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お嬢様

大吾にとって娘は、最初の子供ということもあるし、涙を流して誕生を喜んだだけあって、目の中に入れても痛くない存在だった。(はずだ)

小さい頃から、上から下までおいくら万円の洋服を着て、バレエにピアノ諸々、国内、海外旅行どこのお嬢様と思えるような生活をしていた。

そんな娘が、中高一貫校の受験をしたいと言ってきた。学校の成績も心配する事もない程度の学力ではあったけれど、次男くんほどは、競争心もなくて、目に見えて勉強ができるといった感じではなかった。

でも、目標が市内No.1.2を争う共学の中高一貫校、大丈夫かなと思いつつ、受験勉強が始まった。娘の通っている塾は、日能研、結構大手進学塾だったが、授業が楽しいと言って、楽しく通っていた。成績が思うように伸びなかったこともあり、仕方なく集団とは別に、個別授業を受けていたので、年間100万円程塾代がかかっていた。

小学生でも、夜の22時頃まで週3回程授業がある。次の日の小学校の宿題をする時間と、8時間の睡眠をキープする為に、1時間以内にお風呂、ご飯、宿題をする為にタイムスケジュールの中で、娘の健康も守った。

受験期間が始まって最初に受けたのが、お嬢様女子こうの中高一貫校、結果は特別選抜クラス合格、気は良くしたものの、女子校の選択肢がなかったので、とりあえずキープし、次に3番目に人気の一貫校に受験した。そこも見事合格。

でも、その後の本命校に落ちてしまったので、前述の2校から決めることになった。

お嬢様女子校はないかなと思っていたら、娘が選択したのは、女子校だった。特別選抜クラスで頑張りたいという思いで入学をした。
女子校の中ではトップの学校だったので、特別選抜クラスのトップの方は、無償で通えるという事で、県内トップクラスの進学校を蹴って通う子もいた。

何より入学式で感じたのは、お嬢様の多い事。どこかの社長だったり、医師、弁護士、しかも一人っ子が多い。その中で娘は6年間過ごした。

特別選抜クラスは、毎年成績順でクラスに残留できるかが決まる為、残れるように頑張ってくれた事、大学の推薦枠が多く選択肢があった事、何より目立とう精神の娘は、引っ込み思案の一人っ子を差し置いて、演奏会の指揮者だったり、チアダンスのリーダーをしたり、キラキラ女子もできた。

共学ではなくて、学園ドラマみたいな恋愛は経験できなかったけれど、お互いを高め合う友達と出会えた事は、かけがえない経験と、真のお嬢様ではない娘がその環境に通い卒業できた事は、よかったと思う。

大吾のお店がうまくいっていれば、もっと真のお嬢様風に君臨出来たんじゃなかろうかと思う気持ちもあるが、環境が良かったせいか、一見さんには、えせお嬢様で通じる位のオーラを身につけた。

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