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偏差値に対する考え @ 中学受験

受験に偏差値という考え方が持ち込まれて以降、偏差値が長らく受験の価値観を支配しています。
それが受験を助けることもあれば、それによって苦しむこともあります。
偏差値とは、決して絶対的な基準値ではありません
人それぞれで価値や評価が別れるものです。
それゆえに、講師、保護者様、お子様の三者の関係性を難しくしてしまうことがあります。
そこで、まずは私たちの偏差値に対する考えを皆様に表明します。

私たちの基本姿勢として、偏差値には絶対的な価値を置きません
偏差値とは、あくまでそのテストの平均点と自分の点数の関係を示す数値に過ぎません。
そのテストの時に調子が良かったか悪かったかを示しているだけです。
私たちは、偏差値をそういうものだと捉えています。

偏差値は、1 教科で考えると 2 点程度で偏差値が 1 動きます。
例えば、算数で 1 問 6 点の試験があったとしましょう。
3 問計算ミスをしたとすれば 18 点分です。
そうすると、偏差値でいえば 9 程度動くことになります。
このように、たまたま少しのミスが重なるだけでも、偏差値はいとも簡単に動いてしまいます。
しかも、それは、比較的頻繁に起こる出来事です。

国語で考えますと、多くの模試では 1 問 2 点配点の知識問題が 40 点分程度出題されます。
この中で正答率が高い問題をきっちり得点していれば、国語の偏差値は安定します。
「国語が苦手」という子の答案用紙を見ると、正答率の高い知識の点数を取り切っていれば、偏差値50近くになることが大半です。
それは「国語」に課題があるのか、「姿勢」に課題があるのかは判断の難しいところです。
私の経験上は、ほとんどが「姿勢」に問題を抱えていると感じますが…

理科や社会に関しては、試験範囲の単元ごとの好き嫌い向き不向きで、定期テストの偏差値は激動します。
それによって、重点的に取り組む単元の洗い出しに利用する程度で考えれば良い話です。
偏差値で一喜一憂する必要は全くありません

4 教科合計で言えば、8 点程度で偏差値が 1 動きます。
たまたま、そのテストの 4 教科全てでかみ合わせが悪ければ、偏差値はプラスマイナス 5 程度簡単に上下します。
しかし、その一回一回の成績で動じる必要はありません。
例えその一回で実力を発揮できなかったとしても、原因を前向きに分析すれば、むしろ成長のきっかけになります
本来偏差値とは、そういう向き合い方をすることが大切です。

大手学習塾で勤務していた経験で話しますと、偏差値と合格校にはほとんど関係が無いように感じます。
よく大手学習塾は「面倒見が悪い」「冷たい」等という評価を聞きますが、それはおそらく偏差値に対する認識の差が誤解を生んでいるのでしょう。
大校舎で、毎年数百人の成績の推移と合格不合格を見ていれば、偏差値による評価の不確実さを目の当たりにします。
故に、実績のあるベテラン講師になればなる程、偏差値に対する保護者様の一喜一憂に寄り添ってはくれない筈です。
むしろ、寄り添っているとご家庭もお子様も前向きに取り組み辛くなってしまうので、不安を取り除くためにも偏差値を軽視することの方が多いです。
保護者様とそのようなコミュニケーションを取っていると「成績を上げられない言い訳」と受け取られてしまうこともあるのですが、偏差値とは基本的にはそんなものです。
あくまで、冷静な自己分析のツールとして活用する程度が、付き合い方としては最適だと思います

もちろん、だからと言って「偏差値が上がらなくていい」とは言いません。やはり偏差値は、その子の受験に対する姿勢を判断する指標の一つになります。
故に、偏差値を上げることにも私たちはこだわります。
しかし、それを元に全てを評価、判断することはありません
時に「冷たい」「面倒見が悪い」と思われても、私たちは偏差値を部分的な問題としてしか扱わないという方針です。

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