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光川てる/ミツカワテル
2023年8月1日 09:42
妖精の世界では、月の光が一段と強い特別な夜があって、青く光る大きな花に「幸せの光」が注ぐらしい。その光を浴びれば、身体の力がみるみるうちに回復するし、心には優しくて甘い感覚が湧いてくるらしい。妖精のミリーちゃんは最近少しお疲れ気味。羽が軽やかに動きにくいし あまり良い事もないなぁと思う。久し振りに光を浴びに来た。とても眩しい。すぐに身体が軽くなってきて、それだけでなく心も柔らかく
2023年8月1日 09:45
傷を癒しながら2人は話をした。主にミリーちゃんが質問して 龍が答える形だったが。「そういえば龍さんは何て言う名前なの?」「我が名はコウヒ」「コウヒ?」「暁(あかつき)を飛ぶと書いて暁飛。」「暁?」「夜明けの赤い色だ。」「夜明け。」「体は黒いのだがな。」暁飛は自嘲気味に笑った。本来龍は 金の瞳に腹はミルク色、その他は艶のある深い緑色だ。 暁飛は 背も腹も
2023年9月3日 08:14
暁飛 黒龍 暁飛(こうひ)が大雨による土砂崩れで 民を守り、怪我をおってから7日が過ぎた。『幸せの光』で傷は癒え、まだ大雨の影響が残る土地土地を見て回っていた。民達は、力強く荒れた田畑や家を直している。暁飛が身を呈して流れを変えた土砂は 今もそのままだが、民の生活は戻りつつあった。7日前、暁飛は風変わりな妖精と会った。普通の龍は深緑色をしているが、暁飛は全身真黒の黒龍。他の
2023年11月19日 20:16
2人の気持ち 次の朝、ミリーは夜明け前に目が覚めた。一晩考えた。暁飛(こうひ)への気持ち。私は暁飛が好きなんだ。アウルやゆみん達を好きなのとは違う。私は暁飛を愛してる。種が違っても 大きさが違っても 私は暁飛といたい。心は決まった。朝露が降りていると、羽が湿って上手く飛べない。もう少し明るくなるのを待って谷へ行こう。気持ちを伝えて、暁飛がなんと言うか分からない。でも大丈
2023年11月28日 22:41
※15話と16話は少し長めのお話しになります。宜しくお付き合い下さい。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ その小さな生き物は ビクッとして花びらを1枚引き寄せ隠れてしまった。その姿も愛らしい。「驚かせて悪かったね。言葉は分かるかい?」 小さな生き物は隠れたまま、顔半分、片目だけ花びらから少し出し こちらを見ている。「この花壇からは出ない方がいいよ。もう少し大きくなる
2023年12月3日 19:50
朝早く 暁飛(こうひ)とミリーは清涼の谷を飛び立った。ミリーも暁飛に乗って飛べば、朝露があっても大丈夫だ。ミリーが生まれた花壇はミリー1人で飛ぶと、10日間ぐらいかかる場所にある。暁飛なら、半日程で行けそうだ。「我でもこの辺りはほとんど来た事がない。」暁飛が飛びながら言った。「そうなのね。もう少し先だと思うんだけど・・・あの丘の、向こうぐらいかしら。」暁飛とミリーが小高い丘
2023年12月8日 21:05
風になってミリーと暁飛(こうひ)が番(つがい)になってから、500年程の月日が経った。人間の生活もずいぶん変わった。地面には車が走り、鉄道が敷かれ、空には飛行機が飛ぶようになったが、清涼の谷は変わらずそこにあった。暁飛が寝床で丸くなっている。その手の中に横たわるミリー。「逝くな、まだ逝かないでくれ。」大きさの違いゆえに、抱き締めることも出来ない。暁飛の、手の中で弱く微笑む
2023年12月10日 10:45
お礼 お陰さまで、最後まで書き切ることが出来ました。これも、ひとえに皆様の温かいスキやコメントのおかげです。 そして、KeigoM さんの寛大なお心に、本当に感謝致します。KeigoMさんのお描きになる絵の、「妖精の国」シリーズのみならず、日々投稿されている絵でイメージが合うものがあると、『昨日のあの絵、使わせてください!』と図々しくお願いしていました。すると、KeigoMさん、『いい