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ストレスで具合が悪くなるメカニズムとその対処法。

今のストレス、昔のストレス


遠い昔、原始的な生活をしていた人類におけるストレスとは、飢餓への恐れと病気・怪我くらいでした。私たちの体はこのようなストレスに対しては自律神経を調節して対抗できるシステムを持っています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、簡単に言うと交感神経がいざというときに備えて頑張るための神経、副交感神経が身体を休めて回復させるための神経です。ストレスがかかった時には交感神経が活発に働きます。具体的には血圧が上がり、脈が速くなり、瞳孔が開き、筋肉は緊張して力が入り、冷や汗が出て不安や緊張を強く感じるようになります。このような変化によって私たちは危機的な状況から逃れるための態勢を整えます。

しかし、現代社会における大きなストレスは慢性的な精神的ストレスです。社会から受けるストレスは過去のものとは違い死に直結するものではありませんが、そこから逃げることは難しく、長期間続くことが特徴です。原始的な時代までは自律神経の働きによってがうまく対処できていましたが、現代社会の慢性的・持続的なストレスに対してはあまり適したシステムになっていません。

私たちの自律神経はこのようなストレスに耐え続けることは不得意なため、個人の限界を超えると様々な心身の症状として現れてきます。これがいわゆる自律神経失調症です。自律神経失調症の症状は「これ以上ストレスに耐えることが難しくなってきた」という身体からのサインとも言えます。

これを我慢し続けていると、ストレスに対抗するために働いていたホルモン「コルチゾール」が脳を破壊し始めます。ストレスがうつ病や認知症の原因になったりすることは医療関係者の間ではよく知られています。ストレスをコントロールし、自律神経を整えることは、将来にわたって心身の健康を維持するために大変重要です。

ストレスによる症状。

ストレスが続くと、様々な症状が現れますが、中でもよくみられるものを挙げてみました。

気持ちが落ち込む
・元気が出ない、気力が湧かない・イライラする、怒りっぽい・不安になる、焦る・落ち着かない
・動悸がする・息苦しい・食欲が湧かない・食事がおいしくない
・過食してしまう・体重が減った/増えた・なかなか寝つけない・夜中に何度も目が覚める・疲れが取れない・体が重い・人の目が気になる・人と会いたくなくなる・以前は楽しいと思えたことが楽しめない・頭がうまく働かない、集中できない・物忘れが増えた

このような症状が現れてきたらストレスが原因かもしれません。

ストレスによる症状の治し方。


休息時間を確保する:自律神経失調症の主な原因は慢性的なストレスによる疲労ですから、治すためには以下のようなポイントに気をつけてください。

1 十分な睡眠時間を確保し、心身を休ませる時間を作る

2 休みの日も含めて規則正しい生活を心がける。生活リズムが乱れると自律神経が適切に働かなくなるため。

3 甘い食べ物やジュース・ポテトチップスに代表されるスナック菓子を避ける。このような食品は血糖値の急激な上昇と下降を起こし、身体にとって大きなストレスとなります。

4 お腹が空いた時にはタンパク質や脂質が多い食品を食べる。血糖値を安定させるためです。ナッツ・ゆで卵・塩味の焼き鳥・納豆・無糖の豆乳・ココナッツオイル・オリーブオイルなどがおすすめです。

5 ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸など不足しがちな栄養素に気をつける。サプリメントで補うのもおすすめです。

以上のようなことに気をつけても改善しない場合は精神科か心療内科に相談を。かかりつけのお医者さんがいればまずはそちらに相談するのも良いでしょう。会社に行っている人なら社内の産業医やカウンセラーがいることがあるので、そちらの方が話をしやすいかもしれません。それもハードルが高ければ、家族や信頼できる友人でもよいので、まずは誰かに相談することが大事です。ストレスがかかっている時は視野が狭くなり、普段なら選ばないであろう極端な行動をとってしまうことがあり、それが後々新たなストレスになってしまうこともあります。他の人と話してみると、大きなストレスだと思っていたことが意外と大したことではないと気がつくことは珍しくありません。一人で抱え込まず、正直な気持ちを伝えてみてほしいと思います。


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