会話

昨日、タクシーに乗った。
乗るなり運転手さんから「お子さん産まれるんですか?」と。
(もう臨月なので、一目で分かるようなお腹をしている。)

60〜70代とお見受けする、小柄で人当たりの良さそうな運転手さん。
約15分くらいの乗車の間、妊娠出産の大変さや、ご自身のお父さんのお話をしてくれた。
私はこういう、その場限りの会話とかはそんなに嫌いじゃないので、「よく喋る運転手さんだったなー、楽しかったな」と、それなりにほっこりとした時間を過ごした。

けどそれと同時に、ほんのちょっとだけ
「タクシーの中では本を読む予定だったのになぁ」
って思った。
タクシーでの時間にほっこりさを感じている事は事実であるものの、心のどこかで時間を無駄にしたなぁというような感覚もあったのだ。
自分心が汚いな、と思いつつも、これって割とタクシーあるあるなのでは?とも思った。
車内で作業をしようと思っていたのに、運転手さんに話しかけられてしまってできなかった。みたいな。
勿論皆んなが皆んなではないけど、タクシー運転手=お喋りみたいなイメージは一定ある気がする。

そんなひとときを経て思ったんだが、タクシーの運転手さんって、すごいコミュニケーション能力の持ち主なのでは。
私だったら、この人話しかけてもいい人かなぁ。一人の時間の邪魔しちゃわないかなぁ。
なんて思って多分話しかけられないなと思う。
それなのに、今日の運転手さんは私が車に乗ったと同時に話しかけてきた。
・話しかけても大丈夫な人を見極める能力がある
・ただシンプルに、お喋り好き
考えられるのってこんな感じ?

いずれにせよ、私はその運転手さんが羨ましい。
表面上の世間話でこそあれ、会ったばかりの他人の心の中に物凄い速さでスッと入り込む力。
シンプルに、会話の引き出し。
私はなかなか自分からガシガシ発信していくことが出来ていないし、なにより会話において「失敗」を恐れている節がある。
「今話して大丈夫かな」「私の話なんてしてもつまらないんじゃないかな」「どうせうまく話せない」「ていうかそもそも話すような事ない」「聞き手の方がラク」
なんて考えて、これまでどれ程のコミュニケーションの機会を棒に振ってきたか。

私のコミュニケーションって、主に相槌なんだよね。
自分のことは喋らないし、かといって気の利いた質問とかで会話を膨らませていくスキルも特にない。
卒業とか離職時の寄せ書きなんかを見ると大抵、「いつも話聞いてくれてありがとう」なんて書かれてきて、
恥ずかしい話本当につい最近まで私は聞き上手だとか勘違いをしていた。
ただ聞き流しているだけなんだよね。
で、話し手の会話内容をその場限りのエンタメとして受け取り、私がそれに対して何かを返すわけでもない。
とんでもないお客様的なコミュニケーションを取ってきたものだと思う。

できればエッジの効いた返しや質問ができる大人になりたい。
けどそこに至るまでに、とにかく私は自分から発信する機会を増やすことから始めないといけないのではと思っている今日この頃。
タクシー運転手さんとの時間で、改めてそれを感じた。
勿論最低限の空気は読まなきゃだが、思い切って会話に飛び込んでいける人になりたい。

おわり

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