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いま、小劇場演劇は何をみれば面白いか(その1)文字起こし版です

【オープニングアナウンス】TFC LAB PRESENTS!




【オープニングアナウンス】TFC LAB PRESENTS!

【山下】みんなで語る、小劇場演劇!
TFC LAB PRESENTS!Podcast BRAIN DRAIN。
小劇場のお話ですが、前回に引き続き今回はこれです。「いま小劇場演劇は、何を見れば面白いか」ということで、次のパワーポイントに行きます。
これ見るとたぶん外れがないですね。当たり外れが演劇のチケットはすごく高いので、できるだけ外れないものを見たいということなんですけど、谷さんはこれどうですか? この外れがないものっていうリストがありますけど。

【谷】ほぼ行っています。

【山下】すごいな本当に。この熱量が、私は、そこまで熱量がございませんが、上から見ていくと三谷幸喜の作品。最近何かご覧になりました?

【谷】最近はこの間のPARCO劇場のこけら落とし公演でやった「大地」というやつですね。

【山下】「大地」ね。

【谷】この間もお話したかな?

【山下】そうですね。この話しましたね。「大地」はオンライン配信もたまたまやっていたので私は谷さんより安く見たんですけど、やっぱりお客さんがいてやっているとオンラインでも面白かったです。

【谷】そうですね。それは違うと思います。

【山下】それは良かったですね。俳優さんもみんな面白いですよね。

【谷】キャスティングが素晴らしく良かったですね。

【山下】谷さんはどのキャストが好きでしたか?

【谷】やっぱり異常性から言って山本耕史。

【山下】山本耕史。あの動きは山本耕史しかできないかもしれない。

【谷】あとは竜星涼って若手のちょっとおやま的な演じ方をしている。あの人はすごくある意味色気があって良かったですね。

【山下】そうですね。チャーミングでしたね。
僕は浅野和之さんが良かったですね。毎回面白いけど、三谷さんのやつは特に。

【谷】今度三谷さんは12月に世田谷のパブリックシアターであとで出てくるSIS companyのNeil Simonの「23階の笑い」というものがありまして、瀬戸康史さんと松岡茉優ちゃん。

【山下】めちゃめちゃビックな二人ですね。

【谷】あとはいつもの三谷組の人たちが出るようです。これは偶然取れました。

【山下】おめでとうございます。瀬戸君も人気だし、
松岡茉優って舞台って珍しくないですか?

【谷】いや、前もやりましたよ。三谷さんで。

【山下】そうなんですか。

【谷】1回声が出なくなっちゃって。なんと三谷さんが代役で着物着て小娘になって。

【山下】それ、三谷さんのコラムで読みました。

【谷】さすがにセリフは入っていないので、台本持ってやったそうです。

【山下】素晴らしいですね。さすが作・演出ならでは、の。松岡茉優、俳優としてとても良いですよね。

【谷】うまいですよね。あの人はね。

【山下】本当にね。松岡茉優と先日亡くなった男性のタレントのドラマがこの前あったんですけど。

【谷】「金の切れ目が縁の切れ目」

【山下】そうそう。

【谷】まだ見てないんですよ。4話。

【山下】すごく良いですよあれ。途中で終わっちゃうんだけど。

【谷】4話完結。

【山下】そうなんですよね。

【谷】むりやり完結というか。

【山下】本当にね。でも亡くなった方のドラマをああやってちゃんと流すっていうのは今だとね、昔はそういうのできなかったですよね。

【谷】タブーっぽい感じがします。今月号のGALACでもそれ取り上げていましたよ。

【山下】そうですか。だからそれはやっぱり価値があることなんじゃないかな。

【谷】うまい終わり方をしたって書いてありましたね。

【山下】なるほどね。竹内結子さんもあれだけど、映画で亡くなった男性の方と共演している「コンフィデンスマン」。

【谷】誰でしたっけ? 三浦春馬。

【山下】三浦春馬さんがやっていて、亡くなってもちゃんとこうやって、作品は別ですからね。

【谷】彼は本当に良い役者で、「キンキーブーツ」とかも出てましたから。もったいないですよね。

【山下】本当にもったいないですよね。

【谷】歌もうまいし。

【山下】そうなんですか。

【谷】すごく歌うまいんですよ。

【山下】もったいないですね。本当に。なんか休んだらいいなと思うんですけどね。この前ミムラさんが20代前半にこのままだとやってられないと思って1回2年くらい休んだらしいんですね。やっぱりやめると女優の仕事って天から与えられたすごく貴重なものなんじゃないかということで、焚火の番組で言ってまして、なるほどなと思って。

【谷】ミムラさん?

