「お金」について無知のわたしでも、楽しみながらスルスル読めたお金の本
恥ずべきことだ。
アラフィフだというのに「お金」を正しく理解していない。オットやFPの友人のススメで株や投資をしているものの、実はあまりよく分かっていない。
経済とは?投資とは?
フリーランスになり「お金」についての無知を痛感している。このままではマズイ。そう思い始めた。思い始めるのが遅すぎだ。
お金知識レベルが中学生(推定)なので、大人向けの本は難しくて分からない。わたしでも分かるようなお金の本はないだろうか。できれば飽きずに読める本。
あった!
編集者のせいこさんが紹介していたコチラの本。
投資家、藤野英人さん著の【14歳の自分に伝えたい「お金の話」】。
藤野さんは、レオス・キャピタルワークスの代表取締役会長兼社長。わたしは「ひふみ投信」で積立しているので、一方的に藤野さんに親近感を抱いている。
中学生向けの本だから、お金の知識が乏しくても読めそうだ。我が家の中学生に読んでもらうというタテマエで購入し、わたしが先にガッツリ読んだ。
♢
藤野さんが、14歳のころの自分自身「君」に語りかけるように書いた本。中学生にもなじみ深い例を挙げ、お金について分かりやすく説明している。
200ページほどあるがスルスル読めた。お金の基本について知りたい人なら、十分楽しめる。2時間ほどで読み終えた。
お金にまつわる具体的なエピソードが豊富
お金ってなに?
経済ってなに?
銀行ってなにするところ?
子どもにそう質問されたら、あなたはどう答えるだろう?
わたしは適切に答えられる自信がまったくない。なんとなく分かったような気になっているけれど、説明するとなったらお手上げだ。
藤野さんは、これらのシンプルかつ大事な質問に分かりやすく答えてくれる。
中学生が飲むペットボトルのジュースや、中学生が着ているシャツなどを例に挙げ、経済のサイクルがどうなっているかを紐解く。
「経済」はお金を稼いでいる人だけに関係する話で、働いていない自分には関係ない。
そんなふうに思っている中学生、定年退職者、ニートと呼ばれる人、寝たきりで体の自由がきかない人に、「そうじゃないよ」と藤野さんは説く。
経済は働いている大人だけのものじゃない。生きているだけで大きく経済に貢献している。
その主張の根拠を、中学生になじみ深いエピソードを交えて説明していく。
また、歴史を題材にしたお金の話も面白い。
学校で習う武士の歴史ではなく、商人の目から見た歴史。商人を主人公にして、鎌倉時代の“徳政令”や江戸時代の“薩長同盟”が商人にどんな影響を与えたのかを説明する。
武士の歴史の裏に、お金を軸にした商人のこんなエピソードがあったのかと興味深く読んだ。
お金について学ぶ機会が少ない日本の学校
学校でお金について学んだ記憶がほとんどない。我が家の子どもたちも同様で、学校で実践的なお金の勉強をする機会が少ない。
お金について堂々と話すのをためらったり、お金のことを詳しく知りたいと思うのを卑しいと感じたり。
時を経ても、そんな空気がいまだに立ち込めている。お金について疎くなるのも無理はない。
しかし、お金の知識は未来を担う子どもたちに必須ではないだろうか。経済の流れ、ビジネスの成り立ち、資産運用などを、子どもたちも知るべきではないだろうか。
金融教育が教育カリキュラムに含まれている国々と比べると、日本の未来は大丈夫か?と本気で心配してしまう。日本の大人が知らない金融知識を、海外の中高生は当然のこととして知っているのだから。
金融知識の少ない子どもたちにとって、この本は、お金リテラシーを学ぶ第一歩として有効だと思う。
人生論にもつながるお金の話
「無駄遣いしないようにね」
子どもたちについ言ってしまう言葉。でも、藤野さんは違う。
「無駄遣い」で経験値をためよう
「なんでこんなもの買っちゃったんだろう」という間違いをどんどんしよう、と藤野さんは言う。
無駄遣いをしてしまった後悔と反省を積み重ね、改善していく。あぁ失敗しちゃった、という経験が人生には必要で、その失敗を改善して生きるスキルを上げていく。
だから、たくさん失敗しようよ。
このひとことに勇気づけられるのは、子どもだけじゃないはずだ。失敗してみて初めて分かることはたくさんある。
「失敗+反省+改善」、この積み重ねが次の景色を見せてくれる。ここに共感した。
また、この本に一貫して流れていたメッセージが
“お金よりも先に夢を持つ”こと。
世の中で大成功を収めた人たちの例を挙げ、それらの人たちに共通しているのは、先に夢を持っていたことだと説く。
自分の夢を叶えたいと熱意をもって努力している人のまわりには、応援したいというサポーターが集まり、信頼関係ができていく。
熱意は人を動かし、お金をも動かす。つまり、夢が先でお金は後。
夢をもち新しいビジネスにチャレンジしている20代のベンチャー経営者や、「社会起業家になりたい」と夢をもっている中学生のエピソードをまじえ、自分軸で人生を楽しめる人になってほしい、と読者に訴える。
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AI、SDGs、ワークライフバランスなどにも触れ、メンバーシップ型雇用への問題提起もしている。これからの働き方を考える入口となる1冊。
中学生向けの本としては、後半は「若干詰め込みすぎ」感が否めないが、その反面、読み応えは十分だ。
中学生への株式投資の勉強のススメや、就職活動のとき企業のどこをチェックすべきか、なども書かれていて、とても興味深い視点だと感じた。
お金の知識が乏しいわたしには非常に分かりやすく、腑に落ちる点も多かった。
“日本はこれからどんどん元気に、上向いていく”と藤野さんは述べていて、未来に希望を感じさせる、これからの日々に勇気をもらえるような、そんな1冊だった。
お金の本だと思って読んだら、思いがけず人生の学びがたくさん詰まっていた。
中学生だけでなく、大人でも十分楽しめる1冊だと思う。
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