顔が若干ひきつっている。
奥のカウンターに
結婚の報告をしに来ていた
彼が座っていた。
その横にはふんわりとした
あどけなさの残る笑顔の、
彼のフィアンセが鎮座していた。
私を見た彼はうろたえを隠しきれない表情になり、フィアンセさんはただならぬ空気感を察知しないわけはない。
かつての私たちの関係性を知っている
マスターと友人は、L字型のカウンターの
Lの短いほうに座っている彼らと
長いほうに座っている私との間に
壁を作るように立ち、
Lの短いほうでは
お祝いのシャンパンがあけられた。
ポン!!
カジュアルな雰囲気がウリのそのbarは、
そういう時はカウンターの人達にも
シャンパンを振る舞うんだけど、
長いほうに座っている私には
グラスは回っては来なかった。
うろたえた表情で、
必死でこちらを向かないように
一生懸命頑張っている彼を見て、
なんて残念な人。
という言葉しか思い付かないわたし。
フィアンセさんはチラチラこちらを見てる。
変な盛り上がりのL字型の短いほう。
タイミングが悪いのは、
わたしじゃなくて
あなたよ。
エリート君。
次の日、友人からLINEが。
彼のFacebookのスクショ。
婚姻届を2人でにこやかに持った写真。
送ってきた友人の真意はわからない。
その、写真の彼はもう別人に見えた。
L字型のカウンターでの出来事は
今となっては、わたしの鉄板の
酒の肴になってしまった。
そんなことを思い出した午前4時。
ふわっと薫るオリエンタルリリーが
とってもキレイ。
そして、また眠った。
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