【山下】ミムラさん。今ミムラさん名前を変えて、三村なんとか子。

【谷】下の名前が付いたと。

【山下】そうなんですよ。
(※現在は、美村里江さん名です)

【谷】最近みんな本名に戻していますよね。太賀も仲野太賀になっていますし。僕も知らなかったんだけど、お父さんが中野英雄だという。この間初めて知ったんですけど、字は違うんですけど。

【山下】そうなんですね。ミムラさんはカタカナだと、大河ドラマとかだと違和感があるっていうふうに書かれていましたね。

【谷】ユースケ・サンタマリアって違和感ありますよね。今シーズンは。

【山下】そうですね。

【山下】2つ目に行きますけど、次はPARCOプロデュースの公演ということですが。
PARCOプロデュースは谷さんはどうですか? 新しくなった「PARCO劇場」僕は、まだ行ってないんですけど。

【谷】これもこの間言ったかな。本当にどこの場所から見てもすごく見やすい劇場で、どのくらいだろうな、1.5倍くらいになったのかな。すごく見やすい劇場。

【山下】PARCOプロデュースの公演は本当に面白いのが多いですよね。予算に限りがある人はなかなか行けないかもしれませんけど、ぜひ足を運んでみてください。
続いて「大人計画」ですが、チケットが全然取れないんですけど谷さんはいかがですか?

【谷】この間「フリムンシスターズ」という、これはシアターコクーンのやつですけれども、見に行ってきました。

【山下】コクーンは今、松尾スズキさんが芸術監督ですものね。

【谷】松尾さんが3代目の芸術監督。

【山下】そうか。3代目なのか。串田さんが最初で2代目が蜷川さんですよね。

【谷】間が空いていて。そして。

【山下】で、松尾さんですよね。蜷川さんお亡くなりになられたので。

【谷】長澤まさみさんが主演で出ていまして。

【山下】そうか。松尾さん、長澤さんと何回かやられていますよね。どうですか?

【谷】結構汚れ役でね。

【山下】汚れ役。どんな役なのですか?

【谷】31歳のコンビニの店員なんですけど、沖縄から船で逃げてきてそこにいるんですけど、コンビニの2階に住んでいて店長の不倫相手だとかいう話で。

【山下】そうなんですか。

【谷】沖縄の言葉なのかな? フリムンて。
(※フリムンとは沖縄方言で所謂「バカ」のこと)

【山下】沖縄から出てきた人だから。なんで船なのですか? 飛行機じゃない。

【谷】拳銃持っていたから、飛行機だと引っかかるっていう話だった。

【山下】結構ダークな話だったんですね。

【谷】結構殺しが多いので、うちの妻は嫌がってましたけど。すぐ人が死ぬって言っていました。だけど6時半開演で終演が10時でしたので、さすがに辛いですね。休憩時間20分ですけど、久々に結構辛かったですね。

【山下】すごく長いですね。休憩入れて3時間40分?

【谷】でも内容はやっぱり面白いけど、松尾さん独特のブラックユーモアとちょっと差別的な表現とか、あれは嫌いな人はちょっと嫌悪感をもってしまうんじゃないかな。

【山下】でも、大人計画は毒が大人計画らしさなので。その毒を少し抜いたのが松尾さんのところにも書いてある宮藤官九郎さんのですね。

【谷】クドカンさんは、この間僕はまたこれも行ってきました。

【山下】PARCOでしたよね?

【谷】同じPARCOの「大地」の次なのかな?

【山下】獣道。獣道の「じゅう」が獣なんですよね。「獣道一直線」。

【谷】これまで印獣、鈍獣、なんとかじゅう(※万獣こわい))って三つやっていて、ねずみの三銃士っていうもので、生瀬さんと池田成志さんと古田新太さん。この3人が必ず主人公でやるということでハチャメチャでした。

【山下】なるほど。

【谷】僕これ一番最前列の下手で見たので、ちょっと見切れ席だったので首が痛くなっちゃって残念でしたけど、客演の池谷のぶえさんがものすごく良かったです。

【山下】本当ですか。

【谷】本当に彼女の魅力をふんだんに出してくれたっていう。

【山下】結構動きが素早いですよね。池谷さん!

【谷】Eroticismも出して。

【山下】池谷さんのEroticismなかなか新しいと思います。

【谷】結構すごかったです。

【山下】なるほど。あと「大人計画」といえば今有名な星野源さん。この前コロナのときに音楽を作ったりしていますけど。「おげんさん」とかご覧になってます?

【谷】「おげんさん」はたまに見ますけど、あんまりよくは見てないですね。

【山下】そうなんですね。いろんなことをやっていて本当に多彩な人だなと思って。コロナでまた「逃げ恥」が人気になって、みんな見てたみたいですけどね。

次に行きますと「ナイロン100℃」。これ谷さん今年ご覧になったんですね。ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが作ったやつを。

【谷】はい。でも、ナイロン公演ではないんですよね。これもこの間言った「ベイジルタウンの女神」という作品ですね。奥さんである緒川たまきさんが主人公でやった作品で、「ケムリ研究室」というユニットで来年は「砂の女」。

【山下】安部公房?

