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読書録「ぼくは恐竜探検家!」

小林快次「ぼくは恐竜探検家!」(講談社)

図書館の新刊コーナに置いてあった中学生向けの図書。
“ファルコンズ・アイ”=「ハヤブサの目を持つ男」と称され、日本一の恐竜化石といわれる「むかわ竜」を発掘した恐竜学者の小林快次教授は、僕の母校の総合博物館で研究に携わっており、学内でもたびたび話題になっていた。

華やかな経歴の陰には知られれざる挫折経験があったことに本書を読んで初めて知った。

アメリカの大学院に留学した際、こんなエピソードがある。

自分は研究職に向いていない。知識を暗記してテストで答えることはできても、みずから新たな発想や着眼点をもってなにかを生みだす才能はないことを、心の底から思い知らされた。
どれだけがんばっても出口の見えない、暗黒の日々。やがて、自分の心が折れていくのを感じた。
「もう大学院をやめて日本へ帰ろう―。」
そう、何度も思った。
(中略)
ある日、深夜まで研究室にのこって作業していると、部屋に二人だけのこったジェイソンが、苦しそうなぼくを見かねて、こんな言葉をかけてくれた。
「おまえに足りないのは自信だよ。」
(中略)
たしかにこの時期、自信を完全にうしなっていたのは事実だ。しかし、いまぶつかっている壁は、精神論で乗り越えられるものではないと思っていた。
それでも、心のかたすみにずっと、ジェイソンのこの言葉がひっかかり続けていた。
そして、相変わらず教授からはだめ出しされるばかりのなかで、ふと気づかされたのだ。

人は自信をうしなうと、どうなるか?

研究発表の場でいえば、内容に自信のない人ほど、それをごまかそうと口数が増える傾向がある。伝えるべき情報や意見に自信がないから、あれやこれやと修飾語をつけくわえ、どうにか派手に見せようとしてしまうわけだ。
ジェイソンの言葉から、ぼくは自分自身の研究発表がまさにその状態におちいっていることを気づかされた。さまざまな情報を盛り込みすぎているから、内容が散漫になってしまっているのだ。
(p67~70)

輝かしい研究者のイメージしかなかったので、意外だった。
悩みながらも自分を信じて進んだ結果、ブレイクスルーが生まれる。

ふと大橋卓弥(スキマスイッチ)の「はじまりの歌」の一節を思い出した。

不安とは想像が生み出した罠だ
足をとられぬように自分を信じて
新しい五線譜に並べた
想いを託したメロディー
向き合うのは評価ではなく
言い訳ばかりの弱虫
うまくいかなくって悔しくて
涙がこぼれ落ちたら
また一つ前に進めたっていう証
oh yeah!

落ち込んだ時、元気になれる一曲なので、こちらも視聴して頂ければ幸いである。

研究者に限らず未知の世界に足を踏み入れなければ見つからないものはあるから、一日一歩で良いからトライしてみようと思った。

今日も皆様にとって、よい一日でありますように。

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