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taba6
ラブストーリー
わかっている。
君の視界に僕が入っていないことくらい。
君が好きになるのはいつだって、天然人たらしで喰えないタイプの霧みたいな人で、そして、ちょっとSっ気のあるような、そういう僕とは正反対の人。
痛いほど、わかってる。
あいつのこと好きでしょ。
そう指摘すると、なんでわかったのと目を見開いて驚く君。
わかるに決まってるだろ。
僕がどれだけ君のことを見ていると思っているんだ。
そう言いたいのをぐっと堪えて答える。
「君のラブストーリーの登場人物はいつもそんな男だよ」
わかってる。
君のラブストーリーに僕の居場所はないんだって。招かれたのは、どうやら別の人らしいから。
僕はこうして君と招待状を作ってる。
初めから、君は作者で僕は校閲。
君の物語が綺麗に進むように、僕はそっと赤を入れて訂正する。
いつもありがとうねって笑う君。
当たり前だろ、だって好きなんだから。
幸せになってほしいに決まってる。
勝ち目のない恋に冷めるほど、浅い「好き」じゃないんだよ。
君のラブストーリーに招かれたのは僕じゃなくて、天然人たらしで喰えないタイプの霧みたいな人で、そしてちょっとSっ気のある、僕とは正反対の人。
「君のラブストーリーの登場人物はいつもそんな男だよ」
これが糸だったらいいのにと思いながら、今日も赤いサインペンを手放せない。
(共同著者 https://note.com/pman_kirin)
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