【谷】安部公房。

【山下】安部公房やるんですか?

【谷】来年の夏にやるって言っていましたね。
だからケラさんはたぶん来年はそれと
ハチャメチャな「ナイロン100℃」のハチャメチャバージョンの2本。
本当は今年いっぱいやる予定だった。(※2020年に収録しています)

【山下】コロナでもったいないですよね。それを来年やればいいんだけど、もう劇場が埋まっちゃっててキャストが組めなかったりとか、難しいですよね。本当に一期一会ですよね、舞台は。ケラさんが作った映画で「1980」っていうのがあって、これ東北新社が、あれなんですか?

【谷】東北新社が東京テアトルさんとの座組でやったのかな?

【山下】東京都?

【谷】東京テアトル。

【山下】テアトル。映画館の。うちは出資をしたんですか? 制作はしてないんですか?

【谷】制作は入ってなかったかな。ちょっと今覚えてないですね。中身も見てないんです。

【山下】僕、映画見ました。まさに80年代の映画でした。KERAさんも本当に毎回面白いですよね。僕はKEARAさんの舞台を初めて見たのが1995年ですかね? 最初に見たのが「フローズン・ビーチ」というもので、谷さんもご覧になったんですよね?

【谷】はい。再演ですね。僕が見たのは再演です。

【山下】あれも本当に面白いですよね。この話前回したような気がだんだんしてきたんですけど。

【谷】しました。

【山下】ということで軽く飛ばしていきますけど、劇団☆新感線。
ヴィレッジというところが製作してますけど、谷さん最近ご覧になってます?

【谷】最近なんだろう。ちょっと忘れちゃったな。

【山下】ACTシアターとかですかね?

【谷】ACTシアターで見たかな。去年かな。松本に行って「偽義経」(※「偽義経冥界歌」)っていうのは見たんですけど。

【山下】まつもと市民芸術館。あそこも良い劇場ですよね。

【谷】たしか最初、地方からスタートしたんですよ。松本、金沢、大阪でやっていたので、松本に行きました。前も木ノ下歌舞伎で山下さんと一緒に松本に行って楽しかったので、今度は妻を連れて行ってきたということですよね。生田斗真主演でした。

【山下】生田斗真が出てるんだ。すごいな。

【谷】なかなか良い話でした。今度2月の末から4月くらいまでの公演は古田新太でやるというのが、11日昨日ですけど発表されましたね。

【山下】劇団☆新感線もずっと人気ですよね。

【谷】そうですよね。キャパも多いし、公演数も多いので。

【山下】でも、すぐいっぱいになっちゃうんですよね。すごい人気ですよね。

【谷】そうなんです。取れないんですよね。だから土日外しで、平日といっても結構上演時間が長いので早くに始まるんですよね。6時とか。
場合によっては5時半とか。だから前にやったIHIのスタジオなんかのときは場所的にもやっぱり不便だったので、結構早めに出ないと間に合わないとか。あれ1回入れないと中入れないですからね。

【山下】そうか、鍵されちゃうからね。あれ途中で入るお客さん大変ですよね本当に。
(※IHIの劇場は観客席が回転するという方式の劇場)

【谷】タイミングあるんでしょうけどね。

【山下】それ聞いてみたいな。またなんかわかったら教えてください。

【谷】でもあるんだとおもいますよ。よくあるじゃないですか。最初暗い場面ばっかりやる芝居って、演出の都合上絶対入れたくないっていうのありますよね。

【山下】みんなそうですよね。暗転終わってしばらくたってからここで入れるっていうタイミングを決めてますよね。

【谷】20分入れませんとかありますからね。小林賢太郎さんなんかそのパターンでいつもやってますよね。特に彼がソロでやるやつ。

【山下】なるほど。小林さんは作家性が強いですよね。

あとSIS companyという会社があって、今度、三谷幸喜さんとやるんですよね。
北村明子さんという方がプロデューサー兼社長なんですけど、業界のドンのような方で
すごいキャスティングを毎回されて、すごい作家さんに頼んで、長期公演をするっていう。

【谷】でもコロナの間は、結構細かくやってましたよね。
3人芝居を新国立でやって、
それで二人芝居を1本やったりっていうかたちで。
SIS companyはなかなかすごいですね。

【山下】すごいですよね。その変化に強いっていうか、それができる北村さんがすごいんでしょうけど、そうやって柔軟に変化しながら継続するっていうのは本当に企業人としても学ぶべきことが多いですね。

【谷】三谷さんも良く組みますよね。SIS公演で組むし。
あとはいのうえひでのりさん(※劇団☆新感線 演出家)も組むんじゃないかな?

