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リハビリにおける評価の3つの役割

経験年数の短いセラピストや臨床実習の学生さんは評価について悩むことが多いのではないかなと思います。

「とりあえずこの評価をしておこう」という思いで評価をたくさん行ったものの、それをどう臨床に活かせばいいかわからない。

評価結果が臨床にどう活きるかを知っておけば、評価に意味が生まれ、有意義なものになると思います。

本記事では、経験年数の短いセラピストの方向けに、リハビリにおける評価の3つの役割について紹介します。

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リハビリにおける評価の3つの役割

最初に本記事のまとめです。

リハビリにおける評価の3つの役割は次の通りです。

患者さんの問題点をピックアップする
問題点の原因を把握する
予後予測をする

以下、詳しく解説します。

評価の役割を理解できればどの評価を行うべきかが明確になる

評価の役割を理解できると、どの評価をとれば良いか悩むことがなくなります。

患者さんの問題点をピックアップするため

本来、検査、測定、評価は分けて考えないといけないものです。

「Berg Balance Scale(以下、BBS)をとり終えました!」とか「歩行速度算出しました!」では検査と測定が終わっているだけで、”評価” ではありません。

評価というのは、患者さんにとって検査・測定結果がどういう意味を持つのかを判断することです。

なので検査結果が悪かったとしてもそれが患者さんにとって問題ではない、というケースもあります。

例えば、BBSのカットオフ値を下回っていて転倒する可能性が高い、としてもそれが患者さんにとっては問題ではないという場合があります。

自分の経験上の話ですが、回復期病院で勤めていたころ、ご年齢のお若い会社の社長さんを担当したことがありました。

その方はバランスの問題があったのですが、その方にとっては会社にいち早く復帰して仕事を再開することが最優先課題だったので、バランスの低下や上肢の運動麻痺は “症状のひとつ” ではありますが、”問題点” ではありませんでした。

このように、 “評価” というのは患者さんの価値観に照らし合わせながら “症状” が問題点なのかどうかを判断することです。

リハビリの検査、いわゆる歩行速度が○m/sだとか、Fugl-Meyer Assessmentの点数が○点だとか、Penetration Aspiration Scaleの点数が○点だとか、というのは、この “評価” を行う上で必要な情報、になります。

例えば、BBSで52点未満であれば転倒する可能性が高い、ということが知られています。

あるいは、Timed up and go test(以下、TUG)で10.15秒以上かかる方も転倒する可能性が高い、ということが知られています。

このような情報を通して、患者さんにバランス能力の低下があるのかどうかを客観的に判断することができます。

あとは、この客観的な情報を元に患者さんと対話し、患者さんが何を問題点として捉えるかというのが大事です。

問題点の原因を把握するため

検査・測定の結果から、問題点の原因を把握することができます。

例えば、脳卒中患者さんの歩行では麻痺側下肢の推進力が問題になることが多いです。

立脚後期に麻痺側下肢で蹴り出すことができず、前方へ進めない、という問題です。

この推進力は主に「麻痺側下肢が身体よりも後方にある」「股関節伸展筋力」「膝関節伸展筋力」「足関節底屈筋力」から構成されます。

このとき、関節可動域検査や筋力検査が役に立ちます。

筋力の数値は正常で、股関節伸展の関節可動域が足りないのであれば、「股関節伸展可動域が不足しているため推進力が得られない」と判断できます。

一方、関節可動域が正常であるものの筋力が弱いのであれば、「筋力が低下しているため推進力が得られない」と判断できます。

このように、問題点の原因を分析することが可能です。

問題点の分析を行えれば、あとは原因になっている症状に対してリハビリプログラムを組むことになります。

例えば、筋力が原因なのであれば筋トレが必要ですし、関節可動域が原因なのであれば間接可動域訓練が必要になります。

患者さんの問題点を解決するためのリハビリプログラムを組むことができるというのが、評価の役割のひとつです。

予後予測をするため

3つ目の役割は予後予測です。

検査結果から、3ヶ月後や6ヶ月後の状態を推測することができます。

例えば、BBSが発症時に○点なら1ヶ月後に歩行が自立しているだろうとか、FMAUEが○点なら、3ヶ月後に上肢が日常生活で使えるようになっているだろうとか、そういった予後予測に役立ちます。

予後予測ができれば、患者さんが退院するときの環境設定を事前に判断して準備することができます。

あるいは、リハビリチーム内で退院時期を調整するのにも役立ちます。

目的を明確にして評価を有意義なものにする

セラピストとして経験年数が短いときは、「とりあえずこの検査はとっておこう」という意思決定をしがちです。

検査はとらないよりはとったほうがいいので、その判断は間違いではないですが、検査をする時間は患者さんのリハビリ時間です。

不要な検査をすることは患者さんの貴重な回復の時間を奪うことになりますし、せっかく検査をするのであれば患者さんにとって意味のある検査にしたいですよね。

リハビリにおける評価にはこのような3つの役割があると捉え、整理しておくと良いのではないかと思います。

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