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【読書記録】竹内真『図書室のキリギリス』【本で繋がる思い】

「学校司書の面接、受けてみない?」
友人で音楽教師のつぐみから、そんな電話をもらった詩織。
無資格未経験でもできるという話から、職を探していたこともあり、とりあえず面接を受けてみることに。
とんとん拍子で採用され、高校の図書室で司書として働くことになる。
詩織と生徒たちが「本」という媒体を通して、繋がりができていく。



学校の図書室が好きでした。
ただ、高校生あたりからあまり利用しなくなり、この本を読んでもっと利用すれば良かった…と少し羨ましくなりました。
公共の図書館とはやっぱり空気感が違うように思います。
あと、図書委員もしたくなりました。
本は昔から好きなのに、図書委員の経験はなかったように思います。

何の仕事でもそうだと思いますが、「やりたい」と熱を入れて取り組むというのは難しいです。
「ここにこだわりたい」「こうしたらもっと良くなる」
そんな思いが強すぎると、ほかとのバランスが崩れてしまいます。
本書の詩織も、司書としてのやりがいを感じてくると、「もっとこうしたい」と思っても様々な壁があることに気づきます。
やりたいこと以外にもやることはたくさんあるし、時間も限られています。
そこにどう折り合いをつけるか、どうしたらやりたいことを実現できるのか、難しいな、と思います。

本書では司書の仕事内容、本にまつわるお話(ブックトーク、ブックテーブル等)、実際の作品にまつわるお話がたくさん載っています。
高校生に戻って図書委員に立候補して、詩織の手伝いができたら…と読みながらワクワクしていました。(実際には詩織と同世代…)

本に興味がない子も図書室を使っていいし、本に興味がない人も図書館を使っていいのです。
電子書籍で本は読めるし、町の本屋さんはなくなるし、ネットで本を注文もできるし…。
紙媒体の本の存在自体が揺らいでいる現在ですが、私は紙の本が好きです。
図書館も本屋さんも好きです。
色んな人に図書館や本屋さんを利用してもらって、存在が消えてなくならないような未来であって欲しいと強く願います。

 本を読むだけじゃなく、調べ物をするだけじゃない。居場所を探す子もいれば、詞想を練る子もいる。

「司書室のキリギリス」より。


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