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便利なことがイイこと、とは限らない

まずはコチラを読んでほしい。

​不便なことは、不幸なのか | 怒らない力ーーマレーシアで教わったこと | 野本響子 | cakes(ケイクス)日本よりもずっと不便なことが多いというマレーシア。しかし、それで不幸かというと、決してそういうわけではなく、新型コロナによcakes.mu

日本よりも不便なことが多いと言われるマレーシア。いろんなモノへのアクセスが悪いから不便。だからといってその不便さは不幸なのかというと、そうではないらしい。そんなことが書かれています。

この記事を読んで、思いあたることがありました。

我が家はホストファミリーをしていて、今まで多くの留学生を受け入れました。(今年はコロナの影響で留学プログラム自体がキャンセルになったため、活動はナシ。)

留学生が、日本の生活で驚いたり、なぜと感じたりすることはたくさんあります。それは、異文化だから当然のこと。それらの驚きは、ホストファミリー側の気づきでもあります。

こんなことが珍しいのね。そんなところに疑問を持つんだ。そう感じる瞬間がいくつもいくつもあります。

上の記事を読んで、日本の【便利さ】に驚く留学生が多かったことを思い出しました。

そのうちの1人が、6年前に出会ったドイツのブレーメン(グリム童話“ブレーメンの音楽隊”の舞台の地)出身の女子大生。

彼女は、日本のコンビニが24時間営業していて、どこにでもコンビニがあることに驚いていました。

「日本のコンビニは、本当にコンビニエントですね」というフレーズを何度聞いたことか。

彼女によると、ドイツでは、お店を日曜日に営業することは法律で禁じられているそう(一部例外もあります)。平日だと、9~10時ころに開店し、20時には閉店するそうです。20時を過ぎるとお店の電気が消えるので、街なかは途端に暗くなると言っていました。

彼女が日本に来たばかりのころ。20時以降にお店が開いているのが面白い、行ってみたいと言いました。特に用事もなかったけれど、彼女がそう言うならと、夜遅くコンビニに一緒に行ったことがたびたびあります。

わたしが面白いなと思ったのは、彼女が店内で写真を撮った場所。

商品棚でも撮るのかなと思っていたら、コンビニの時計をバックに写真を撮っている。時計が写るように自撮りをしていたんです。

「その写真どうするの?」と聞くと

「今、21時過ぎてるでしょ。日本ではコンビニがこんな時間にも開いてるってことを友達に教えるの」

そう言ったあと、その写真を、夜なのに煌々と明るいコンビニの外観と一緒に、インスタにアップしていました。

そのほか彼女が驚いていたのが、バスや電車のアナウンス。

日本ではなにかしらのアナウンスが必ず流れますよね。停車駅の案内、乗り継ぎ案内、電車の遅延案内、あと何分で次の駅に着くのか。おまけに電光掲示板もある。過剰と言ってもいいくらいの情報量です。

彼女の出身地ブレーメンでは、車内アナウンスはほぼありません。自分の降りる駅が何個先にあるか、自分で調べて、停車するたびにカウントする。外の風景を見て、あ、そろそろだなと準備する。それがあたりまえの地域。

車内は静かな場所。そう思っていた彼女に、次々と聞こえてくる日本語のアナウンス。彼女は不可解な表情を浮かべます。

「これはなんて言ってるの?」「なんのことを話してるの?」とわたしに聞いてきます。

わたしは、さっきのアナウンスは乗り継ぎの説明、今のアナウンスは次の駅の案内、と1つ1つ彼女に説明します。

その説明を聞きながら、「日本の電車って親切ね」「なんでも教えてくれて便利ね」「ボーっと電車に乗っていても大丈夫ね」と、行きの電車では肯定的な意見でした。

ところが、帰りの電車で彼女が言ったのは、

「アナウンスは便利で分かりやすいけど、これ、必要?自分で調べたらすぐわかるのに」、「アナウンスがずっと流れていて、Kindleに集中できない」と、若干否定的なものでした。

1年の留学生活を終え、ドイツに帰国する前夜。彼女はこう言いました。

「日本はドイツと比べてとても便利。お店はいつでも開いてる。お店の数も多いから、いろいろ見たり、ショッピングするのも楽しい。」

「なんでもそろっているから、たくさんトライできて刺激が多い」

「でも便利なぶん、情報量が多すぎて時々疲れちゃう。」

「なんでもある便利な日本を、最初はパラダイスだと思った。でも1年住んでみて、わたしはそんなに便利じゃなくてもいいと気づいた。」

これらの言葉は、5年経った今でも、わたしの心に大きなインパクトを残しています。

便利なことが100%イイことだとは限らない。これが彼女のメッセージ。

彼女のような視点で街なかを眺めると、日本の【便利さ】は行き過ぎてるよね、と思ったりします。

日本の生活にあたりまえのようにある【便利さ】。その便利さを享受するとき、これって本当に必要?と自問してみる。これだけで、心になにかが芽生えるかもしれません。

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