【山下】演出家として。だから新感線とは別のやつでっていうことですよね。

【谷】大竹しのぶさんも出ていますし、宮沢りえさんも。

【山下】そうですよね。宮沢さんも多いですよね。

【谷】あとは、段田安則はレギュラー的に。

【山下】そうね。段田さんはもしかしてSIS company所属かな? あとは堤真一さんもそうですよね。

【谷】堤さんは大人気ですよね。お芝居ではみんなスタンディングで最後拍手してますから。

【山下】すごく面白いですよね。SIS companyのやつもぜひ見に行くと外れがあまりないと思います。あと、好き嫌いが僕の周りでは分かれていたりするんですけど、野田秀樹さん。

NODAMAPということで、今池袋西口の東京芸術劇場の芸術監督なんですけど、谷さんはご覧になられているんですよね。コンスタントに。

【谷】そうですね。ここ4本くらいはずっと見続けているかな? 1回震災で流れちゃった作品が。

【山下】震災って東日本大震災ですか?

【谷】はい。そのとき1本逃して、それ以降は全部見てるかな? やっぱり去年やった「Q」がすごく印象深いですね。

【山下】「Q」ね。広瀬すずちゃんが出たやつね。

【谷】そうですね。松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳か。その二組ずつの組み合わせ。

【山下】すごいキャスティングですよね。「Q」ってクイ-ンの話ですよね?

【谷】そうですね。

【山下】フレディー・マーキュリーの。

【谷】ロミジュリがらみだっけ?

【山下】ロミオとジュリエットを翻案して、それでフレディー・マーキュリーのクイーンの楽曲などを使ってっていうやつだったかな?

【谷】そうですね。だけど野田さんは難しいですよ本当に。話が意外と。
2回見るとちょうど良いのかなっていう感じかもしれないですよ。

【山下】なるほど。野田さんはインテリでらっしゃるから。とはいえ野田さんの「赤鬼」ってご覧になったんでしたっけ?

【谷】「赤鬼」見ました。

【山下】あれ今年でしたっけ?

【谷】今年4チームで、自分の弟子ですよね?

【山下】いろんな俳優さんがたくさん出て。

【谷】コロナで前にビニールをたらしてビニール越しに見るという。

【山下】でも一番、飛沫安全じゃないか。むちゃむちゃ安全なパターンで。

【谷】でも僕入るときおもいっきり触っちゃって。

【山下】そうなんですね。じゃああとで手を洗わないといけないという。

【谷】手もそうだけどどうなんだろう。

【山下】指紋とかべたべたついたら嫌ですよね。

【谷】そうなんです。

【山下】「赤鬼」は本当にとても良いお話なので、多様性とか。

【谷】海外で結構評価されてるんじゃない? イギリスでたしか評価されてる。

【山下】外部の人が入ってきたときにどういうふうにしていくのかっていう。それをどうやって、包摂とか今言うんですけど、インクルージョン? インクルージョンをみんなしなくなってきているんじゃないかっていうので、トランプとバイデンも今選挙で分断とかっていう言葉が出ているじゃないですか。そういったことが「赤鬼」見ると本当にこれでいいのっていうふうに思っちゃうみたいな。とても素敵なお芝居なので。

【谷】野田さんはNODAMAPっていう劇団になるんですけど、それじゃないので10月にやったのが「真夏の夜の夢」をやりましたね。

【山下】シェイクスピアの。

【谷】だからシェイクスピアだけじゃなくていろんな要素をぶち込んで、彼の立場は潤色っていう立場だったのかな?

【山下】殉職っていう職に準ずるの意味じゃなくて?

【谷】いや、さんずいの。なんていうのかな。

【山下】準ずる、準優勝の準。

【谷】違う違う。さんずいに門構えに王。それに色。

【山下】あー。潤色ね。浸すみたいな意味のですね。

【谷】すごく難しい話でしたね。それはちょっと最初からわからなくなっちゃって僕が。

【山下】そうなんですか。シェイクスピアの「真夏の夜の夢」がベースになっているの?

【谷】ベースなんですけどただじゃすまない。

【山下】妖精的なものが出てきたりはするのですか?

