システマティックレビューで結果が異なるとき確認すべきポイント 〜最終検索日とデータベース〜
本日のテーマは「システマティックレビューで結果が異なるとき確認すべきポイント〜最終検索日とデータベース〜」です。
※本題に入る前にお知らせをさせてください。
7月1日(木)、「運動イメージと運動錯覚の神経基盤と脳卒中リハビリテーションへの応用」というテーマでBRAINの特別セミナーを開催します。
運動イメージや運動観察療法、ミラーセラピーなどの運動イメージ系のリハビリを有効活用できるようになることでリハビリの幅が広がります。
どういう患者さんに運動イメージ系のリハビリが適しているのか、など臨床的な意思決定も踏まえ、お教えいただく予定です。
3日間はアーカイブが残りますので、当日の都合が合わないという方にもお楽しみいただけます。
詳細はホームページを覗いてみていただけると嬉しいです。
それでは本題に入ります。
昨日、一昨日に引き続き、システマティックレビューで結果が異なるとき確認すべきポイントについて取り扱います。
※そもそもシステマティックレビュー自体がよくわからない、PICOSとか言語バイアスについて知りたいという方は昨日、一昨日の記事をご覧ください!
https://brain-lab.net/2021/06/20/1-62/
https://brain-lab.net/2021/06/21/1-63/
おさらいも兼ねて簡単に話しますと、システマティックレビューをいくつか読んでいるときに、システマティックレビューAでは「効果がある」と言っているのにシステマティックレビューBでは「効果があるとは言えない」と言っているようなケースがあります。
システマティックレビューはエビデンス・ピラミッドの最高峰に位置する研究デザインになりますので、臨床で参考にされている先生もいらっしゃるのではないかと思います。
こういうケースに当たってしまうと混乱するのではないかと思います。
そのときになぜ結果が違うのか、という理由について知っておくと、そのシステマティックレビューの本文を読んでいくことで「なぜこういう違いが生まれるのか」を理解できます。
前回まで、PICOSと言語バイアスについて紹介させていただきました。
今回はシリーズの最後として、最終検索日とデータベースについて紹介させていただきます。
データベースについて
データベースというのはPubMedやCENTRALなど、論文情報が収納されているデータベースのことです。
日本だとJ-stageや医中誌などがデータベースになります。
システマティックレビューは論文を収集する研究なので、論文を検索する必要があります。
私たちも、論文検索するときはJ-stageを使ったり、PubMedを使ったりしますよね。
それと同じで、システマティックレビュー研究の著者の先生方もデータベースを使って検索をしています。
このとき、どのデータベースを検索で使用するかによってシステマティックレビューの結果が変わります。
というのも、データベースごとに収納されている論文が若干異なるためです。
例えば、PubMedには収納されていないけど、J-stageには収納されている論文、があります。
このとき、PubMedしか検索で使っていないとすると、J-stageにだけ収納されている論文は取り込まれないことになります。
システマティックレビューの結果というのは取り込まれた論文の違いによって生じます。
もしかしたらJ-stageに収納されている論文を追加すれば、システマティックレビューの結果が変わるかもしれません。
なので、基本的には使えるデータベースは全て使った方がいいのですが、現実的には難しいこともあり、研究によって使われているデータベースの種類や数が異なります。
これによって、システマティックレビューの結果にも影響が出て、こちらのシステマティックレビューではこう言ってるのに、別のシステマティックレビューでは違うことを言っている、ということが生じます。
少ない場合だと2つのデータベースしか使われていない、というシステマティックレビューもあるのですが、多い場合だと10種類以上のデータベースが使われているシステマティックレビューもあります。
当然ながら、後者の方が網羅的な情報収集ができていることになりますので、後者の方が情報の信頼性が高くなります。
最終検索日について
最終検索日というのは、システマティックレビューで検索を行う最終検索日のことです。
世界では毎日、新しい論文が公開されています。
システマティックレビュー研究を論文にまとめて出版するまでにもどんどん新しい論文が出てきます。
ですので、ある程度のところで検索を終了させないとキリがありません。
そのために最終検索日を設けます。
例えば、2020年12月31日を最終検索日とすると、2020年12月31日までに各種データベースで公開された論文を検索し、システマティックレビューに取り込むことになります。
ですので、そのシステマティックレビューの結果は12月31日までの情報に基づいて得られたものです。
このシステマティックレビューでは「効果があるとは言えない」とされたとしても、もしかしたら1年後の2021年12月31日を最終検索日にした別の研究では「効果がある」という結論になるかもしれません。
これは、2021年の1年間で、そのリハビリを支持する研究が公開されることによるものです。
つまり、最終検索日の違いによって、システマティックレビューに取り込まれる研究が異なるため、結果も異なる、ということです。
システマティックレビューで結果が異なるとき確認すべきポイントまとめ
3回にわたって紹介した4つのポイントです。
①PICOS
②言語バイアス
③最終検索日
④データベース
繰り返しになりますが、システマティックレビューの結果が異なる、というのは基本的にシステマティックレビューに取り込まれた研究が異なるために生じます。
システマティックレビューを読んでみて、こちらの研究ではこう言っているけど別の研究では違うことを言っている、というケースに当たったらこれらの要素について確認してみてください!
本日は「システマティックレビューで結果が異なるとき確認すべきポイント 〜データベースと最終検索日〜」というテーマでお話しさせていただきました。
BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。
2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。
ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。
https://brain-lab.net/seminar-top/course-top/
それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!
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