嫌なことがあった日はデパートへ行こう⑤最終回
前回のおさらい。
駐車料金のサービスを受けるために、ふらっと立ち寄ったフレグランス専門店で、きゃりーぱみゅぱみゅ風の美人店員に出会った。しかも、白ギャル風の見た目とは裏腹に丁寧な接客対応で僕のハートは一瞬で盗まれた。
香りのサンプルとして、きゃりー(仮名)のおススメのハンドクリームを手渡される。その瞬間、指先が僕の指先に触れる。
竹内に電流が走る__!
ざわ・・・ざわ・・・
きゃりーから受け取った脱脂綿から爽やかなシトラスの香りが立ち込める。
目の前のきゃりーをそっと抱きすくめたくなったが、わずかながら残された理性がそれを押しとどめる。
でも、いい女だよ、マジで。
結局、きゃりーが勧めてくれた新作のハンドクリームを購入した。
僕が何を言わなくても、最初に伝えたプレゼント用との言葉を覚えてくれ、きゃりーは素敵な紙袋に包装した。さらにサービスだからと赤いリボンもつけてくれた。
店を後にするのが惜しかったものの、行かないと。
きゃりーに
今度は自分の普段使いのフレグランスを買いに来ますね~。
と伝えると弾けるような笑顔で
ありがとうございます。
お待ちしていますね。
と答えてくれた。
軽く手をあげて店を後にする。
あれ、前にこんなことがあったような…。
まぁいいや、ところでベトナム人のあの娘は元気かな?
そんなことを考えながら提携駐車場に向かう。
突然、ある考えがひらめく。
もしかしたら、健康保険の番号が違っていたのは僕が財布を無くして健康保険証を再発行した際に新しい保険証番号ができたけれど古い番号のまま僕の上司が手続きをしたからではないのか。
たしかに元上司のミスではあるが、そもそもの原因は僕にあるのではないか。
だって僕が退職してから早い段階で源泉徴収票を含む諸々の書類を弁護士に送付していたのだから悪意があるはずがないじゃないか。
そのことに気付いた瞬間、春風がさっと吹き込むように朗らかな気持ちになった。
もし、いつかどこかで元上司に再会する機会があったら感謝の言葉を伝えよう。
今日も皆様にとって、良い一日でありますように。
完
①~⑤にわたる買い物エッセイをご愛読頂きありがとうございました。
「闘牌伝アカギ」、「雀魔アカギ」にも出演された寺田農さんのご冥福をお祈り申し上げます。
分からない人は3分間だけ黙とうしてください。
宜しくお願い致します。
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