【谷】そうそう。

【山下】一応するんだ。なるほどね。そこからの翻案がすごいってことだな。

【谷】そうです。いろんな要素が出てきて僕はわけがわからなくなっちゃった。

【山下】やっぱりイメージがどんどん拡散していくんでしょうね、言葉から。本当にすごい人ですよね。そういう意味ではそこが好き嫌いが分かれていて、そのイメージがばーっと広まると僕の知ってる野田秀樹大ファンの人なんかは5回とか10回見に行ってる人がいるんですよ。

【谷】そうですよね。劇団「夢の遊民社」からファンの人が特にすごいですよね。

【山下】同じ演目を何回も見に行くって、すごい資金力とチケット当て力があると思うんだけど。

【谷】インスタでやり取りしている人もたしかこの「真夏の夜の夢」は3回見たって書いてありましたね。すごいですよその人は。

【山下】すごいですよね。

【谷】とにかく毎週必ず何か、毎日何かあがってるし、映画も見るし。

【山下】それは何? ツイッターの友達とか?

【谷】友達ではないんだけどやり取りしてる、お互いにフォローし合ってる関係なんですけど、どんな人かもわからない。女性なんですけど、その人は本当に映画は古いものをすごく見るし。

【山下】今度その人に来てもらいましょう。

【谷】神保町シアター。あそこで古い作品やっているので、しょっちゅう見てるのがあがっています。それと芝居は本当にいろんなの行ってます。資金力も含めてすごい豊かな人、いろんな意味で豊かな人。

【山下】なんか不動産の賃貸マンションのオーナーかもしれないですね。

【谷】体が良く持つなと僕は思います。

【山下】観劇も体力勝負とか言いますものね。

【谷】結構疲れますからね。1日2本とか本当に疲れますからね。今年は意外とやってないんですよ僕。

【山下】私は最近はコロナもあり週に1回が限界かなっていう感じなんですけど。

続いて、
TEAMNACSは全然見てないけど、谷さんはご覧になったことあるんですか?

【谷】僕は3本見てますね。

【山下】僕1回も見たことないんですよ、実は。

【谷】意外と脚本が外の人が多いのかな。でもあのチームワークで一人脚本と演出ができる人がいるから、他にもいるのかな? 5人のメンバーでうまくチームワーク作ってやってますが、これは本当にチケット取れないんですよ。

【山下】取れない?

【谷】ファンクラブに入れば取れるんでしょうけど、ファンクラブに入ってもなというふうになっちゃうので、たまたま僕は「悪童」って古沢良太が脚本だったのかな?

【山下】悪童。悪い童?

【谷】童。悪童日記の悪童なんですけど、悪童日記とは違うんですけれども、赤坂ACTでやってたんですけど全くおさえられなかったので、新潟の公演があって新潟申し込んだら取れちゃったので、しょうがないから新潟に旅行がてら行ってきました。そういうのも逆にそうでもしないと行かないから。

【山下】こういったものを見るとたぶん外れがないものなのですが、デメリットとしてチケットが取りにくいっていう部分がありますね。そこをどうするかだな本当に。チケットが取れたり、余っているよというのがあったらぜひ今日紹介したものは行ってみてください。

続いて、シリアスで社会派のものということで、「劇団チョコレートケーキ」というものすごく美味しそうな名前のやつなんですけど、内容はシリアスで社会派ということで。谷さん「無畏」(むい)っていうのはご覧になったんでしたっけ?

【谷】見ました。配信もしてましたけど、駅前劇場でピリピリしながらやってましたね。

【山下】そうですね。あの頃はね。

【谷】フェイスガードもやってましたね最前列は。

【山下】そうですね。最前列はフェイスガードを配っていただいて。

【谷】それで古川健さんていうのが本当にすごい作家さんで。

【山下】劇団チョコレートケーキ以外にもいろいろ書かれてますよね。
【谷】本当は月曜日に行く予定だったんですけど。

【山下】俳優座?

【谷】俳優座の公演なんですけど、ちょっとその日熱が出ちゃって、軽い熱だったんですけど無理せずパスしちゃったんです。

【山下】いやいや、今の時期は熱だと本当に気を付けないと。

【谷】それは高橋是清の頃の話。

【山下】高橋是清。明治時代の話ですか?

【谷】明治? 明治かな。

【山下】明治じゃない? 高橋是清。

【谷】そうか。(※「火の殉難」という作品で、2・26事件(昭和11年)です)

【山下】古川さんて昔の資料をものすごく当たって、その事実とかを全部調べたうえで書かれるから説得力が違うんですよね。本当に。

【谷】あとで出てくる野木萌葱さんとテーマ性は似たところがあるかもしれないですね。

【山下】そうですよね。日澤雄介さんという演出家の人がチョコレートケーキの演出をだいたいされてる。

【谷】ひさわです。

【山下】ひさわさん。失礼しました日澤さん。この前、座・高円寺の別の公演でばったりお会いして少しお話してきたんですけど。

【谷】今度、来年2月に東京芸術劇場のシアターイーストで「帰還不能点」という作品をやるんですけど、それは近衛文麿と松岡洋右に焦点を当てた作品だということで書いてありましたけど、それ以上はわからないですね。
【山下】戦時中の話か。

