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3歳の猫と東日本大震災を経験!「普段の備え」で命を紡いだBさんの被災体験

猫好きのみなさん、どうも。飼い主さんと僕たち猫の命を守る防災情報を配信している、ひでおだにゃ。今回は、多くの尊い命が奪われた東日本大震で被災したBさんの経験談を取材。本当に必要な防災対策を学んでいこうにゃ。

■Bさん宅の愛猫事情
・当時3歳の白黒ハチワレの子と震災を経験
・現在は5歳の三毛猫と生活中

■父の命日に帰省し、東日本大震災を経験

看護師のBさんはその日、お父さんの命日のため、下のお子さんと共に仙台市にある実家へ。上の娘さんとは、実家で落ち合う約束をしていました。
震災が起きたのは、ハチワレの愛猫と一緒に仮眠をしていた時。Bさんは普段から寝る時、近くにキャリーケースを置くことを習慣化していたため、すぐに愛猫を入れ、待機。すると、避難を促す町内放送が流れてきました。「津波がくるから逃げろと。でも、上の娘が来るのを待っていました。」

幸いにも、娘さんは10分後に無事、実家に到着。周囲の人がみな避難し始めていることを聞いたBさんは、すぐさま車へ。「猫用トイレは普段から車に積んでいたので、フードと水だけ持ってスムーズに車へ行けました。」
しかし、多くの人が一斉に避難しようとしたため、道路は大渋滞。一向に車が進まない歯がゆさの中、Bさんの頭に浮かんだのは以前の職場の4階建ての老人介護施設。あそこなら高いし、高齢者がいるから避難も助けないと…。そう考え、思い切って避難所とは逆の海の方向へ車を走らせました。

■恐怖は地震が収まった後も続く

自分の身もどうなるか分からない中、Bさん家族は他の人たちの避難を手伝いつつ、老人介護施設へ避難。愛猫も建物内に避難させてもらえました。

すると、1時間も経たないうちに津波が…。建物の2階部分まで波が来たため、Bさんたちは猫をキャリーケースに入れ、1番高い階へ一緒に避難しました。「最初、猫を車から下ろすか悩みましたが、一緒に建物へ入ってよかった。車は浸水こそしませんでしたが、1/3ほど濡れてしまいました。」

ところが、ホッとしたのもつかの間。Bさんはこの後、さらに震災の怖さを痛感することとなりました。

震災後、翌日に給水車は来てくれたものの、電気や水道はストップしたまま。アパートへ入ることができなかったBさん家族は職場の同僚宅へ避難し、1週間ほど過ごさせてもらうことに。
「とにかく寒かったので、ジャンパーを着て眠りました。愛猫は服の中に入れ、温めていました。灯油ストーブを持っていたらよかったのですが、猫に危ないと思い、ファンヒーターに切り替えていたので、電気が止まっている状態では使えなくて。」余震が続いていたため、万が一のことを考え、愛猫にリードをつけ脱走を防止していました。

暮らしがままならないだけでなく、被災中はキャットフードの確保にも悪戦苦闘。「3日分しか準備していなかったので、近くのドラッグストアに並び、普段食べていないフードを購入するしかありませんでした。」しかし、環境の変化に戸惑った猫ちゃんは2日ほどご飯を食べず、排便もしなかったそう。

結局、自宅へ戻れたのは震災から10日後のこと。「普段うちの子はぬるま湯しか飲まないのですが、まだ電気が通っていなかったので市内のペットホテルへ預けました。」

ようやく電気や水道が使え、普通に暮らせるようになったのは、震災から2週間ほど経った頃だったと言います。

■役立った防災対策と「見直すべき防災術」が明らかに

こうした経験を経て、Bさんは本当に役立つ防災対策は何かとより考えるように。「避難所に行った人たちには支援物資があったかと思いますが、そうでなかった自分たちは自力でどうにかしないといけませんでした。被災時はお店のレジが使えず、お釣りがでない売り方だったので現金を持っていてよかったです。」

今回、Bさんが一番役立ったと感じた防災対策はキャリーケースを常に生活スペースの中に置いていたこと。「自ら入ってくれるように普段から訓練しておくといいです。あと、狭い中でストレスをため込まないよう、ケージもあったほうがいいと感じました。」

脱走防止のために用意していたリードも、震災を通して見直すことに。「当時は紐タイプを使っていましたが、抜けないか心配でした。だから、胴回りをホールドしておけるハーネスに慣らしておいたほうがいいいです。」

Bさんは食料やキャットフード、飲み水、ちゅ~るは1週間分ほど準備しておこうと考えるようになり、震災直後、ガソリンスタンドが開いておらず困惑したため、ガソリンを常に半分はいれておくことも大切だと痛感したそう。

「うちの子みたいに、ぬるま湯しか飲まない子はお水に慣らしておく必要があります。災害時は循環型の給水器が使えなくなるので、普通にお水を飲めるようにも訓練したほうがいいです。」

人間ならば、災害の深刻さを理解できるもの。けれど、猫はいつもと違う状況だと、恐怖を感じ、パニックになってしまうこともあります。だからこそ、猫目線でうちの子を守れる愛猫の防災対策が必要。

「個人的には、猫は飼い主さんと一緒に避難するほうが安心できると思うので、別々での避難は本当に安全なのかどうかも考えてみてほしいです。」そう語るBさんの被災体験は、うちの子にとって本当に必要な防災対策に気づくきっかけになります。

リアルな体験談を参考に、みんなも今からできる防災術を考えていこうにゃ。次回は、熊本大震災の被災体験を紹介。ぜひ、チェックしてほしいにゃ。


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