「雇われない世界へようこそ!」といわれてから4ヶ月経って
フリーランスの特許翻訳者になり、4ヶ月。
それまでの20年間は、特許事務所で働いていた。外国事務を数年担当し、その後の16年間は翻訳者として勤務した。
今年の5月にフリーランスになり、ありがたいことに仕事は安定している。
今まで働いていた特許事務所のほか、翻訳会社数社と業務委託契約を結んだ。いずれも3年更新の契約だ。
そのほか、ライターとして、知財系Webメディアで記事を書かせていただけることになった。
今回は自身の振り返りとして、フリーランスになったキッカケを記録しておこうと思う。
フリーランスになるのもアリだな
「50代後半にはフリーランスになりたいな」とぼんやり思い始めたのは、30代のころ。
50代後半になれば、子どもたちの教育費もかからなくなる。仕事量をセーブし、自分の好きなように働きたい。海外でも暮らしてみたい。そんな願望も、場所にとらわれない働きかたなら実現しやすいだろうな、と。
翻訳業はフリーランスとの相性がピッタリだ。
50代後半にはフリーランスと思っていたけれど、ただそう思うだけで、具体的にアクションを起こさないまま50代に突入した。50代後半までまだあるし、そのうち考えようかな。そんなふうに思っていた矢先。
ウィルス騒ぎで状況は一変。
特許事務所のボスから「基本的にリモート勤務で」との指示。昨年の3月末のことだ。
事務所内でも、職種によってはリモートだけだと作業が滞ったり、うまく采配できなかったりする。ただ、翻訳者は違った。
翻訳業は、リモート勤務ととんでもなく相性がいい。
そもそも翻訳は孤独な作業だ。所内にいるときも、パーティションで区切られたブースでただひたすらPCに翻訳文を打ち込む。
不明点がない限りは質問する必要もなく、締切に間に合うようにさえすればいい。自分で調整しやすく、自由度も高い。
昨年の4月からリモート勤務になり、出社するのは10日に1回のペースになった。「リモート勤務は向いていないので」と出勤する所員もいたけれど、私自身はリモートのデメリットを全く感じなかった。
孤独極まりない仕事を家でするのも全く苦にならない。リモート勤務はやりやすい、とさえ思っていた。
そう思った大きな要因の1つが、自宅の仕事用机。
リモートになったタイミングで、仕事用机を新調した。この机がめちゃくちゃ気持ちいいのだ。
モンキーポッド(「この木なんの木、気になる木・・・」のCMでも有名な木)の一枚板デスク。
特に気に入った理由がコチラ。
この机を使い始めて、気持ちよく仕事ができるなと思った。1日中机にはりついている翻訳者にとって、仕事机が「気持ちいい」って大事なファクターだ。
自分がリモート向きだと気づく ✙ 家での仕事環境が気持ちいい
それなら、フリーランスになるのもアリじゃん!
予想外のできごとが「フリーランスになろう」の決意を後押しした
ボスのお達し「基本的にリモート勤務で」はずっと続いた。満員電車から解放された私は、あの辛い通勤時間は一体なんだったの?と思うようになる。
ちょうどその頃。
note経由で「ユーザーからお問い合わせが来ています」のメールが。なんだろうと思って読んでみる。
それは私も名前を知っている、とある翻訳会社のコーディネーターの方からだった。その方は、私がnoteで書いた特許翻訳の記事をいくつも読んでくださったという。
メッセージにはそうあった。
これもなにかの縁かしら?
勤めていた事務所が副業にオープンだったこともあり、気軽な気持ちで試験を受けてみた。
ほどなく合格通知を受けとり、翻訳者として登録。昨年の12月のことだ。この時点で私の気持ちは固まった。
こうなったら、フリーランスでしょ!
ありがたいご縁に恵まれたおかげでフリーランスに転向できた
フリーランスになろうと決めた私は、事務所のボスと何度か話し合いを重ねた。
その結果、ボスは「業務委託契約を結ぶ」という条件で、私がフリーランスに転向するのを了承してくれた。
事務所では、企業からの翻訳依頼のほか、翻訳会社からの翻訳依頼もあった。ありがたいことにその翻訳会社が、私がフリーランスになってからも直接取引してくれることとなり、業務委託契約を交わした。さらにありがたいことに、事務所のボスがその契約をサポートしてくれた。
こんなご縁に恵まれて、今年の5月に晴れてフリーランス翻訳者になったのである。
開業届を税務署に提出したあと、フリーランスで働いている友人に「開業届、いま出してきたよーー」と連絡した。すると彼女からこんな返信があった。
そうか、これから私は雇われない世界で働いていくのか。
急に視界が開けたような、大きな海原を前に仁王立ちしている(なぜ?)ような、そんな気持ちになった。
フリーランスの特許翻訳者になり、4ヶ月。
慣れないことも多く自分のペースをつかみ切れていないけれど、自分の行きたい方向、進みたい道はちゃんと分かっている。
自分の目標に向かうために、雇われない世界でどう働いていくのか。試行錯誤を重ねながら、自分なりに少しずつアップデートしていきたい。
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