【谷】「無畏」はあまり皆さん知らない人ですよねたぶん。松井石根さん。

【山下】そうか。なんか記憶が飛んじゃってますけど、今。

【谷】あれです。南京大虐殺の。

【山下】南京大虐殺の話か。そうだ思い出した。

【谷】大将が逃げちゃったっていう話です。

【山下】「失敗の本質」の話ですね。そうだ思い出しました。

トラッシュマスターズは中津留章仁さんていう人で、すごく背が高い方なんですけど、すごく社会批評的な「このままで、この日本はいいのか」みたいなことを純粋に戯曲に反映されていくという方です。

【谷】ニュースがすごく速いですよね。

【山下】早い。だからコロナが起きたらコロナ。

【谷】今起きている、それこそトランプバイデンのニュースとかがたぶん今やったら今入っちゃう感じですよね。

【山下】そうですね。今起きている事件をすごく的確にとらえて、それを自分で考察したものを戯曲にされているという、社会派の熱い方ですよね。書いてるものが。俳優さんもわりとレギュラーのような感じです。こういうシリアスで社会派のものは好みが分かれるかもしれませんけど、興味があればぜひ見て欲しいと思います。

来月、谷さんと行くのかな? 「パラドックス定数」という。野木萌葱さんという脚本家がいらっしゃいますけど、劇作家・演出家の。これは谷さんからしゃべってもらおうかな?

【谷】野木さんは調べたところによると、日芸の演劇学科の1期生なんですって。

【山下】1期生?

【谷】はい。それでずっとやってきているということで、「パラドックス定数」っていう名前でユニットを立ち上げて、「東京裁判」で劇団化したということで。最初は「パラドックス定数」じゃないんですけど、そうか最初は「パラドックス定数」でやったんだ。「三億円事件」とか「怪人21面相」とか「731」っていう舞台とか、そういった作品をいろいろ切り込んでいくんですよね。会話劇ですごく面白いですよね。

【山下】面白いですよね。

【谷】一昨年、シアター風姿花伝ていう、ちょっと不便なところにある目白から歩いて20分くらい、下落合から10分くらい。

【山下】下落合から坂を上がって10分ですね。

【谷】そこで何作品やったんですかねあれはね?

【山下】7作品くらいやったんじゃないかな?

【谷】1、2、3、4、5、6、7作品。7作品やって。

【山下】谷さんコンプリートしたんですか?

【谷】コンプリートして。

【山下】すごいですね。僕は5本しか見てない。

【谷】今ちょうどユーチューブで、無料で見れるんですよ。でもやっぱりなかなか体が動かないんですよね、そこに。

【山下】生のほうが良いですものね。

【谷】2時間そこで拘束されちゃうっていうのがちょっと家だとなかなかそこにいかないっていう。

【山下】でも太っ腹ですよね。そうやってちゃんと配信してくれるなんて。

【谷】ありがたいことです。今度12月はさっき言ったシアターイーストで「プライベートジョーク」をやられると。

【山下】そうです。私も取りました。

【谷】これは何の話なんだろうな。

【山下】なんだろうね。プライベートジョーク、タイトルだけだとわからないけど。送ってきたDM読んでもわからないですよね。

【谷】わからないです。

【山下】12月に公演がございます。

続いて、詩森ろばさんという方がいてすごく面白いお名前なんですけど、映画の「新聞記者」というのが去年話題になりましたけど、それの脚本も書かれています。今serial numberという劇団名で活動されていますが、その前は風琴工房という名前の劇団の劇作家だったんですよね。

【谷】アコーディオンですよね、風琴て。

【山下】そうですよね。谷さんも結構好きでご覧になってますよね?

【谷】そうですね。今、田島亮さんという役者さんと詩森さんの二人が。

【山下】そうですね。それがserial numberのユニットですよねベースの。

【谷】だいたいレギュラーメンバーがいて、そこに入ってやってるっていう。

【山下】そうですね。わりと男臭い、女性の作家なのに男臭いシリアスなものを描かれるという方で、また次回公演があれば行ってみたいと思いますけど。

【谷】この間、シアタートラムで10月にアーサー・ミラーのデビュー作だった「All My Sons」の翻訳ものをやりましたけど、それはやっぱりそのメンバーもいましたけど、神野三鈴さんと大谷亮介。この二人がめちゃくちゃうまくて芝居がすごくしまっていますね。

