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読書日記『吉野朝残党伝』(天野純希)

室町幕府6代将軍義教の時代。馬借の下人であった少年・多聞は南朝再興を目指す勢力に加わることに…。
という感じで始まる歴史小説。
メインは南朝勢力・近畿の情勢ですが、鎌倉府も出てくるようなので読んでみた。

はい、面白かったです。

正直なところ、鎌倉府好きとしては足利持氏をもう少しじっくり描いてほしかったなと思うんだけど、メインは東国じゃないからしょうがないか。

戦乱がもたらす悲惨さや、そこに生きる人々の思惑を描きつつ、肉親からもたらされた呪縛から逃れようとする生きざまは、どこか現代の私たちにも通じるものがあるような。
ストーリー展開も面白くて、最終章、うわあ、あの人物がこうなっちゃったか~…
久しぶりに歴史小説の面白さを味わいました。
ラストも爽快感があって良かった!!

ところで。
女性の描かれ方が気に入らず本やドラマを途中でやめてしまったことがある私ですが、この本はそんなことが無くてよかった~。
以下のセリフなんか、かなり痛快。
「女が怖いから、力でねじ伏せる。怖いから、人として扱わない。そういう男に限ってなぜか、母親だけは神か仏みたいに崇めてたりする」


それにしても、どなたか鎌倉府メインで書いてくれないものか。
足利持氏と上杉憲実の関係性とか、掘り下げるとなかなか読み応えのある歴史小説になるんでないの……。

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