【山下】神野さんも本当に素敵な女優さんですよね。

【谷】声が二人全然違うんですよね。

【山下】そうなんだ。

【谷】比べちゃ悪いんですけど、二人だけ全然違う世界、別世界にいるような感じ。

【山下】そうか。共演した人が聞いたら怒られるかもしれませんけど申し訳ございません。
なるほど。また次回作を楽しみにしたいと思いますけど。

あと「温泉ドラゴン」という劇団があって、僕あんまり見てないですけど白井健太さんも社会派のものを。
【谷】単独で演出とかもいろいろやられていますよね。なぜ「温泉ドラゴン」かというと、リーダーである阪本さんという人が兵庫県の温泉町というところの出身なんです。それと、筑波竜一さんという人がいて、その人の「竜」から、その人土浦市の出身で最初「温泉土浦」になる予定だったんだけれども、筑波さんの「竜」から「温泉ドラゴン」になったということらしいです。

【山下】なるほどなるほど。温泉町今度行ってみたいですね。あまり僕は見てないので語れないんですけど。

続いて、この前谷さんと一緒に「人類史」を見に行ったんですけど、DULL-COLORED POPの谷賢一さん。いかがですか谷さん。

【谷】同じ名前で本当にすごい人でびっくりしちゃいますよね。
彼は明治大学らしいんですけど、明治大学在学中にこのDULL-COLORED POPを立ち上げたらしいです。

【山下】学生演劇だったんだ。

【谷】去年ですか? 「福島3部作」。一昨年から、やってましたけれどもこれもやりましたし、彼は翻訳もすごくうまくて、翻訳ものを自分で翻訳して提供していたり、自分で演出してやったりとか、すごく多彩な人ですよね。すごく頭の良い方だと思います。「福島3部作」の取材力なんて半端ないので。

【山下】あれ本当に福島の人にいろいろ話を聞いたらしいですね。

【谷】そうです。ご自身も福島出身ですよね。

【山下】それは熱量ありますよね。自分が福島出身だと本当に。先日ご覧になった「人類史」はいかがでしたか?

【谷】すごく楽しかったですね。1幕と2幕が全然違う構成で、1幕はほぼセリフなしで人類がどう変わってきたかっていう。

【山下】ホモサピエンスの発生から語っていますものね。

【谷】踊りがあり、火をつけたりっていう、そういうプリミティブなところからスタートして。

【山下】そうですね。絵画が始まったり、文字が始まったりとか。

【谷】それで、映像がすごく良かったですね。

【山下】そうですね。プロジェクションマッピング素晴らしかったですよね。

【谷】舞台の後ろにちょっと楕円のホリゾントみたいな形の。

【山下】楕円にプロジェクションマッピングしたら奥行きがあるんですよね本当に。あれは映像表現として新しかったな。

【谷】踊りあり、歌ありですごく良かったですよね。

【山下】音楽も本当に良かったですよね。ユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」がベースになっているんですけど、それとはまた全然違うやり方になっていて、僕が一番驚いたのは休憩時間が「7万年」て出たんです。「人類史」だからそうかって。7万年があとで20分に変わったんですけど、そんなに休んだら俺、死んでるやんけみたいな感じだったのですが。ああいうのも面白いですよね。ああいうちょっとしゃれたことをやってくれて。終演後、谷賢一さんがすごくにこにこして、出てきて。千秋楽に僕は見ることができたんです。

【谷】そうでしたね。

【山下】「やっと終わった感じだ」とかって、僕らが撮影終わったときみたいな感じでにこにこされていましたけどとても良かったです。東出さんも良かったですよね、一生懸命やられていて。

【谷】そうですね。あの人は背が高いからすごく目立ちますよね。

【山下】声がすごく出るのが、僕、東出さんを舞台で初めて見たんですけどすごく良かったです。

【谷】なかなか良い役者さんですよね。

【山下】ですよね。本当に。

【谷】芝居にも積極的に出られているしね。良いと思います。

【山下】よいですよね。昨日もpodcastで話したけど、最近舞台に出る俳優さん増えているっていうイメージないですか? 昔あんまりタレントみたいな人は舞台に出なかった。やっぱり事務所もあれですかね? ちゃんと舞台をやると演技の学びの場になるとかって考えているんですかね?

【谷】それは実際問題ありますからね。

【山下】やっぱり映画だと一言しゃべったら「カット」とかっていうのが多いけど、あんなの本当にどうやって覚えるんですかね? すごいな。

【谷】絶対覚えられないですよね。

【山下】今度、俳優さんに来ていただいて聞いてみたいですね。こんどぜひそれやりましょう。
ちょっと後半になりますけど、評伝劇などが良いものっていうのでナガタ、これなんて読むのかな? オサダかな?

【谷】長田育恵さん。

【山下】長田育恵さんだ。てがみ座の。この人、谷さんは何かご覧になりました?

【谷】これ「ゲルニカ」も見ましたし、あれ一緒に行きませんでしたっけ? 葛飾北斎の。

【山下】あー。北斎の妹じゃないのか。娘? 妻か。

【谷】違う違う。あれは娘なんですけど、お栄でしょ? お栄はテレビです。

【山下】そうかそうか。

【谷】じゃなくててがみ座はね、「燦々」ていうやつを。

【山下】見に行きました。高円寺かな?

【谷】いやいや、シアターウエスト。

【山下】そうか。

【谷】すごい舞台の作りも面白かったですね。あれは良かったですよ。

【山下】なんとなく思い出してきました。

【谷】長田さんのやつ、あとはシアター風姿花伝で対岸の……。なんだっけな。半海 一晃さんが出ていたやつだな。何か昔、見てますね。(※「対岸の永遠」)

【山下】最近、映像テクノアカデミアの講師もしている小山ゆうな先生っていう方がいるんですけど、小山先生が長田さんの戯曲で劇団四季でオリジナルのロボットの話をお書きになって、四季もこういう新しいのに取り組まれているんだなと思ってちょっとびっくりしていたんですけど。そのときに劇団四季の吉田社長が新聞に出られていて、配信でやるといろいろ規制があるんですって。ディズニーとかの。それでオリジナルをやらないとそういうことはできないというのがわかったということでオリジナルコンテンツを持っているのは強いなということですね本当に。(※「ロボット・イン・ザ・ガーデン」)
あと、瀬戸山美咲さん。ミナモザの。最近僕全然見てないんですけど。

【谷】僕も2本くらい見たけど、1回一緒に行きましたよね。交通事故起こしちゃった人の話。

【山下】事件のね。家族の話ですよね。

【谷】そうそう。シアター711かなあれは。

【山下】あれ面白かったですね。

【谷】あれはだけど、なんとか座だったな。真っ当な劇団ですよ。昔からの伝統的な。(※青年座「残り火」スズナリでした)

【山下】そうなんでしたっけ? 全然忘れてた。

【谷】12月に杉原邦生さんと「オレステスとピュラデス」をKAATで。

【山下】それは劇作が瀬戸山さん?

【谷】そう。瀬戸山さんが劇作で、杉原さんが演出。加えて言うと、今月シアタートラムで長田育恵さんと瀬戸山さんの連作で「幸福論」っていう。

【山下】面白そう。能楽をベースにした「現代能楽集」のシリーズをずっとパブリックシアターはやってますものね。

【谷】それをお二人が連作で。

【山下】現代能楽集のシリーズ。あれ面白いですね。あれ見に行こうかな?

【谷】まだチケットありました。僕は初日で取りましたけれども。

【山下】いやいや、あれはちょっと行ってみたいな。

【谷】僕はちなみに、来月か。僕は12月10日に行きます。

【山下】谷さんはわりと早めにチケットを取られるから。

【谷】そうです。世田谷は会員にもなっているので、500円くらい安くなったりするんですよね。年間3千円でコーヒーチケットが5枚くらいくれるんですけど、コーヒーなんて。

【山下】あの3階の喫茶店ですか?

【谷】そうそう。だけど飲まないんですよ。

【山下】あそこの喫茶店良いですよ意外と。

【谷】良いんですけど、幕間で飲むと利尿作用が働いちゃったりするので。

【山下】30分か1時間早めに行ってコーヒー飲んでから見ると眠くならない。

【谷】あとは水をくれるっていう。それ1枚で。

【山下】そうなんですか。

【谷】コーヒーでも値段一緒なんですけど。

【山下】コーヒーのほうがいいじゃないですか。

【谷】そうなんです。

【山下】なるほど。

ということで、4番目が終わったのでちょっと1回休憩をします。

以下 文字起こしをしていただいた越智さんの感想です。

担当:越智 美月
ご依頼ありがとうございます。
演劇はあまり見に行ったことがなかったので、いろいろな演劇や作家さんのことを知ることができてとても勉強になりました。歴史の話など、学校で習うだけではなく物語として見ることでさらに理解が深まることもあると思うので、機会があればぜひ行ってみたいと思いました。
私はピアノのコンサートなどをよく聞きに行くのですが、今までは演劇もコンサートもミュージカルもチケットさえ取ることができれば会場に行けるのが当たり前だったのに、コロナウイルス感染対策によって公演が中止や延期になったり、観客の人数を制限したり、無観客でライブ配信したりするなど、今までとは違う形になってしまいました。お二人が紹介されているように良い作家さんや役者さんがたくさんいて、良い作品がたくさんあるのにそれを気軽に見に行けなくなった今、作品の尊さや生のイベントが見られるありがたさを改めて感じます。満席のイベントが気軽に楽しめる今までと同じ日常に1日でも早く戻ることを願うばかりです。


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